実録! 売れっ子軽・ホンダ N-BOX攻略までの道
2022/04/05
モータージャーナリストが真剣に軽選び!
クルマを購入した日の夜にもカーセンサーnetを見ている中古車大好きのモータージャーナリスト、島下泰久です。実は先日、超人気の軽・ホンダ N-BOXの中古車をカーセンサーで探しに探して購入しました。
人生初の軽自動車……ですが、この買い物にはいろいろ理由がありまして。いやはや、これまで十数台は中古車を購入してきている私ですが、正直言って趣味性の強いそれらのクルマとはまた違って、選択肢が豊富で、でも在庫の回転はすさまじく早い、超人気モデル×中古車の購入は、まったく新しい体験となりました。
せっかくなので、ここでは皆さんに、今回得た知識とノウハウをおすそ分けしたいと思います。ぜひこれを参考に、ぴったりの1台に巡り合っていただけることを願って!
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ホンダ N-BOX(2代目・現行型)× 全国1、どうして今、軽を? 購入背景
きっかけは、昨年末にちょっとした用向きで実家の父親とメールをやりとりしたことでした。そこに記されていたのは、返納しようと思っていた運転免許証を、もう一度だけと思って更新したという話。私の父親ということは当然それなりの年齢なわけですが、家族の病院への送り迎えなどもあり、クルマはあるに越したことはないというわけです。
高齢ということで不安はありつつも、まあ仕方がないか……。頭の中でいろいろと思いを巡らせながら、ふと聞いてみたんです。今、クルマって何に乗っているのか。すると……
「スズキのKeiに今も乗っているよ。最近ちょっと調子が良くないんだけど」
スズキ Kei! 確かずっと前、おそらく15年以上も前に買ったという話を聞いた気がしていましたが、まさか今もソレに乗っていたとは!!
父上、不肖あなたの息子は今、モータージャーナリストを生業としているんですよ! さすがに、せめて緊急自動ブレーキが標準のクルマにしましょう! それも、もっと後席が快適なモデルを……そう考えたのですが、年金生活者にクルマを買い替えた方がいいなんて軽々しくは言えませんよね。
仕方ない、ここは私が購入するしかないか……ちょうど「2022年版 間違いだらけのクルマ選び」の印税も入ってくるだろうし。そう考えて、急きょそれまで考えてもみなかった実家の家族のためのクルマ選びがスタートしたのです。
両親やお子さんなど、『自分以外が乗るクルマ』を探して買うことって、珍しいことではないと思うので、同じような境遇でN-BOXを探している方には、より参考になるんじゃないかと思います。
2、N-BOXに狙いを定めた理由
まず条件としたのは前述のとおりの緊急自動ブレーキ付きということ。
実は当初は、先代フォルクスワーゲン ポロやup!といった今、かなりリーズナブルになっているモデルも検討したんですが、実際に運転する父親に聞くと、ずっと乗ってきたこともあって軽自動車がいいということで、個人的には泣く泣く却下となりました。まあ、取り回しや駐車のしやすさを考えれば、そうなりますよね。
改めて、狙いを軽自動車に絞ります。
それなら後席の乗り降りがしやすい背高タイプ、そしてスライドドア付きにしようと考えて、まず候補としたのがN-BOXと、日産 ルークスでした。ダイハツ タントは……すみません試乗した印象が…………。機能としては文句ないんですが、もう少し走りにしっとり感が欲しいなということで、今回は候補から外しました。だって父親にとってはきっと最後のクルマなわけで、いいものを味わってほしいなと。
ここでふと思い出したのが「確か、父の最初のマイカーはホンダ N360だったんじゃなかったっけ?」ということでした。早速確認すると、まさにドンピシャリ。クルマ人生の最初も最後もホンダの軽というストーリー、悪くないんじゃない? と勝手に盛り上がって、最終的にN-BOXに一本化したのでした。
3、一筋縄ではいかない!? 中古N-BOX市場
続いて年式・グレード&装備選び。
緊急自動ブレーキ含む運転支援装備は最新版が欲しかったので、選んだのは現行モデル。2021年末にマイナーチェンジされましたが、違いは電動パーキングブレーキの採用くらいですし、そもそも新車は納期が長すぎということで、それ以前の前期型にしぼります。
グレードは、せめて片側は電動スライドドアが欲しいと考えると、エントリーの「G ホンダセンシング」は除外。「G L ホンダセンシング」以上を狙います。
カーセンサーnetの検索機能には「もっと詳細な条件を追加する」という欄があるので「スライドドア」の「両側(片側のみ電動)」にチェック。さらに、走行距離は4万km以下、修復歴なし、そして今後のメンテナンスなどを考えてディーラー系販売店という条件で検索開始です。
実際に検索してみたら、その価格の高騰ぶりに正直、ビビりました。実は1月頭にもちょっと検索していたんですが、2月になると全体的に価格が上がった雰囲気。新車と総支払額、20万~30万円しか変わらないのでは……。しかも、新車も納期遅れが解消していないのは知っていましたから、この状況は今後エスカレートするかも。そう考えて、「これは早めに決めないと」と覚悟します。
遠方でも自分で引き取りに行けばいいと考えていたので、まずは対象を全国にしたのですが、そこはさすがN-BOX、物件数が多すぎました(笑)。
とても全部じっくり見ていられないので、対象を東京、埼玉、千葉、神奈川に絞って、いくつかの物件をリストアップ。カーセンサーnetの問い合わせ機能を使って、連絡を取ります。
嬉しいのは修復歴の有無だけでなく、細かな補修歴や評価点などまで知ることができることです。修復歴にならないとしても「どうしてここをぶつけているんだろう?」というクルマは、やはり避けたいですから……。
いや、自分で乗るクルマなら、自分で納得できればいいんですよ。実際、修復歴ありだと価格がガクッと下がるので「コレもありかな」と一瞬思いもしたんですが、家族が乗るものですから……今回は厳しく、補修歴なども確認しながらチェックしていきます。
そうやって数台、問い合わせを行ない、その返信をもとに検討してみたのですが……実家の近くの販売店にあった筆頭候補のクルマにしようと改めて連絡したら、なんともう売約済みでした。さらにもう1台も同様に。なんて回転が早いんでしょうか!
これはのんびりしている場合ではない。反省をいかして作戦を変更。速攻に切り替えることにします。
オフだった土曜日の朝に改めて物件検索を行ない、3台をリストアップ。すぐに電話で問い合わせして、良さそうと思ったそのうちの1台を、すぐに見に行くことにしたんです。それでも、お店までの道中、「まさか売れてないよな」と、妙にソワソワしたのを覚えています。
訪れたのは『ホンダカーズ横浜 U-select横浜南』さん。お店に着くとクルマは無事に(?)まだ売れておらず、対応してくださった営業主任の川口勝樹さんにお話をして、早速クルマを見せていただきます。
外装には小さなエクボが一ヵ所。ホイールキャップはきれいに4枚とも小キズがありましたが(笑)、まずまず良い状態です。
肝心なのが内装。内装のキズや汚れはかんたんには取れませんし、何より使い方がよく現れるところですが、このクルマは新車かというくらいのイイ状態でした。
このクルマを見に行こうと決めた理由のひとつである車両状態証明書も改めて見せていただきます。カーセンサーnetは、一般財団法人 日本自動車査定協会によるこの証明書をネット上で確認できるんです。ディーラー系販売店でもありますし、状態確認はしっかりやっているのは分かっているんですが、第三者機関のこうした証明書は説得力をマシマシにしてくれますよね。
そして……ここで即決してしまいました! 本当ならば試乗してみてからというところかもしれませんが、そこはディーラー系販売店ということで、保証も付くので、信頼して決めちゃったというところです。その即決ぶりに、担当してくださった川口さんの方が「本当にいいんですか!?」とビビっておられるようでした(笑)。
こうして購入したのは2017年式N-BOX G L ホンダセンシング。何と走行距離5千kmちょっとというクルマでした。このお店の系列店で新車として販売されたクルマで、セカンドカーとして使われていたため走行距離が延びていなかったそうです。このあたりの履歴がしっかりしているのもプラス要素ですよね。
オプションのカーナビゲーションシステムが装備されていたのもポイント。いや、おそらく父は遠出はしないと思うのですが、これにはバックカメラもセットで付いてくるんです。視界のいいN-BOXではありますが、きっと重宝するはず!
ボディ色はブリティッシュグリーン。実は白、黒、シルバー以外の彩度のあるボディカラーがいいなと思っていたので、それもまた後押しするポイントでした。なんかお金持ちっぽく見えるでしょ?
価格は本体税込み129万8千円で、もろもろ足すとざっくり134万円。安くはないですが、新車だとあと30万円はしただろうなと考えたら、そして今後、相場はもう少し上がってきそうと考えると悪くはないでしょう。即納ですしね、当然。
結果として車種、グレード、装備、走行距離、価格……すべてが大納得の、とても良い買い物ができたのでした。中古車選びは、やっぱり楽しい! こういう買い物ができると、やっぱりそう思っちゃいますね。
さて、改めて私が大事にしたポイントを整理します。
【予算】
・中古車として納得感が持てる150万円以下(新車より20万~30万円安い)
【物件選び】
・流通量多すぎ! 居住エリア近辺に絞って探してOK
・売れるの早すぎ! 実車を見に行く当日の朝に物件を絞るくらいの段取りがオススメ
・必要な安全装備が備わっていながら最新型より少しだけ出費を抑えられる『現行型の前期型』狙い
・『ディーラー物件×第三者機関の評価アリ』で基本的な安心感を担保
・白、黒、シルバー以外のボディカラーで“選んでいる感”を
【来店時のチェック】
・外装キズは「変な場所」に入っていない?(前オーナーは一体どんな扱い方だった?)
・内装はキレイ?
・どう使われていた物件で、どうしてこの値段が付いている?
私のように、自分以外が乗るクルマを、納得できる価格で納車を待たずに購入したい人は特に参考になるはず。N-BOXに限らず、新しめで人気のモデルを探している人も、同じようなポイントを押さえたら時間や手間を最小限に、良い物件に巡り合えるのではないでしょうか。
▼検索条件
ホンダ N-BOX(2代目・現行型)× 全国4、買ってよかった? 納車後の感想
これまで自分で購入してきた中古車は、例えばポルシェだったり、他のスポーツカーだったりがほとんどで、いわばどれもが趣味性の強い一品物でした。
仕様やボディカラーなどを含めて、言ってみれば「欲しいもの以外は欲しくない」という買い物。なのでクルマ選びという観点では、実は悩みは少なかったんです。
一方、今回のN-BOXの購入は、そこまで厳密な条件があったわけではないので、それで逆に戸惑った感があります。色はコレ! 走行何万km以内! そうじゃなかったら買わない! そのクルマのためなら日本全国どこでも買いに行く! ではなく、価格を含めた様々な要素を勘案して、いい落としどころを探るというのでしょうか。
「この物件は走行距離は長めだけどバックカメラは付いているし割と安いしお店も近いな」、「こちらは走行距離が短い分ちょっと高いけれど、色はいいよな」なんて具合ですね。
しかもN-BOXはとにかくタマ数も多いですから選択肢が無数にある。ですので、逆に本当に大事な要素はなにか、ちゃんと自分で順位付けをしていかないと、いつまでも決断できないんですね。しかも回転は早いわけで、ぼやぼやしてもいられない。まさに即断即決が求められるという……。
いろんな要素を瞬時に判断して、だけど焦らずに最高の選択をする。いやいや、中古車には精通しているつもりの私でしたが、今回は新たな刺激を受ける楽しい買い物になりました。
さて、この(名義上は)私のN-BOX、引き取りに行ったときにはいったん、都内の自宅に持ち帰り、そのあと改めて神奈川県某所の実家に届けに行きました。その時の印象はと言えば、正直言って新車とほとんど変わらなかったです。当然ですよね、走行5千kmなんですから。
ディーラー系販売店ということで、事前整備もしっかりやっていただいているので、さらに安心感が違います。これはやっぱり、じわじわと嬉しいところです。
実家に着いたら、機能説明をしながら近所を軽く一周。父は「新車みたい。いや新車以上だな」と言っていましたが、まあそんなわけはなく(笑)。でも、まあ喜んでくれたのだと解釈しましょう。母は電動スライドドアに手こずっていましたが、すぐに慣れてくれるはず!
そんなわけで私は代わりにスズキ Keiに乗って帰ったのですが、初代スイフトとサイドパネルなどを共有する、今どきっぽいクロスオーバースタイルのKeiは、走らせてみると意外やもっちりしっとりした乗り味で、ナカナカ悪くなかったのでした。しかも、エンジンはターボが付いているし、トランスミッションもトルコンATだから、加速感も上質で……。正直、もっとくたびれているかと思ったら、予想外にいいクルマでした(笑)。走りのいい軽自動車を探している方、案外狙い目かもしれませんよ……と思ったら、スポーツモデルのKei WORKSなんて結構いいお値段なんですね。廃車にしようと考えていたんですが、何だかもったいない気も……さて、どうしよう?
そんなわけで、恥ずかしながらの親孝行。実家の家族がN-BOXとの暮らしに満足してくれることを願うばかりです。そしてそして、この購入記が皆さんの中古車購入に何らか役に立ってくれれたんならば、これまたとても有り難く思うところであります。
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ホンダ N-BOX(2代目・現行型)× 全国【取材協力】
- ホンダカーズ横浜 U-Select横浜南
・所在地:〒247-0014 神奈川県横浜市栄区公田町1638
・電話番号:045-897-2100
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モータージャーナリスト
島下泰久
1972年生まれ。自動車専門誌から経済誌やファッション誌などに数多く寄稿、YouTubeチャンネルを主宰するなど幅広く活躍するモータージャーナリスト。「間違いだらけのクルマ選び」の著者でもある