▲筆者が使っているJ社の使い捨てコンタクトレンズ。格安品と較べて3割ほど高価だが、装用感の良さなどから考えるとそれだけの価値は十分。増税を機に一度は格安品に変えたが、やはりこちらが断然いい ▲筆者が使っているJ社の使い捨てコンタクトレンズ。格安品と較べて3割ほど高価だが、装用感の良さなどから考えるとそれだけの価値は十分。増税を機に一度は格安品に変えたが、やはりこちらが断然いい

世の中に「中古車市場」というものがあって本当に良かった

極度の近視+乱視ゆえ、日中は使い捨てタイプのコンタクトレンズを装用している。愛用の銘柄はJ社の上級品なのだが、今年4月の消費税増税が行われる直前、来るべき個人的経済危機を覚悟した自分は節約のため、別の某社の格安品を大量注文した。J社の上級品と比べておおむね3割は安いコンタクトレンズだ。しかし到着したそれは、どうにもイマイチだった。

レンズ自体が妙に厚いためやたらと装着感があり、それだけならガマンもできるが、なぜか時おり視界が霞み、手元付近も見えづらい。「この安物レンズがああああ!」と絶叫しつつ燃えるゴミの日にまとめて廃棄しようとも思ったが、よく考えたら「ここ数日で一気に老眼が進んだため見えづらくなった。決してレンズのせいではない」という可能性もある。

そう考えたわたしはあらためてJ社の上級品を注文し、装着してみた。視界は霞まず、手元もよく見える。相変わらず装着感もほとんど感じない逸品だ。「……やっぱりレンズのせいじゃねえかあああああ!」と絶叫しつつ、某社格安品を燃えるゴミの日にまとめて廃棄した。

このことからわかるのは「やっぱり世の中、モノのクオリティは値段なり」という、身も蓋もない近代の真実である。もちろん様々な例外はあるが、一般論としては「高いモノは大抵、使ってみればその良さを実感する」と言い切ることができるだろう。いい歳こいた大人たるもの、使い捨てコンタクトレンズに限らず何事も、上級な品を普段使いしたいものである。

しかしそこで問題となるのは、「高いモノを買うには高額なマネーが必要となる」という、ごく当然な事実だ。

使い捨てコンタクトレンズぐらいなら筆者もJ社上級品を買えるが、それに合わせて「洋服も」「カバンや靴も」「車も」「住宅も」となれば破産は必至。破産はしたくないのでコンタクトレンズ以外は中級または下級品で済ませることにするとしても、それはそれでストレスがたまる。しかしカネはない。さて、どうするか……。

そういったときに強い味方となるのが「中古品」だ。さすがに「中古のコンタクトレンズ」というのは存在せず、存在していたとしても使いたくないが、車を含むたいていの耐久消費財にはセカンドハンズ品の市場がある。そしてそこで流通している品は、中古品が「セコハン」と呼ばれていた昭和の時代はさておき、今では技術と意識の高まりにより、見た目も機能もかなりいい感じのものが大半である。そういった現代のセカンドハンズ・マーケットを上手に活用すれば、筆者のようなド庶民であっても「上級品」に囲まれた生活を送ることはできる。

具体的な例を挙げれば、ド庶民たる筆者は過去、メルセデスにもBMWにもアルピナにもポルシェにも乗っていた。当然、すべてがセカンドハンズ品である。中古ガイシャのビギナーであった頃に買った安いルノーこそしょっちゅう壊れて閉口したが、ある程度熟練してから購入した中古ガイシャはどれもがステキで、道端で立ち往生するような事態は一度たりとも起こっていない。最近のセカンドハンズ品はなかなか優秀なのである。

▲「愛車の写真を撮る」という習慣がないため、本文に登場するポルシェなどの写真は手元にない。写真上はポルシェの次に購入したアルファGTV。GTVが「上級な車」かどうかはさておき、大変ステキな中古車でした ▲「愛車の写真を撮る」という習慣がないため、本文に登場するポルシェなどの写真は手元にない。写真上はポルシェの次に購入したアルファGTV。GTVが「上級な車」かどうかはさておき、大変ステキな中古車でした

ということでめでたしめでたしとなるわけだが、世の中そう簡単にはいかない部分もある。俗にいう「中古品アレルギー」というか、中古品のことを必要以上に下に見る風潮である。

筆者のような中古品愛好者が「わたくしはド庶民ですが、中古であれば十分買えるのでポルシェ911に乗っています(いました)」というと、必ず「ビンボー人が無理して中古ガイシャ買って乙www 金持ちっぽいと思ってるのは本人だけでwwww周囲からは3ケタナンバーで笑われてるのも知らないでwwwwwwww そんなクソ中古のポルシェより俺だったら新車のヴィッツ買うわwwwwwwwwwwwww」と言う者が現れる。何がそんなに可笑しいのかは知らないが、とにかくよく笑う人たちだ。

別にわたくしは金持ちぶりたいわけではなく、ただただ新車のヴィッツのことをステキだとは思えず(※個人の感想です)、「元」であっても上級な車はその後の余生もそれなりに上級であるという事実を知っていて、かつそれが好きだから、買って乗っているだけである。わたくし個人は新車のヴィッツを買おうとは思わないが、あれはあれで十分以上にナイスな実用車であることは当然知っているし、それを選ぶ人の思想や嗜好を否定しようとも思わない。総額200万円級の国産新車と、同じぐらいの価格の輸入中古車のどちらを選ぶかというのは単純に趣味嗜好の問題で、どちらが「上」とか「正しい」とかの問題ではないのだ。

……が、何を言っても結局は徒労に終わるのだろう。人と人とがわかり合うのはなかなか難しい。ということで、以上のダラダラをお読みいただいて「なるほど、中古の上級ガイシャに乗るのも悪くないかもね!」と思った方は下記の物件リンクをご覧いただき、夢と希望を膨らませていただきたい。「ケッ、知らねえよ。ていうか中古の輸入車とかマジ笑えるんですけど」と思った方は、さようなら。お元気で。互いに信じた道をそれぞれ歩いていきましょう。

▲フェイスリフト後の最新型はさすがにまだ結構高価ですが、この顔つきの前期型であれば現行M・ベンツEクラスも比較的手頃な値段で狙うことは十分可能です ▲フェイスリフト後の最新型はさすがにまだ結構高価ですが、この顔つきの前期型であれば現行M・ベンツEクラスも比較的手頃な値段で狙うことは十分可能です

▲同じくBMW3シリーズ/3シリーズツーリングも旧型ならかなりお手頃。3シリーズが「上級な車」かどうかは意見が分かれるところかもしれませんが、少なくともかなりイイ車であることは間違いありません ▲同じくBMW3シリーズ/3シリーズツーリングも旧型ならかなりお手頃。3シリーズが「上級な車」かどうかは意見が分かれるところかもしれませんが、少なくともかなりイイ車であることは間違いありません

ということで今回のわたくしからのオススメは「意外と手頃な予算で狙える元上級ガイシャ」だ。

text/伊達軍曹