【オンリーワンを探せ】バブルの波に消え去った実用的な5ドアハッチバックセダン
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2013/07/02
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年6月24日に発見したのは「トヨタ スプリンターシエロ」です。「ああ、懐かしい」と思われた方は、結構な車通です。なぜなら、たった1世代で消えてしまった車なのですから。当時は、「シエロ、その名は遥かなる天空を意味する。」というキャッチフレーズが使われていました。
スプリンターはカローラの姉妹車で、スプリンターシエロは当時の国産車としては珍しい5ドアハッチバックセダンでした。デビューした1987年はバブル真っ只中で、イケイケドンドンの時代に「値段が安めで、セダンっぽくも実用性に富んだ車」はあまり人気が出なかったようです。最近でこそ5ドアハッチバックセダンは人気(特に高級車市場)ですが、考えてみればトヨタはずいぶん前から投入していたものです。
当該車両は「GT」ですからスプリンターシエロの最上級モデルです。この頃は、DOHCエンジンであることが偉いことかのようにマーケティングされてましたから、リアドアに「TWIN CAM 16」とデカール(装飾用シール)がわざわざ貼られています(笑)。ちなみに1987年モデルのGTは最高出力120psしかありませんが、車重は1tちょっとですから十分でしょう。
この頃のトヨタ車のべロアシートは無駄に光沢がかっていて、TVドラマに登場する古めかしいラウンジスナックみたいな雰囲気が漂よっています。決して批判めいた意味ではなく、いわゆる「ダサカッコいい」んです。ノスタルジックなのは当たり前で、今となってはオシャレだと思います!
走行14万kmと聞くと避ける人も多いかもしれませんが、整備記録簿も付いていますし、パワーステアリングポンプ、ステアリングギアボックス、エンジンのタイミングベルトなども交換されているようです。走行距離だけで敬遠するのではなく実車を見て、感じて、購入を検討されてはいかがでしょうか?
写真を見るかぎり、前オーナーはずいぶん丁寧に扱っていたようですし、これほど程度の良さそうなスプリンターシエロが、今現在どれだけ残っていることか。80年代のヒット曲を流しながら乗ったら、さぞかし楽しいでしょうね。
Text/古賀貴司(自動車王国)