ホンダ フィット VS トヨタ ヴィッツ　PART1：走行性能対決

CVTがスムーズで街乗りの扱いやすさが光るフィット

コンパクトカーの強みは、臆せずどこへでも入って行け、気軽に日常的な用途でも使いこなせるところにある。勢い、あくまで“主目的”は実用であり、快適性は二の次で、走りも割り切っているんでしょ！？と、多くの人は思うのではないだろうか。

しかし今やそれは誤解。今回ロケに連れ出したフィットとヴィッツは、いずれも1.3Lエンジンを積む、いわば、ごく普通の車にすぎない。なのに今回走らせて、改めて実感したのは「全然問題なし。これでも十分！」というものだった。

走りに関わるスペックをおさらいしておくと、今回の2車は奇しくも1.3L(フィット1339cc：ヴィッツ1296cc)と同クラスのエンジン排気量で、ともにCVT（フィットは内製、ヴィッツはアイシンAW製）が組み合わせられるのも共通。ただしエンジン性能はフィットが100ps／13.0kg-mなのに対しヴィッツは87ps／11.8kg-m と、数字上はフィットが上回っている。車重もどちらも1030kgと同一。

まずフィット。コチラは旧型から一転、走りっぷりにグンと落ち着きが増した。旧型は最終型でかなり改善されたものの、ピョコピョコとピッチングを伴う乗り心地が気になったもの。しかし新型はフラットライドを手に入れ、乗り心地が断然快適に。高速走行時の直進安定性の高さ（とメカノイズが小さく静粛性が高い点）も目を見張る。

突発的な大入力にガツン！と反応することがあり、この点がマイルドになればなお良く、ステアリングの操舵感の人工的なタッチがより自然になり、高速走行時にやや重さが加われば一層グッドである。

エンジン性能も、CVTが実にスムーズなこともあり不満を感じない。とくに2000rpm以下でのトルク感が十分なので、日常的な領域で扱いやすい。同時に高回転までストレスなくキレイに回るのはホンダ車らしいところ。出足の“飛び出し感”がないのもいい。

ヴィッツは試乗したモデルだとやや不満が残る

他方でヴィッツも、乗り味の良さはこの2代目登場以来の美点。ピッチングが少なく足がしなやかにストロークし、4本のタイヤが常に路面を舐めるように接地している感じは、上級のセダンに乗っているかのようだ。

ただしエンジン性能は、この1.3Lの場合、納得しがたい部分がある。運転のしかたでカバーが可能だが、全体にやや踏み込み気味のアクセル操作になり、エンジン回転（と音）が高まりがち。アクセルをグイと踏むタイプのドライバーだと出足の飛び出し感もあるし、低速でややギクシャクしたり、キックダウンさせた際に“ウッ”と車が加速をためらうようになったり・・・と、やや古いCVTに乗っているかのよう。走り出してスピードが乗ってしまえばOKなのだが・・・。