原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年7月16日に発見したのは「日野 コンテッサ1300クーペ」です。コンテッサ1300のエンジンは1.3L(正確には1251cc)の4気筒。それまで日野はルノー4CVをライセンス生産しており、パワートレインはルノーのエンジンをベースにしたものが多かったのですが、このエンジンは日野が自社で設計したものでした。

コンテッサはRR車(リアエンジン・後輪駆動)でセダンとクーペがラインナップされていました。2代目となるこの型(PDシリーズ)はイタリアのカーデザイナー、ジョバンニ・ミケロッティが手がけたもの。輸出もされ、ニュージーランドとイスラエルでは現地パートナーによって組み立てられていたそうです。

総生産台数は約5万5000台、そのうちの約3800台がクーペだったといわれています。ちなみに、2007年にニュージーランドの自動車専門誌が調べたところによると、日本に残っているコンテッサは105台(内訳は不明)だそう。いずれにせよ、レアな存在です。

当時のカタログを見てみると「4人乗・65ps・最高速度145km/h以上・前輪ディスクブレーキ」(国産車で初めてディスクブレーキを採用したんです)、「セダンでは味わえない豪華で、スポーティなムードを楽しみたいカー・マニアの皆様のために、特別設計した高性能車です」とうたわれています。「100キロからの加速も思いのまま」なんてフレーズは、今なら問題になりそうですね(笑)。どれを取っても、ノスタルジックです。

物件詳細に「感動のコンディション」と書かれていますが、写真を見てビックリです。ワンオーナー車で、フルオリジナルって……。45年間も維持し続けてきた前オーナー様に感謝ですね。なかなか、このような物件に出会うことはないでしょう。高いのか安いのか判断に困りますが、この手の珍しい車は仕方ありません。

コンテッサ1300クーペを買うということは、日本の自動車史の一ページを手にすることになります。欧米に追い付け、追い越せと頑張っていた頃の大和魂が宿っていることでしょう。これからも大事に乗り続けてくれるオーナー様が見つかることを願ってやみません。

Text/古賀貴司(自動車王国)

日野 コンテッサ1300クーペ

日野 コンテッサ1300クーペ

本体価格(税込)338.0万円
支払総額(税込)---万円
走行距離5.0万km
年式1968(S43)年式
車検2014(H26)年3月
整備
保証
地域東京