日産 フェアレディZ ▲日産が公開したティーザー映像をヒントに次期Zの姿を再現してみた。初代にも見られたリアクオーターピラーの丸いエンブレムや、逆スラントしたフロントエンドが往年のスポーツカーを連想させる。シャシーは現行モデルから流用

日産の構造改革プランで存在が発覚

2020年5月28日に公表された、日産の構造改革プラン「NISSAN-NEXT」。その中で最も注目したいのは、次期フェアレディZだろう。

このタイミングで次期Zの存在が明かされたということは、遅くとも2021年末までにお披露目されると考えて間違いなさそうだ。

会見で放映された映像に現れた車両シルエットをもとに、次期Zの姿を予想した。

ロングノーズと、リアエンドに向かってスラントしたルーフラインによって、ノスタルジックなフォルムが継承されることは言うまでもない。

フロントには、上下に分割された楕円がモチーフのデイタイムランニングライトが配され、これまでとは違った表情が作り出される模様だ。また、リアフェンダーはブリスター状に形成され往年のモデルに見られた軽快感が取り戻される。

「Z」の文字が印象的な丸いエンブレムは世代交代後も用いられるが、フロントフェンダーからグリーンハウス後方のクオーターピラーに移されて、初代S30型をほうふつとさせる。

日産 フェアレディZ▲運動性能向上をめざしてホイールベースが100mm短縮された現行型フェアレディZ。自然吸気の3.7L V6エンジンが搭載されている。ソフトトップのオープン仕様は2014年に廃止された

苦しい台所事情も見え隠れ

台所事情が苦しい中で開発されているため、シャシーには引き続きFM(フロントミッドシップ)パッケージのFR-Lプラットフォームが踏襲される。

このシャシーは2001年に発売されたV35型スカイラインから使われており、実用化からまもなく20年を迎える。ただ、運動性能アップをめざして現行Zではホイールベースが100mm短縮された。

モデルチェンジ後も引き続き、ホイールベース2550mmのショート版が用いられる公算が大きい。
 

トヨタ スープラ▲Zのメイン市場である、北米でライバルと目される筆頭のモデルがトヨタ スープラだ。3L直6モデルに加え、2L直4モデルも用意される
シボレー カマロ▲453ps/62.9kg-mを発生する、6.2L V8エンジンと10速ATを搭載する最上級モデルに目が集まりがちだが、じつはエントリーモデルとして2L直4ターボと8速ATもラインナップされるシボレー カマロ
フォード マスタング▲日本国内から撤退したため正規ルートでは買えないが、北米では1964年から販売されている長寿ブランドがフォード マスタングだ。同ブランドを生かしたEVの「マスタング マッハE」も、近々登場が予定されている

405psの3L V6ツインターボで武装

パワートレインはどうなるだろうか。

世界的な潮流を加味すると、ダウンサイジング過給の直4ユニット搭載に期待が高まる。折しも日産は、世界初の可変圧縮比エンジンである「VCターボ」を2018年に登場させている。

しかし、次期ZにはVCターボではなくスカイライン400Rとともに国内導入された最高出力405psを発生する3L V6ツインターボが与えられるのでは?との見方が強い。さすがにVCターボの268psでは現行モデルの336psより見劣りしてしまうと判断されたか。

一方で、CO2排出量の削減は急務でかろうじてカタログ燃費2ケタに届くような大排気量エンジンは、いかにも前時代的。あのマスタングやカマロでさえ直4ターボが設定されている。限られたリソースと、厳しいコスト事情が横たわっている現状で日産がどう動くかは注目だ。

とはいえ、Zが存続することは大きなトピックで40年以上の歴史を積み重ねてきた由緒あるブランドとして、日産が今後も大切に育てていく決断を下したことは喜ぶべきだろう。2021年以降に来るであろう、アンベールの日が楽しみだ。

※2020年7月10日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2021年12月
■全長×全幅×全高:4250×1850×1310(mm)
■搭載エンジン:3L V6+ターボ
 

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、日産、トヨタ、GM、フォード