開かずの踏切の実態を総持寺踏切に見た!

道路と道路を遮る遮断機、けたたましく鳴り響く警報機。停車してからすでに10分が経過。ミラーに映る車の長蛇の列。運転席に座るドライバーの表情からは、苛立ちの様子が見て取れる。そうここは、開かずの踏切。
ということで、人・自転車・バイク・車。あらゆる交通の敵とも言える開かずの踏切について検証してきました。テレビ番組で取り上げられることも多い開かずの踏切ですが、何をもって“開かず”なのか。実は、きっちりとした定義の上で語られているのです。そして特性により大きく2分されます。

国の道路・交通を司る、国土交通省によると
・開かずの踏切=ピーク時の遮断時間が1時間あたり40分以上となる踏切
・ボトルネック踏切=1日あたりの踏切交通遮断量が5万台時以上となる踏切

と呼ぶそうです。「ボトルネック」を直訳すると「瓶の首が狭いところ(yahoo辞書による)。まさに、詰まっていく様子を端的に表している命名だとは思いますが、開かずの踏切のほうがわかりやすいのは、言わずもがな、です。
総持寺踏切|CS探偵団 バックミラーに映る踏切待ち車両|CS探偵団 総持寺踏切名称|CS探偵団
↑電車は見えずに遮断機が下りている状態。これぞ開かずの真骨頂(左) サイドミラーには車の列が(中) 踏切名称は総持寺踏切。日本でも有数の開かず(右)
さて、そんな開かず(ボトルネック含む)の踏切。平成18年8月の同省による調査では、関東、関西の都市部を中心に、全国で1423ヵ所(開かずとボトルネックの合計)あるのだとか。

そんななかから第1回目として探偵団が選んだのは…東京-横浜間を走るJR京浜東北線、鶴見~新子安間にある「総持寺踏切」です。好んで突入する人がいるとは思いませんが、検証するためには、自分が最前線に立ち苦しみを味わわないといけません。

文字通り“突入”した総持寺踏切。どれぐらいの開かずだったのかというと、意外と開きます。が、閉まる速度がハンパない。トータルテンボスのツッコミ担当のアフロ藤田さんが「マジ、ハンパねぇ」と言いそうなほど。遮断機が上がって、10秒もたたないうちに下りたこともありました。

加えて距離が長い。実際には11路線(京浜東北線に加えて東海道線、横須賀線、他貨物線)もあるので、60mもあります。世界記録で北京オリンピック陸上100mを制覇したウサイン・ボルト選手でも、計算すると6秒かかることになります。
歩道橋誘導看板|CS探偵団 歩道橋誘導ペイント|CS探偵団 総持寺架線人道橋|CS探偵団
↑いたる所に人道橋=歩道橋へ誘導する看板を見かける(左中) 看板の誘導どおり、踏切の向こう側へ渡るには歩道橋を使ったほうが圧倒的に早い(右)
これだけ閉まっている時間が長い、早く遮断機が下りてしまうと、歩行者が遮断機をくぐって、線路内に立ち入ってしまうこともあります。総持寺踏切ではありませんが、遮断機が下りた踏切に入って、実際に死亡事故も起きているそうです。そんな事故を未然に防ぐため、総持寺踏切では監視ポストに監視員を置き、半手動で踏切の遮断機操作を行っているということです。

事故を未然に防ぐ防止策「監視員制」に直撃

路線も多く、距離もある踏切で事故を未然に防止するため、監視員の方が常駐されて、監視にあたっています。取材時に総持寺踏切で監視にあたっている監視員の方に、運良くお話をお伺いすることができました。
総持寺踏切監視ポスト|CS探偵団 監視ポスト取材|CS探偵団
↑この白い小屋が監視ポスト。遮断機の操作を半手動=踏切内に人が取り残されないよう操作する(左) 監視員の方にお話を聞くときに撮ってもらいました(右)
Q) 一番“開かず”になる時間帯はどの時間帯ですか?
A) 朝の通勤/通学ラッシュ時が一番開かない、というイメージがありますが、実際は貨物列車の運行が増え始める19時~21時が一番開かずの踏切になります。

Q) ポスト内ではどんな監視業務を行っているのですか?
A) 半手動での踏切開閉を行っています。踏切が11路線あって60mと長いので、踏切内に取り残される方もいらっしゃいます。そういった方のため踏切が閉まるのを手動で制御したり、拡声器で早く渡るよう促したりしています。

Q) 踏切の監視は、どんな体制で行っているのですか?
A) 監視は24時間、2交代制で行っています。夜間の時間帯でも、車も人も、そして電車も通りますので、事故を未然に防ぐという観点からは24時間の監視が必要なんです。

スムーズな交通の流れを作るため、そしてなによりも安全を守るために日々業務にあたっているということでした。

最適な迂回ルートを探しだし時短を目指せ!

ここで気になるのは、踏切を迂回して、反対側に出る方法はないの?ってことでしょう。運が良ければ、遮断機に引っかかることなく渡れることもあるようですが、引っかかってしまうと、最悪10分以上待たされることもあるようです。歩行者や自転車には、すぐ脇に人道橋という名の歩道橋がありますが、車やバイクはどうしたらいいのか。最適な迂回ルートを探すため、鶴見駅西口のタクシー運転手さんにお話を聞きました

Q) 開かずの総持寺踏切を渡らずに向こう側へ行く最短の迂回ルートは?
A) 大ガード(正式名:鶴見ガード)を通るしか手段はないね。時間はぜんぜん早いよ。比べ物にならないね。

お話を聞いた運転手の方たちは、口を揃えてこう言います。歩行者や自転車の方は、すぐ脇の人道橋を渡る。車やバイクの方は、迂回して大ガードを通るのが、総持寺踏切攻略の最善の方法だと判明しました。

総持寺踏切迂回ルート|CS探偵団
大きな地図で見る
↑これが“大ガード”と呼ばれる迂回ルート。距離は圧倒的に遠いも、早く、ストレスなく向こう側まで到達できる。気になる人は地図をチェックされたし(左右)
タイミングによっては踏切をすんなり通過したりできるので、一概に迂回したほうが早いとは言えませんが、それを運試しとして“開かず”に突っ込むのもいいかもしれませんね。

<Report/カーセンサーnet編集部 福田>