【オンリーワンを探せ】斬新なリアエンドを持つ国産FFスポーツカー
カテゴリー: クルマ
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2013/07/09
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年7月2日に発見したのは「日産 チェリークーペ」です。フロントはベースとなっているチェリーセダンと共通ですが、「プレーンバック」と呼ばれるリアエンドはかなりユニーク。まるで、同時期に販売されていたフォード マスタング・マッハ1からアイディアを拝借しているような雰囲気です(笑)。
チェリーは日産初のFF車で、セダンとクーペがラインナップされました。トランスミッションの上にエンジンを配置する2階建て構造は、ミニと共通です。オースチンのノックダウン生産(パーツを輸入し国内で組み立てる方法)を日産が行っていたことが、少なからず影響しているのでしょう。
当時のカタログには熱い言葉が随所に散りばめられています。「知的な野獣と呼びたい、しなやかな力感。純粋クーペ誕生」、「忘れかけていた抒情(リリシズム)を想い出させるクルマ」、「のびやかにソフトにつつみこむインテリア」……。最近では聞かないフレーズにむず痒さを覚えるとともにノスタルジーを感じる次第です。
当該中古車のチェリークーペX-1は、最高出力80psの1.2L直4エンジンを搭載。カタログでは、「最高速度160km/h、0-400mは16.8秒」と誇らしげにうたわれていました。フロントにストラット式、リアにトレーリング式独立懸架サスペンションが採用されていて、車重は700㎏以下。レースでもFR車と互角に戦っていたことから、チェリークーペは日本におけるFF車のイメージチェンジに一石を投じたといえるでしょう。
物件を見ると、それなりに古さを感じるものの、39年前の車としてはキレイだと思います。右フロントフェンダーにはヘコみが見えますが、簡単な板金で直るので問題ないでしょう。コツコツと愛車をリフレッシュする車道楽の王道が楽しめそうです。
個人的にはあまりにユニークすぎるリアエンドだけで「欲しいっ!」と思ったほど。巨大なCピラーもインパクト大です。この手の古い国産スポーツカーには相場はほとんど存在しません。欲しいと思い価格に納得できれば、一期一会であることを忘れずに接したいものです。
Text/古賀貴司(自動車王国)