原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年2月14日に発見したのは「トヨタ ミニエース トラック」です。1967年から1975年まで生産された車で、ワンボックスタイプのバンと7人乗り(!?)のコーチもラインナップされていました。搭載するエンジンは800㏄の2気筒水平対向空冷エンジン。1975(昭和50)年の排ガス規制に対応しきれず、あえなく絶版になりました。

当時、軽自動車は排気量が360cc、最大積載量が350㎏。これに対しミニエース トラックは排気量が800㏄、最大積載量が500㎏で、軽自動車に一歩リード。“働く車”としてヒットしたようです。ただ、働く車として人気が高かったからといって現存する車が多いかといえば、そうではありません。というのも、トヨタのスポーツ800、パブリカなどと共通部品が多く、部品を取るための車として扱われてきました。そういう意味で、今まで生きながらえてきたミニエース トラックは希少価値があります。

コンパクト商用トラックとして誕生していますが、今の感覚で見ると愛くるしい感じがたまりません。それだけでなく最小回転半径は3.9mと扱いやすさも抜群。“現行型”の軽自動車がおおむね4m強ですから、いかに小回りが利くか想像できるでしょう。今の時代でも、商用車として使えば、“客寄せパンダ”としても、“宣伝広告車”としても活躍してくれるはず。この車を見るだけで、「あっ、○○○さんの車だ」と認知してもらえますからね。

もちろん、普通に日常の足として乗っても面白そうじゃありませんか? さすがに41年前の車ですから、現代の車と比較するのは間違いです。カーセンサーnetの物件詳細で「装備仕様」を見ると、思わず「ん?」と目を疑ってしまいます。パワーウインドウ、パワステ、エアコン、ラジオ……。潔いほど何にもありません。さすがに「移動の手段」には不向きかもしれませんが、ノスタルジーに浸るには最高の車だと思います。

そして、ハッキリ言って目立ちます。だって、街中で見かける台数はエンツォ フェラーリ並みじゃないですか? 新車時の価格が40万円弱だったことを考えるとまったく値落ちしていませんが、41年前のレアな車でこれだけの状態のモノだと安くも感じます。このままの状態で楽しんでもイイでしょうし、ちょっとずつ自分好みに改造していくのもイイでしょう。いずれにせよ、解脱系カーライフへの入り口です(笑)。

Text/古賀貴司(自動車王国)

トヨタ ミニエース トラック | オンリーワンを探せ

トヨタ ミニエース トラック

本体価格(税込)40.0万円
支払総額(税込)---万円
走行距離3.3万km
年式1972(S47)
車検
整備
保証
地域北海道