画期的なパッケージングで
居住性に優れたコンパクトカー

ホンダ フィット|人気車購入ガイド

コンセプト
タンクを中央に配置して低床化と高い居住性を実現

 ホンダが「21世紀の革新スモールカー」を目指して作り上げた車がフィットだ。車名は、多くの人のあらゆる生活シーンに適応(フィット)するという意味を込めてつけられたもの。デザインや居住性、ドライバビリティ、安全性、そして環境性能というすべての要件を、従来にない高いレベルで達成することを目標としている。
 パッケージングは白紙からのスタートで、同社の理念「M・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム=人のための空間は最大限に、機械部品の大きさは最小限にという考え方)」を追求。通常はリアシート下に置かれる燃料タンクを前席下に配置した「センタータンクレイアウト」を考案し、低床化によってクラスを超えた居住性とユ ニークなシートアレンジによるマルチパーパス性を実現した。なお、このプラットフォームはセダンのアリアやモビリオ、エアウェイブにも転用されている。

メカニズム
エンジンは2種類で5MTや4WDも一部に用意

 メカニズムで注目したいのは、1.3Lのi-DSIエンジンだ。ホンダといえば4バルブDOHCと思いがちだが、このエンジンは2バルブのSOHC。ポイントは1気筒当たり2本配置された点火プラグで、低中回転から加速する際には片方の点火タイミングを遅らせ、ノッキングを抑えて低中速トルクを高めつつ低燃費も実現している。
 1年遅れて追加された1.5Lは、SOHCながら各気筒を4バルブ化。低回転時には片方の吸気バルブを休止して燃焼を安定させ、高回転時には2本の吸気バルブを稼働させて高出力を得るVTEC機構付きとなる。
 トランスミッションは1.3LがCVTのみ。エンジンの点火時期と変速スケジュールを統合制御することにより、さらなる低燃費を実現する。1.5LはCVTと5MTが用意され、CVTは7速パドルシフト付きだ。駆動方式はFFのほか、オンデマンド型の4WDも用意。

エクステリア&インテリア
斬新な外観デザインと利便性の高いリアシート

 エクステリアのコンセプトは「ZENSHINキャビン」。超ショートノーズ化によりキャビンを「前進」させたフォルムを採用することで、「全身」をキャビンのように見せるデザインは、すべてが新しい(全新)車であることをアピールする。
 ホンダらしいシャープなフロントマスクは、アウターレンズに膨らみをもたせたバブルキャノピーヘッドライトが特徴。あえて中の構造を見せることによって機械らしさを演出する手法は、当時は斬新だった。
 インパネはモノトーンでまとめられたスポーティなカラーリングでスタートしたが、後にブラウン系も加わっている。
 リアシートは「ウルトラシート」と呼ばれるもの。背もたれを前に倒すだけで足元スペースにダイブダウンし、低床のラゲージと段差のない広大なスペースが出現する。さらに、シートクッションだけ跳ね上げれば1280mmの室内高を活用可能だ。

インプレッション
市街地重視の1.3Lと走りを楽しめる1.5L

 ホンダ車らしい軽快なハンドリングのフィットだが、ファミリィカーとしては硬めの乗り心地。特に初期モデルはその傾向が顕著だが、H15年10月の一部改良で乗り心地が改善されている。できればそれ以降のモデルを選びたい。
 1.3Lモデルは変速スケジュールが燃費重視で、低回転で粘らせる設定。そのため、キビキビ走らせるにはアクセルを多めに踏み込む必要があり、燃費は乗り方次第でかなり差が出る。
 ワインディングを楽しみたいなら、1.5Lモデルのほうがオススメ。高回転までよく伸びるし、実用燃費の差も意外に小さめ。

バイヤーズガイド
狙い目グレード
流通量が豊富で理想の一台を見つけやすい

 予算を抑えたいなら、全年式中で最も物件数が多いH14年式を。中古車相場が低く、充実装備の1.3Wが40万円台で見つかることもある。後期型ならH16年式とH17年式から。これは、H18年式で相場が大きくアップするからだ。全年式を通して豊富なのは1.3A。ただし全体量が多いため、1.5L車を含む他グレードも探しやすいはずだ。

購入時のチェックポイント
可能な限り試乗して不具合がないかを確認!

 リコール情報はいくつかあるが、対象台数が多いのはブレーキランプが点灯しなくなる不具合。H16年6月から12月の間に生産された車両の一部に見られる現象だ。該当車両は、対策済みかを整備手帳で確認してみよう。また、よく聞かれるのは、EGRバルブ不良による走行中のノッキング。こちらは初期の車両で希に起こるようだ。


ホンダ フィット フロント|人気車購入ガイド
↑ロングホイールベースとワンモーションフォルムにより、ミニバン的なスタイルを実現。立体的なヘッドライトのデザインが個性を際立たせている
ホンダ フィット リア|人気車購入ガイド
↑リアガラスの下端を張り出させたことで、ボリュームのあるリアビューに。サイドから一直線に続くキャラクターラインにより、一体感が生まれている
ホンダ フィット ウルトラシート|人気車購入ガイド
↑デビュー時はグレートーンを基調とし、シックな印象。アルミ調独立3眼メーターやメタリックパネルを採用しており、スポーティさを強調している
ホンダ フィット ウルトラシート|人気車購入ガイド
↑燃料タンクを車体中央に配置し、リアサスにコンパクトなトーションビーム式を採用。大幅な低床化と1280mmという余裕の室内高を実現した
ホンダ フィット 走り|人気車購入ガイド
↑ライバルのコンパクトカーに比べ、乗り味はスポーティ路線。特に1.5Lなら、キビキビとした走りが楽しめる

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ホンダ フィット【モデル概要編】/旬ネタ