マツダ デミオ VS スズキ スイフト　PART6：スポーツ走行対決

その気になればとことん楽しませてくれるスイフト

グレード名は共にSPORT。日本語のカタカナ表記では、スポーツ（スイフト）とスポルト（デミオ）となる。発音こそ異なるが、どちらもシリーズの中では、走りを意識したグレードだ。

が、両車のキャラクターは、立ち位置がいささか異なるのだった。“中辛かそれ以上”なのは、スイフトスポーツのほう。この車はシートに座った瞬間からソノ気にさせられるムードがプンプン。撮影車はレカロシート（デザインはガンダムチックでやや子供じみているが・・・）だったから、運転姿勢をしっかり保持、シフトフィールもコキッ！と硬質。これだけでももう走る気満々といった空気が漂う。

そしてエンジンを始動させて走り出せば、小気味いいスイフトスポーツの走りの世界にどっぷりと浸れる。特に125ps／15.1kg-mを叩き出す1.6LのDOHCエンジンは絶品で、回すほどにパワーがみなぎるのが素晴らしい。VVTの効果もありパワーのピックアップが良く、積極的にシフトでギヤを選びながら、常に前方に車が吸い付けられるような印象で走り回れる。

また4000rpm以上での“コォォォ・・・”という胸のすくサウンドも心地いいもの。2輪メーカーでもあるスズキだけに、音までもバイクのエンジンのセンスで仕立てられているというわけだ。

ステアリング系の剛性感の高さも魅力。とはいえ山道などでは身のこなしはしなやかで挙動も自然。ただガチガチのハードな車という印象はない。標準車のスイフトも欧州車風のしっかり感の高い走りが特徴だが、スイフトスポーツはそれに輪をかけたスポーツマン、である。

普段はゆったりでも、ときにはスポーティに行きたいデミオ

ではデミオスポルトは？スイフトスポーツと比べると、スポーティであるが甘口と中辛のあいだ・・・といったところか。コチラは1.5LのDOHCを搭載、スペックは113ps／14.3kg-mだ。

この車でおもしろいのは、マニュアルミッション車ながら、AT車のようなズボラな運転も許すということ。とくに3速ギアの守備範囲の広さが印象的で、撮影場所の山道で、3速維持を決め込んでも十分に走り切れるほどだった。6500rpmまでの許容範囲で、高速道路では1速で約50km/h、2速で90km/hまで使え、5速は100km/hで約3000rpm。

回した際のエンジン音はスイフトスポーツのそれに比べ、色気こそ乏しいが、柔軟なエンジン特性がスポーティな走りでも生かせる・・・そんな印象。日常ユースでも、気難しさとは無縁だから、マニュアルでも苦にならないはずだ。

それと“軽さ”はデミオスポルトの大きな武器だ。試乗車で1000kgだったが、軽量化を尽くしたボディのおかげで、山道でのヒラヒラとした軽妙な身のこなしを実現している。サスペンション、フロントブレーキなどは専用だが、標準車に対してのチューンアップ度の幅は、それほど大きくない。ただし高さ調整の利く運転席は、低めにセットしたほうがしっくりとくるのはスポーティ。