▲写真はJR水戸駅北口にある銅像。中央が光圀、左が助さん、右が格さんとなっている。ちなみに、黄門様の諸国漫遊のエピソードは、大日本史編纂のために全国各地に藩士を派遣したことが元になっているともいわれている。自身の旅行は鎌倉に行ったくらいだったのだとか ▲写真はJR水戸駅北口にある銅像。中央が光圀、左が助さん、右が格さんとなっている。ちなみに、黄門様の諸国漫遊のエピソードは、大日本史編纂のために全国各地に藩士を派遣したことが元になっているともいわれている。自身の旅行は鎌倉に行ったくらいだったのだとか

移動距離は地球2周以上。歩いている場合じゃないぞ

日本で最も有名な旅人、水戸黄門。いわずとしれた天下の副将軍で、世直しの旅で日本中を巡った人物だ。TBSの『水戸黄門』公式サイトによると、第39部(最新は第43部)までの総移動距離は10万km以上。なんと、地球をおよそ2周半もしている計算になる。世のため人のため、こんな距離を歩いてくれていたなんて……。これからはもっとラクをしてもらうために、水戸黄門一行にピッタリの1台を選んでみようじゃないか。

まず本題に入る前に、みんなが気になっているだろう「黄門ってなんだよ?」という疑問からお答えしよう。「黄門」とは朝廷での役職「権中納言」の中国での呼び名。光圀の役職は中納言だったので、水戸黄門と呼ばれたのだ。と、ここまではよく知られた話。なぜ、わざわざそんなまどろっこしい呼び方をしたかというと、江戸時代は身分の高い人の諱(読み方はいみな。実名のこと)を口にすることははばかれていたからなのだ。

さて、本題。水戸黄門一行は時代によってパーティメンバーが変化している。ここは日刊カーセンサー読者層にあわせて、1990年代のメンバーである佐々木助三郎こと助さん、渥美格之進こと格さん、うっかり八兵衛、かげろうお銀、そして光圀の5人としておこう。これに、そのシリーズのキーマンとして一緒に行動する女性や風車の弥七、柘植の飛猿が不定期で加わるので、最大でも8人といったところだろうか。

▲印籠とは薬などを携帯するための小さな容器。「この紋所が~」でお馴染みシーンで印籠をかざすのは格さんの役目だが、初期は黄門様自らが出したこともある ▲印籠とは薬などを携帯するための小さな容器。「この紋所が~」でお馴染みシーンで印籠をかざすのは格さんの役目だが、初期は黄門様自らが出したこともある

それでは、水戸のご老公について。劇中での肩書きは「天下の副将軍」。実際には「副将軍」という役職は存在しなかったが、御三家の一角で、参勤交代を行わずに江戸に定府していた水戸藩主だけに、将軍との距離も近かっただろう。生類憐れみの令を出した5代将軍、綱吉にもの申したという記録も残っている。相当偉いことに間違いはないはずだ。ちなみに、隠居したのは62歳なので、全国漫遊もその年齢以降のこととなる。

水戸黄門ご一行が全員乗れる高級ミニバンは?

要は、偉いおじいちゃんが大人数で乗る車がオススメの1台というわけだ。さらに、全国を走り回るということで、低燃費な車ならなお良いかもしれない。そこで思いつくのが高級ミニバンの代名詞、アルファード ハイブリッドだ。内装は走る応接室。ファーストクラスのようなシートは、お年を召したご老公もゆったりとくつろげるだろう。

しかし、ここでちょっと気になるデータが……。それは、一行の移動スピード。TBSの『水戸黄門』公式サイトによると、最も速いもので久留米~江戸間を平均時速33.7km/hで移動しているとの記録があった。徒歩のよるスピードは約4km/hといわれているので、実に8倍の速度となる。そう、水戸黄門一行にオススメの車には動力性能も求められるのだ。

そうなると、ハイブリッドではなく「3.5 エグゼクティブ ラウンジ 4WD」などはどうだろうか。3.5L V6エンジンは、発進から中高速域まで、踏んだ分だけ素直に加速する。約2.2tと重量のあるアルファードでもパワフルな走りが可能だ。燃費面ではハイブリッドに譲るが、水戸藩から潤沢な旅の資金が出ている身分。あまり気にすることはないだろう。

▲アルファードの現行型は2015年1月デビューだが、すでに中古車市場でも購入可能で、カーセンサー掲載台数は76台(2015年7月25日現在)。中古車の車両価格帯は323万~827万円となっている。「2.5X 4WD」には8人乗りも設定されている ▲アルファードの現行型は2015年1月デビューだが、すでに中古車市場でも購入可能で、カーセンサー掲載台数は76台(2015年7月25日現在)。中古車の車両価格帯は323万~827万円となっている。「2.5X 4WD」には8人乗りも設定されている

いや、ちょっと待てよ。走りといえば、アルファードのライバル車である日産 エルグランドに言及しないわけにはいかない。エルグランドにも3.5L V6エンジンを搭載するグレードが存在する。そして、多くのインプレッションに共通するのが、「アルファードはソフト、エルグランドはややハードな乗り心地。ありていに言えば、アルファードよりもエルグランドの方が揺れない」といったものだ。

さらに、エルグランドはシートバックに中折れ機能を採用しており、体をしっかりと支えてくれる。これならご老公も車酔いとは無縁のはず。3列目のゆったり感はアルファードの方に分があるが、お付きの人たちはご老公と同じ車両で移動できるだけでも御の字。贅沢は言えないはずだ。もちろん、グレードによっては8人乗りも準備されているので、弥七、飛猿が合流しても大丈夫。

▲現行型エルグランドのデビューは2010年。当然、中古車市場でのタマ数も多く、掲載台数は521台、車両価格帯も120万~549万円と幅広い ▲現行型エルグランドのデビューは2010年。当然、中古車市場でのタマ数も多く、掲載台数は521台、車両価格帯も120万~549万円と幅広い

子孫である徳川慶喜は車で交通事故を起こしていた

できれば、移動物検知機能や踏み間違い衝突防止アシストなどを備えた「次世代アラウンドビューモニター」搭載車がオススメ。杖で敵と戦うこともあるご老公、ときには自らハンドルを握ることもあるだろが、寄る年波のことを考えると安全装備も必要だろう。

また、ご老公の子孫にあたる、水戸藩出身にして徳川最後の将軍「慶喜」は、なんと明治時代に自動車事故を起こしている。もしかすると、ご先祖様も運転はあまり得意ではないかもしれない。

ということで、水戸黄門ご一行にオススメの車は3.5Lのエルグランド(安全装備搭載車)に決定。

text/コージー林田 photo/PIXTA、トヨタ、日産