400万円超の輸入新車とかわたしには無理!だからコスパ重視で旧型プジョー308後期型を狙う
カテゴリー: クルマ
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2015/08/14
400万円の輸入車が「お手頃」って、ちょっとズレてやいませんか?
輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、お昼ごはんはできれば600円以内に収めたいと真剣に考えながら、ニッポンの中流ど真ん中を生きている。
そんなわけだからして、雑誌やネットで「フルモデルチェンジした○○は400万円~という戦略的なプライス設定。こいつはこのセグメントの輸入車としてはすこぶるお手頃だ!」みたいな記事を読むと、両手がワナワナと震えてくる。……400万円で「お手頃」だと? ふざけるな。オレを誰だと思ってるんだ。なにせ「お昼ごはんは600円以内で収めたい」と思ってる男だぞ。そんなカネがあるわけないじゃないか。あったとしても、それを「お手頃」だなんて思えるはずがないじゃないか!
……思わず興奮してしまったことをお詫びしたいが、とにかく、輸入新車を主な題材としているメディアの金銭感覚はちょっとおかしいのではないかと、個人的には思う。フツーに暮らしている者が車を買うなら100万円とか150万円とか、せいぜい200万円ぐらいが適切なバジェットであり、その中で極力ステキな、自分好みの、そしてコスパが優れるモデルを買うべきであると、わたし個人としてはもう10年以上確信している。そういった確信をベースに、以下の話を進めていきたい。
さて。ステキで、コスパに優れ、そして(個人的な話になってしまうが)自分好みで、それでいて100万とか150万円ぐらいで買えてしまう輸入車というのは実は数多く存在するが、このところ最も注目しているのは旧型プジョー308。中でもその後期型だ。
プジョー 308は……というか300番代のプジョーというのはCセグメント(フォルクスワーゲン ゴルフぐらいのクラス)に属するフランスのハッチバックで、旧型308が登場したのは2008年6月。
その前期型は、もちろん悪い車ではなかった。しかしいかにもフランス車らしい柔らかさのようなものと、汎欧州的な、より具体的には「ドイツ車っぽい硬質な感じ」が交じり合った感触で、個人的には中途半端と感じた。「これならいっそドイツ車か、もしくはもっと古い、フランス車らしいフランス車を選びたい」と思ったのだ。
しかし2011年7月、内外装デザインの変更を中心とするマイナーチェンジが行われて後期型となった旧型プジョー 308は、まったく中途半端ではなくなった。「こ、これはもはやドイツ車だ! しかもかなり上等な!」と、わたしは路上で震えた。ほのかなフランス臭は残っているが、全体としては同時期のフォルクスワーゲン ゴルフ(ゴルフVI)に劣らぬバリバリの剛性感と、良い意味での硬さが全体にみなぎる、最高にゴキゲンな5ドアハッチになったのだ。
「そんなのはもはやフランス車じゃない!」という意見もあるだろう。気持ちはわかる。わたしも、どちらかといえば昔のフニャフニャしたフランス車の方が好きだ。しかし時代は変わり、そういったフニャフニャ系が生きる余地を失ったのだとしたら、こういう方向に、中途半端なミクスチャーではないドイツっぽい方向に突破していくのもひとつの手ではないか。そういった意味で、わたしはプジョー 308後期型を全面的に支持する。
しかし率直に言って後期308はそう大して売れはしなかった。その結果として今、中古車市場では走行距離が極めて少ない後期308が、車両価格130万円とか150万円ぐらいで多数販売されている。……中流ど真ん中なわたしでも十分手が出せる、ステキなプライスである。これこそ本当の「お手頃」ってやつだ。
まぁ同年代の旧型フォルクスワーゲン ゴルフも実は同じぐらいの価格で狙えるし、また車としての総合力はどちらが優れているかといえば微妙なところだ。少なくとも「308後期の方が圧倒的に優れている!」ということはない。
だが、旧型プジョー 308後期モデルが同年代のゴルフと比べて圧倒的に、明らかに上回っている点がひとつある。それは「自分と同じ車とはめったにすれ違わない」ということだ。その希少性がもたらすある種の満足感が、ゴルフにはないプジョー 308後期の価値なのだ。
世の中には自分が乗っているのと同じ車に1日50回ぐらいすれ違っても気にしないというか、むしろうれしく思う人もいるのかもしれない。しかし少なくとも、このクセのある文章を最後まで読んでくれたあなたは、そうではないはずだ。わたしを含むそういった人種にとって、ゴルフVI並みのクオリティ&プライスでありながら、ほとんどアルピーヌ並みに(?)レアな旧型プジョー308後期モデルは、激しくコスパが高い。それゆえ、激しくオススメである。