▲北米でブランド全体が好調なスバル。現地のニーズを見据えて、SUVテイストが強まる可能性があるXVに新情報。ハイブリッド機構が刷新されるという ▲北米でブランド全体が好調なスバル。現地のニーズを見据えて、SUVテイストが強まる可能性があるXVに新情報。ハイブリッド機構が刷新されるという

富士重工業の開発陣がトヨタへ出向して研究中

スバルのハイブリッド機構が世代交代を果たすという。同社のハイブリッドカー第1弾は2013年6月にデビューしたXVハイブリッドで、2015年7月にインプレッサに同システムが移植されて第2弾が発売されたばかりだが。

ずばり、そのユニットとはトヨタが次期プリウスから用いるTHS-IIIになるようだ。富士重工業は、2017年に投入する北米向け上級SUVにTHS-IIIを使う方向で、トヨタとの協議に入っている。XVとインプレッサには今後も自社開発機構を使うのかと思いきや、どうやらTHS-IIIを積極的に活用していく方針のようだ。

内部事情に詳しい関係者によると、富士重の開発エンジニア30人ほどがトヨタの開発部門に出向し、THS-IIIを自社モデル向けにアレンジし直す「適合開発」に入っているとの情報もある。

▲現行モデルのXVハイブリッド。水平対向エンジンと独自のチェーン式CVTに出力約14psのモーターが組み合わされた自社開発ユニットを採用している ▲現行モデルのXVハイブリッド。水平対向エンジンと独自のチェーン式CVTに出力約14psのモーターが組み合わされた自社開発ユニットを採用している

どうしてTHS-IIIなのか

では、なぜTHS-IIIの採用に至ったか。取材を進めていくと新たな事実が判明した。なんと、次期XVハイブリッドにはPHV仕様も用意されるというのだ。

PHVとはプラグインハイブリッドの略で、外部充電機能を付けてEV走行領域を増やした電動系エコカーのこと。いまのところ、EV派生モデル(アウトランダーPHEV)と、HV派生モデル(プリウスPHV)の2種類のアプローチがあり、走行特性などは異なる。

スバルのハイブリッドカーもモーターを大きくすれば簡単にPHV化できそうだが、トランスミッションケースに内蔵されていて、大型&高性能化が難しく、そもそもEV走行領域の拡大を想定した設計になっていないのだろう。

その点、トヨタのTHSは設計当初から電気系がリッチなシステムになっており、PHV化に適したユニットと言えそうだ。また、PHVには欠かせないリチウムイオン電池をTHS-IIIとセットで調達すれば、コストや制御面でのメリットも見込める。富士重はこうした点を総合的に考慮し、縦置きボクサーエンジンにTHS-IIIを組み合わせる選択をしたのだろう。

さて、自前のハイブリッド機構は今後どうなるのだろうか。THS-IIIに押されて次第に姿を消していくのか、あるいはハイパワーやドライバビリティなどの特徴を差別化要素として強化したうえで残すのか。今後の動向が楽しみだ。

※2015年8月18日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2017年
■全長×全幅×全高:4500×1795×1550(mm)
■搭載エンジン:2L 水平対向+モーター

text/マガジンX編集部 photo/マガジンX編集部、富士重工業