クライスラー PTクルーザーコンバーチブル スタイリングスタディ(2001年ニューヨークオートショー)→PTクルーザーカブリオ(2004年)

PTクルーザーコンバーチブルのベースは言わずと知れた、クライスラーPTクルーザー。PTクルーザーは1999年に北米デビューすると、たちまち大ブレイク。それを見て慌てたかどうかは定かではないが、GM(ゼネラルモーターズ)がHHRという、似たようなコンセプトモデルを市場投入するほど、PTクルーザーは北米で大ヒットした。

そしてそのオープンバージョンは、PTクルーザーコンバーチブル スタイリングスタディとして、2001年春開催のニューヨークオートショーで世界デビューを果たし、秋開催の東京モーターショーへも出展された。左下の写真は、その東京モーターショーでの出展風景である

クライスラー PTクルーザーコンバーチブル スタイリングスタディ| 日刊カーセンサー → | 日刊カーセンサークライスラー PTクルーザーカブリオ| 日刊カーセンサー

2004年3月より北米市場から順次海外市場のクライスラー正規販売店へのデリバリーが開始され、日本導入は2004年6月となった

アメリカン・カスタムカーの趣き

クライスラー PTクルーザー・コンバーチブル・スタイリング・スタディ ルーフオープン| 日刊カーセンサー2001年のニューヨークオートショーで鮮烈なデビューを果たした、PTクルーザーコンバーチブル スタイリングスタディ。ディープシャドーブルーパールのボディカラーをまとったショーモデルのスペックは、全長4288×全幅1704×全高1537mm。

PTクルーザーに比べ、リアのデザインが変更され、ドアが長くなった。また、バンパーがボディと同色なので、さながらアメリカンカスタムカーの趣きがあった。グリルにはクロームアクセントが施されたほか、PTクルーザーより38mmローダウンされたことで、より精悍な顔つきであった。

その年の秋には、東京モーターショーでも出展された。ちなみに、右の写真は2003年ジュネーブショーでの出展模様だ。おそらく出展モデルは北米仕様をほぼそのままもってきていたと思う。灯火類など細かい部分が日本向け市販車では変更されているはずだ。

アメ車マニアなら初期ロッドがおすすめ

クライスラー PTクルーザー・カブリオ リア| 日刊カーセンサー2004年6月に「PTクルーザー・カブリオ」と命名され、日本デビュー。全長4330×全幅1750×全高1540㎜とワイドになって登場したが、「スタイリング・スタディ」とあまり変わらない姿であった。ちなみにPTクルーザーよりも90mm低かったので、ルーフを閉じたときに、フロントマスクがより目立つような印象だ。

日本に導入されたのは、装備が充実した「PTクルーザーカブリオ リミテッド」のワングレードのみで、価格は334万円。2.4L DOHCエンジンに、左ハンドル&ATが組み合わされた。

当時北米では、オープンカー市場の約15%シェアをクライスラーセブリングコンバーチブルが占めており、PTクルーザーカブリオはこのシェアをさらに拡大すべく投入された“セグメントバスター”モデルであった。また西ヨーロッパでも、コンバーチブル市場が急速に伸びており、2001年の販売台数は15万台に達した。その一方で、クライスラーPTクルーザーは3万9000台を販売、そのうちドイツ国内での販売が1万700台を占めていたことが、このオープンモデルの販売に関し力強いプッシュを受けたのであった。

ちなみに、ノーマルのPTクルーザーは2000年4月に日本市場でデビューしている。千葉県浦安で開催されたメディア試乗会で試乗したのだが、本国仕様が2.4Lエンジンなのに対し、日本仕様は2Lエンジンとなり、同じクラスのセダンであるクライスラーネオンに比べるとやや重たい印象があったことを記憶している。デビュー当時、初期ロッド生産モデルのみがメキシコのトルーカ工場製との話が広がり、初期ロッドモデルを求めるマニアがディーラーに殺到したという話も聞いた。

クライスラーの右ハンドル車は基本的にオーストリアにある、クライスラーの子会社で生産され輸出される。そのためアメリカ車マニアは初期ロッド生産モデルを狙うのである。

カブリオと関係ない話に聞こえるが、これが実は関係があるのだ。2004年にカブリオが日本に初導入されたときは、左ハンドル車だったのだ。2007年に右ハンドル化されるのだが、少なくとも右ハンドル化までのカブリオは、北米もしくはメキシコ生産モデルとなる。そのためアメリカ車マニアの間では、「PTクルーザーを買うなら、左ハンドルで北米生産モデルの前期カブリオしかない」などという話が出ていたほど。

同じ車でも北米生産と欧州生産では、マニアから見れば印象はだいぶ変わってくる(細かい注意書きなどのステッカーが違っていたり、内装のにおいも多少違うなどという人もいるほど)。ほとんど変わらなくても「欧州製のアメリカ車」はアメリカ車マニアのテンションも下げてしまう。しかし、そんなマニアックなこだわりがなければ、どこで生産されようが大きな個体差はないのでご心配なく。