THE!対決

PART5 フル乗車対決

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之
トヨタ クラウン
トヨタ クラウン 走り トヨタ クラウン 後席(乗員あり)
↑大勢乗ればその分重くなるが、だからといってエンジンを余計に回さないと…という感じはうけなかった。後席はアームレストをしまえばフラットなシートが登場。2名でも3名でもゆったり乗れる
トヨタ クラウン 後席(乗員2名) トヨタ クラウン 後席(乗員3名) トヨタ クラウン 後席(乗員なし) トヨタ クラウン 後席乗り降り
日産 フーガ
日産 フーガ 走り 日産 フーガ 後席(乗員あり)
↑クラウンと比べると後部座席中央の座り心地が気になった。だが重さが加わることで乗り心地に安定感が増した印象のあるフーガ。大勢乗った時までスポーティでなくてもいいという考えの表れか
日産 フーガ 後席(乗員2名) 日産 フーガ 後席(乗員3名) 日産 フーガ 後席(乗員なし) 日産 フーガ 後席乗り降り

クラウンの後部座席はフラットで3人でも乗りやすい

何度か書いてきたが、内輪の事情ながら、本対決企画のロケ時の “山場”のひとつなのが、この「フル乗車試乗」だ。なぜなら同乗者にとっては、「ウー」とか「あー」とか、とにかく声を出してなければいられないほど過酷か、またはコメントする間もなくオチてしまえるほど快適か・・・と、臨んでみて初めてわかることばかりの、スリリングな仕事だからだ。

今回はどちらかといえば、前段の例でいえば後者。ドライバーであるレポーターが「どう?」と訊いても、同乗者からは「ステキだなあ」の返事がかえってきたあと、しばし車内では皆、割と無口なのだった。ま、それは、快適性が高いことの証明でもあるのだが・・・。

クラウンはスタート時から「エンジンかかっているんですか!? 振動も含め超静か、ビックリ」との声が。同時にインテリアもフーガよりラグジュアリー方向の匂いが強いせいか、走り好きでマニアなスタッフからは「昔でいえばロイヤル。今のアスリートはキャラクターが少し曖昧」との声も。というか、同スタッフ(F)はクラウンに個人的な何かがあったのかどうか知らないが「ステアリングの王冠をやめてヘルプネットのボタンにしたらいい」という声をSONYのICレコーダーICD-MX50に残した。

クラウンのオーナーの年齢層にさしかかったレポーター自身は、センスはともかく、乗り味など、ちょうどいい落とし所だと思うのだが・・・。

後席は「中央でもフーガより座面が平坦なので座りやすい」「両側のシートが倒せるのはポイントが高い」との評価があがった。ただしリクライニングのスイッチはセンターアームレスト部にあり、3名着座状態では当然ながら操作不能に。

乗り心地は5人乗車だと「フーガのほうがいい。クラウンは路面の細かなショックを拾う、気になることがある」との意見があった。とはいえ、フーガと同銘柄のタイヤを履いていたが「エンジン、タイヤのノイズの伝わりかたが全然違う。だけど耳障りじゃない」と、取材後のランチはどこへ行くか?の相談さえ可能なクラウンならではの快適性と静粛性の高さが評価された。

フーガは1名乗車だと暴れるともとれた部分が見事に収束

フーガは、助手席同乗者から「Aピラーの圧迫感が少しある」との声。ピラーの断面形状が奥行き方向に厚みを持たせ、室内側にせり出して感じるからだ。またドアと中央のアームレストに「微妙な高さの差がある」のが気になるとの意見もあった。シートサイズは「昔のこのクラスは、小柄な中年のオジサンでも大丈夫なほど小さいイメージだったが、今は大きくゆったりしている」と評価された。「シートの革が滑らなくていい。空調付きだし」との指摘も。

一方で後席は「ぜんぜん余裕」と、スペースの広さは好評。「オチれる」との快適性への最大評価の声もあがった。2名乗車とフル乗車(5人)の両方を体験したスタッフからは「フル乗車のほうが乗り心地がいい」との感想も。ただ後席中央席は「盛り上がっていて少し座りづらい」とのこと。FRレイアウトのためフロアトンネルも出っ張っており、タクシーに同乗するサラリーマンのもっとも部下状態・・・という訳だ。

さらにインパネ中央部のスイッチが集中したパネル部分はブルーの照明のため「夜になると凄い、派手」とのこと。

加速時に聞こえるエンジン音も、クラスに照らせば大きめ。しかし「させている」「味付けだろう」と、エンジン音が“演出”であるとスタッフは理解した。ただしタイプSということもあってか、タイヤノイズがやや大きめには感じる。同様に乗り味も「硬いというより、しっかりしている」とのこと。
今回のまとめ
両車とも文句のつけどころのない優れた乗り心地を実現している。しかしハイレベルな部分であえていうと、フーガは5人乗って重さが加わることで滑らかさが強調された。ひとりで乗るならスポーティ、大勢で乗るならコンフォート。ある意味スポーティセダンの方向性としては正しいかもしれない
今回のテスト車両
トヨタ クラウンアスリート フロント|THE!対決
トヨタ クラウンアスリート リア|THE!対決
トヨタ クラウンアスリート インパネ|THE!対決
トヨタ クラウンアスリート
テスト車両 3.5アスリート
Gパッケージ(2WD)
567.0万円
駆動方式 2WD(FR)
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4870×1795×1470
ホイールベース(mm) 2850
車両重量(kg) 1660
最小回転半径(m) 5.2
乗車定員(人) 5
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 3456
最高出力
[kW(ps)/rpm]
232(315)/6400
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
377(38.4)/3500
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 71L
10・15モード燃費
(km/L)
10.0
タイヤサイズ 225/45R18
日産 フーガ フロント|THE!対決
日産 フーガ リア|THE!対決
日産 フーガ インパネ|THE!対決
日産 フーガ
テスト車両 350GTタイプS(2WD)
468.3万円
駆動方式 2WD(FR)
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4935×1805×1510
ホイールベース(mm) 2900
車両重量(kg) 1710
最小回転半径(m) 5.6
乗車定員(人) 5
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 3498
最高出力
[kW(ps)/rpm]
230(313)/6800
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
358(36.5)/4800
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 80L
10・15モード燃費
(km/L)
9.3
タイヤサイズ 245/40R19