国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を図説するコーナー!

【連載:図説で愛でる劇中車】
国内外問わず様々な映像作品(アニメも含め!?)に登場したあんな車やこんな車を、イラストレーター遠藤イヅルが愛情たっぷりに図説する不定期連載!

第5回は、大ヒット刑事ドラマ「あぶない刑事」シリーズから、タカとユージが乗り込んだ車を中心とした日産車に絞ってお送りいたします。
 

「あぶデカ」は30年にわたるロングランシリーズ

1986年から日本テレビ系で放映を開始したTVドラマ「あぶない刑事(デカ)」、略して「あぶデカ」。

派手なアクションとスタイリッシュさを押し出し、破天荒な主人公をはじめとした個性あふれる登場人物が織りなす軽妙なトーク、テンポよく進むストーリーなどを盛り込み、従来の刑事ドラマとは一線を画したことで大人気に。

TV、劇場版などが相次いで製作され、なんと30年にわたるロングランシリーズになりました。

「あぶデカ」といえば、神奈川県警港警察署捜査課の刑事・タカこと鷹山敏樹(舘ひろし)と、ユージこと大下勇次(柴田恭兵)の主人公コンビに負けず劣らずの存在感を示していた劇中車も記憶に残ります。横浜を舞台に、派手なカーチェイスを展開していましたね。

日産車の印象が強い「あぶデカ」ですが、1996年公開の劇場版第4作となる「あぶない刑事リターンズ」では車両提供が三菱に変わった他、ユージの車が「アルファロメオ 164」になるなど大きな変化が。

その後の劇場版、TVスペシャルなどではマツダがメインだったり、主役級の車に「マセラティ クワトロポルテ」が使用されるなど、内外のいろいろな車が活躍しました。

でもやはり、横浜=日産の街というイメージもあり、「あぶデカ」といえば日産、という人も多いことでしょう。
 

タカ&ユージが乗った「レパード」は今でも大人気

イラスト:遠藤イヅル

中でも印象に残るのが2代目「日産レパード」(F31型)。1980年デビューの初代レパード(F30型)は、先進装備とスタイリッシュなデザインをもつ高級パーソナルカーとして2/4ドアハードトップで開発されました。

2代目ではズバリ「トヨタ ソアラ」をターゲットとした、優雅な高級2ドアスペシャリティクーペに大変身したのです。

レパードはシリーズ第1作のTVドラマ「あぶない刑事」(1986年)から登場。前期型で金×銀のツートンカラー、グレードは VG30DE型エンジンを搭載した「アルティマ」でした。コールサインは「港303」が有名です。

劇場版「あぶない刑事」(1987年)には濃紺×銀の前期型アルティマ、劇場版「またまたあぶない刑事」(1988年)には再び金×銀の前期型アルティマが使用されました。

そして再びTV放映となった「もっとあぶない刑事」(1988年)からはレパードが後期型にスイッチ。濃紺×銀のボディカラー、「港302」のコールサイン、ツインカムターボのVG30DET型エンジン(最高出力255ps)がもたらす派手なドリフトなどが印象的でした。

画面内を所狭しと活躍したレパードは、放映開始から30年を経た現在でも高い人気を誇り、今なおあぶない刑事仕様のレプリカを製作し、愛用するオーナーもいるほど。「あぶデカ」が与え続ける影響の大きさを感じます。
 

セフィーロやスカイラインなど日産車も大活躍

「あぶデカ」に出てくる車は実に多種多様。車両提供が日産時代でも、トヨタやいすゞ、輸入車まで登場し“メーカー問わず”な状態でした。

でもやはり劇中車の名バイプレイヤーは、港署の覆面パトカーだった日産車です。セドリック、グロリアの「定番」以外にも、7代目スカイライン(R31型)、初代セフィーロ(A31型)などの活躍が目立ちました。

初代セフィーロは「もっとあぶない刑事」から出ていますが、1988年から発売を開始したため、まさに出たてホヤホヤでの抜擢。コールサインは「港306」で、主に町田透(仲村トオル)が乗っていました。

初代セフィーロのスタイリッシュなデザインと、「あぶデカ」の世界観、横浜という舞台はよく似合っていましたね。
 

最後を飾る劇場作「さらば あぶない刑事」ではGT-Rも登場

イラスト:遠藤イヅル

「あぶデカ」シリーズ最新作は、2016年公開の劇場版「さらば あぶない刑事」です。約10年ぶりの新作、そしてシリーズ開始からちょうど30年を迎える作品とあって、注目度も高まりました。

特に話題となったのは、日産の車両提供が27年ぶりに戻ってきたこと!

しかも、タカ&ユージが乗る覆面パトカーは、現行型の「GT-R」(R35型)で、濃い赤の外装とコーディネイトされた赤系の内装がゴージャスな「プレミアムエディション」でした。横浜の街をさっそうと走る姿がカッコよかった! 回転灯もよく似合っていました。

冒頭には最後の直6搭載だった10代目スカイライン(R34型)が出てきたり、以前は署長で、劇場版第1作では3代目フェアレディZ(Z31型)に乗っていた松村優子(木の実ナナ)が6代目フェアレディZのNISMO(Z34型)で現われたり、金×銀の2代目前期型レパードまで復活しているのですから、日産ファンには嬉しいシーンの連続でした。

しかもこのレパード、ナンバープレート数字に後期型レパード「港303」が付けていた「45-05」を踏襲。いろいろ泣かせてくれますね!

気になった方は、ぜひ「あぶない刑事」シリーズをご覧になってみてください。30年間の世相やファッション、車の移り変わりもわかって面白いかも!?
 

文・絵/遠藤イヅル
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遠藤イヅル(えんどういづる)

イラストレーター/ライター

遠藤イヅル

1971年生まれ。大学卒業後カーデザイン専門学校を経て、メーカー系レース部門のデザイナーとして勤務。その後転職して交通系デザイナーとして働いたのち独立、各種自動車メディアにイラストレーター/ライターとしてコンテンツを寄稿中。特にトラックやバス、商用車、実用的な車を好む。愛車はプジョー 309とサーブ 900。