2ペダルながら本質を追求したWRX S4 tS & 新たな方向性を示したXVハイブリッド tSは、どちらも完成度の高いコンプリートカー(試乗レポート)
カテゴリー: スバルの試乗レポート
タグ: スバル / スポーツセダン / SUV / クロスオーバーSUV / CVT / 4WD / ドライブ / インプレッサXV / WRX
2017/01/21
STIによる完成度の高いチューニングが施された2台
昨年末に次世代プラットフォームを採用したインプレッサをデビューさせたスバル。満を持しての登場とみえ、ボディ剛性をはじめとするその出来栄えは素晴らしかった。その記憶が新しい最中に迎えたのが先日のSTIによる試乗会である。テストする機会を得たのはWRX S4 tSと、XVハイブリッド tSの2台だ。どちらも先述のインプレッサよりは前の世代の車をSTIがチューニングしたモデルで、新世代の車にどこまで完成度で迫れるか、注目しながらの試乗となった。
疲労感が少なく、ドライバーに優しいWRX S4 tS
まずはWRX S4 tS。2ペダル仕様で、エンジンはベース車と同じ2L。AT仕様(CVT)といっても本格的なスポーツドライビングに耐えうるもので、空冷のオイルクーラーが装備されているのがその一例だ。
もともとATはMTに比べ多くの熱を発生し、ATフルードの性能が安定しなくなることがある。スポーツ走行時はなおさらだが、これをオイルクーラーで冷却することで、スポーツ走行時でも安定した変速が可能になっているのだ。加えてフルードが劣化しにくくなるので、どんなユーザーにも恩恵がある装備である。
エンジンについてはベース車と変わらず、吸排気系のチューニングが中心だが、レスポンスはとても良く、まったくストレスを感じさせなかった。ターボ車の場合は吸排気系、例えばマフラーをむやみに交換すると低速域でトルクが不足することがあるが、そのあたりもまったく問題ない。上品なエグゾーストノートと走行性能が両立された、素晴らしいチューニングである。
次にハンドリングについて触れてみたい。今回試乗が行われた河口湖周辺の林道は路面状態が良好とはいえず、足回りが固く引き締められた、限界性能の高い車の場合は直線でもステアリングを取られることがある。このWRX S4 tSももちろんそうした限界性能が高められた車なのだが、果たしてとてもマナーのよいステアリングフィールだった。ドライバーの操作に対してのダイレクト感も損われておらず、狙ったラインを正確にトレースできる。ホールド性の良いシートも相まって、意のままのドライビングが可能だ。
WRX S4 tsは、全体として公道での走行でもストレスを感じにくく、加えてスポーツ走行にも耐えうる性能を持った完成度の高い車に仕上がっていると言えるだろう。
今までのSTIのイメージを覆すデザインと伝統の走りが融合したXVハイブリッド tS
さて、次はXVハイブリッド tsである。WRX S4 tsと同じく、STIの手によるチューニングが施されている車だが、こちらはホイールやスポイラーのカラーリングを見る限りいささか可愛らしい印象もある車だ。しかしよくよく考えてみると、ナロー時代のポルシェ 911RSに通ずるセンスがちりばめられているようにも思える。
もちろん本来はスパルタンなイメージのSTIだけあり、XVについても相応のチューニングが施されている。主なポイントは剛性の強化であり、これはハードなスポーツ走行をするユーザーからスタイリング重視というユーザーまで、どのレベルのユーザーにも恩恵がある。というのも、ボディ剛性が上がることによって細かな振動まで確実にサスペンションが捉えて吸収でき、疲労の原因となる不快なバイブレーションが減るからだ。
XVハイブリッド tSについては1月22日(WRX S4 tSは3月12日まで)をもって注文が締め切られ、その後は在庫のみの販売となってしまうが、今後中古車でそれを購入した人がいれば「なぜその車を選んだのか」と理由を聞いてみたくなる車である。もちろんネガティブな意味ではなく、ボディをはじめ地味だが本質的なチューニングと、これまでのSTIのイメージを覆すスタイリングという、選ぶ人のセンスが光って見える車だからである。
【SPECIFICATIONS】
WRX S4 tS
■乗車定員:5名 ■総排気量:1998cc
■エンジン種類:水平対向4気筒+ターボ
■使用燃料:ハイオク ■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■最高出力:221(300)/5600[kW(PS)/rpm]
■最大トルク:400(40.8)/2000-4800[N・m(kgf・m)/rpm]
■全長x全幅x全高:4635×1795×1475mm ■ホイールベース:2650mm
■車両重量:1550kg ■車両価格:496万8000円(税込)
XVハイブリッド tS
■乗車定員:5名 ■総排気量:1995cc
■エンジン種類:水平対向4気筒+モーター
■使用燃料:レギュラー ■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■最高出力:110(150)/6000[kw(ps)/rpm]+10(13.6)[kW(PS)]
■最大トルク:196(20.0)/4200[N・m(kgf・m)/rpm]+65(6.6)[N・m(kgf・m)]
■全長x全幅x全高:4485×1780×1550mm ■ホイールベース:2640mm
■車両重量:1530kg ■車両価格:332万6400円(税込)
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- 先代BMW 3シリーズ(F30型)を買うなら、総額150万円以下が狙い目だ!
- トヨタと共同開発中のピュアEV、スバル ソルテラ
- SUVじゃなくていいじゃない! この夏、「キャンピングGT」に乗ろう!【カーセンサー8月号】
- 5年落ち以内が車両本体価格200万円以下から狙える! スタイリッシュな輸入車SUV4選
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- 9年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー2.0~2.5L部門賞を受賞した「2.5L直列5気筒TFSIエンジン」搭載の狙い目モデル3選
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- マツダ CX-8の中古車流通量が増加中! 総額250万円からの選択肢が豊富に
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品