▲次期フィットには、標準車より車高が高めに設定され、ボデイ下部を守るガーニッシュ類が装着されたモデルもラインナップされる模様。流行りのSUVテイストを取り入れることで、拡販に乗り出す 次期フィットには、標準車より車高が高めに設定され、ボデイ下部を守るガーニッシュ類が装着されたモデルもラインナップされる模様。流行りのSUVテイストを取り入れることで、拡販に乗り出す

5ナンバー幅は踏襲される次期フィット

ホンダを代表するコンパクトカーのフィットが、2019年秋に生まれ変わる。独創的なセンタータンクレイアウトをそのままに、シャシーが刷新され、ハイブリッド仕様は2モーター化。さらには、クロスオーバー風味のモデルが加わるとの情報もある。

登場から5年たった現行3代目は、デザインも開発ペースもアグレッシブすぎて、立ち上がりでつまづいてしまった。そのため、現行モデルでの教訓を生かして、次期モデルは、地に足が着いた開発が行われている。

エクステリアデザインに関して次期モデルは、シンプルかつスッキリな方向を目指すという。老若男女問わず、誰もが選びやすいルックスに変わる模様だ。初心に返って、初代で支持された親しみやすさが織り込まれる可能性もある。

フォルクスワーゲン ポロや、次期ヤリス(海外向けヴィッツ)に代表されるように、全幅を3ナンバー幅へと拡幅する動きはBセグメントの2BOXにも下りてきている。側突時の安全性、トレッド拡大によるハンドリング性能と、走行安全性の向上などを追求すると、全幅を1700mm未満に抑えることは足かせになるだろう。

ましてやこの規格は日本独自のもので、世界を相手に商売している各社からすれば、一国の基準のためにサイズを縛られるなんてナンセンス。

では、ホンダはどんな決断を下したのか。少なくとも国内向けフィットに関しては、5ナンバー幅を維持することが決まった。ホッとひと安心するユーザーや、ディーラー関係者も多いことだろう。

SUV仕立てのモデルをラインナップ

5ナンバー幅キープと並んで、いや、それ以上にニュースとして注目したいのが、クロスオーバー仕様の追加だ。車高がわずかに高められ、バンパーやフェンダーにガーニッシュが装着されて、アクティブな印象がかもし出される公算が大きい。

じつはあまり知られていないが、すでにホンダは現行フィットにSUVテイストのモデルを設定して、インドやブラジルで販売している。名称はWR-V。周知のとおり、新興国は道路事情がよくないために、高めの車高が好まれる傾向が強い。

それを逆手にとって、流行りのSUV風味に仕立てられたモデルは多い。WRーVもその1台だ。次のモデルチェンジ後も、海外でWR-Vが継続販売されることは言うまでもなく、ホンダはそれを日本国内など、先進国にも投入する計画を練っている模様。

▲2016年に発表されたフィットの派生車で、タフな印象をもたらす外装パーツが装着された、WR-V。シビックやヴェゼルとともにブラジルで組み立てられる▲2016年に発表されたフィットの派生車で、タフな印象をもたらす外装パーツが装着された、WR-V。シビックやヴェゼルとともにブラジルで組み立てられる

ハイブリッドは40km/Lへ

メカニカル面では、センタータンク方式のプラットフォームが刷新され、軽量化技術が反映されるようだ。もちろん、センタータンクレイアウト自体は踏襲され、多彩にアレンジできるリアシートと優れた使い勝手は引き続き、ウリとして掲げられる。

パワートレインでは、ハイブリッド仕様のアップグレードが見逃せない。ホンダは初代インサイト以来、Cセグメント以下の車に1モーター式の軽量コンパクトな機構を用いてきた。

しかし、モーター走行領域を広げて燃費を向上させるには、トヨタと同じ2モーター方式の方が有利なことは確か。ついにBセグメントの次期フィットにも『i-MMD』が起用される。カタログ燃費はJC08モードで、40km/Lを突破することを目標に開発陣の奮闘は続いている。

一方、販売ボリュームで大きなシェアを誇るガソリン車には、ダウンサイジングターボが取り入れられる。欧州向けシビックに搭載済みの1L直3ターボが、ようやく国内でも実用化される見通しで、125psと1.5L NA並みの最高出力がもたらされるだろう。

コネクテッド技術も多用

現在、最も熱い注目を集めている、コネクテッド技術も多用される。ホンダは、データセンターと通信できる独自のインターナビを展開しており、防災情報や渋滞を回避してのルート案内を提供している。

次期フィットでは、これを発展させた装備が設定される。例えば、事故発生時に緊急通報できる機能も用意される模様だ。スマホを連携させられる車内Wi-FIも併せて新採用される。

お伝えしてきた次期フィットは、2019年秋までに登場する。販売現場では、目の上のたんこぶになりかねないN-BOXとの売り分けに苦心している様子だが、国内分の需要を見据えたコンパクトカーとして、フィットが躍進することに期待したい。

※2018年9月26日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2019年9月
■全長×全幅×全高:3990×1695×1520(mm)
■搭載エンジン:1.5L 直4+モーター 他

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、ホンダ