第84回 ホンダ NSX-R 【見つけたら即買い!?】
2009/09/02
■「唯一の国産スーパーカー」をさらに高性能化
バブルの残り香が漂う1990年に登場したホンダNSXは、性能的にも価格的にも「日本唯一のスーパーカー」と言うにふさわしい車です。今回取り上げるのは、このレーシングモデルであるNSX-R(タイプR)。シビックやインテグラなど、ホンダのスポーツモデルを象徴する「タイプR」という名は、この車から始まりました。2度のビッグマイナーチェンジを行ったNSXは、前・中・後期の3つに分けることができます。このうち、前期型に1992年11月から3年間の期間限定で設定されたのがNSX タイプR。そして後期型の2002年5月から設定されたのがNSX-R。実に7年ぶりの復活でした。新車時の価格は、前期型が970.7万円、後期型は1195.7万円でした。
前期型はノーマルグレード同様、リトラクタブルのライトが特徴的。3LのV6DOHCエンジンを搭載し、遮音材や快適装備などグラム単位の削減により、約120kgの軽量化が実現されています。装備面ではレカロ製フルバケット電動パワーシート、MOMO製のステアリング、チタンのシフトノブなどが採用されました。
さらにクランクシャフトのバランスやピストン、コネクティングロッドなどの精度向上が図られています。ファイナルギアのローレシオ化、専用ショックアブソーバーの採用、アライメントの見直し、ボディ剛性の向上など、サーキットでの走行を前提に徹底的な改良が加えられ、限界性能が高められました。
後期型もベース車と同じ3.2LのV6DOHCを搭載し、基本的に変更内容も同様ですが、加えて空力の性能向上が行われています。ボンネットにはエアインテークが加えられたほか、フロントアンダーカバーやリアディフューザー、大型のリアスポイラーが装着され、操縦安定性の向上が図られました。ボンネットやリアスポイラーにはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用し、一層の軽量化が行われています。
スーパーカーというと敷居が高いようなイメージがありますが、NSXは普段からアイポイントの低いスポーツカーに乗っている人なら、それほど違和感なく運転できるはず。さすがは日本のスーパーカーだけあって、フェラーリやランボルギーニなどに比べれば扱いやすく、ボディサイズをもて余すようなことがありません。
走行性能は圧巻の一言。軽量ボディを生かした爆発的な加速力、シャープなハンドリングは官能的ですらあります。ワイドなトレッドと、剛性の高さによる抜群の走行安定性は、ホンダ好きなら一生に一度はぜひ味わってほしいものです。乗り心地や快適性も、往年のスーパーカーに比べればはるかにマシといえるでしょう。
NSX-Rは生産終了から4年が経過する現在でも、高額で販売されています。原稿執筆時点でカーセンサーnetに掲載されている台数は6台。このうち前期型が4台で698万~960万円、後期型は2台で1190万~1530万円となっています。正直なところ、なかなか簡単に手の届く金額ではありませんが、一生車庫にしまい込んでおかない限り、リセールバリューは期待できます。値落ち率の少なさでは、日本車でも屈指の存在と言えるでしょう。
ホンダの首脳部はNSXの次期モデルをハイブリッドで生産する意向を示しています。つまり次期型は、NSXとまったく違う性格の車になる可能性が非常に高い。個体としてのNSXはもちろん、レシプロエンジンの国産スーパーカーに乗るチャンスは未来永劫にないかもしれません。スーパーカー好きは、ぜひそうなる前に「即買い」を。興味を持った方は、検索窓に「NSX-R」と入力してみてください。
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第84回 ホンダ NSX-R 【見つけたら即買い!?】/旬ネタ
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