小型EV「フィアット 500e」ってどうなの? 身長186cmの編集部員が市街地+高速ルート往復70kmコースを夏場・冷房アリで走った正直な感想、教えます
2023/10/06
電費や使い心地が気になる電気自動車を「1泊2日」利用し、リアルな感想をお届けする本企画。行き先は、じゃらん(リクルートが発行する旅行情報誌)編集部が選ぶオススメ宿なので、道や充電環境も様々で、旅路で起こったいろいろなハプニングやエピソードも含め、電気自動車の実用性を検証します。
今回、じゃらん編集部に指定された宿は有馬温泉の「有馬ロイヤルホテル」。有馬温泉街はタイトな道が多いとの情報ももらったので、試乗車は超コンパクトな電気自動車「フィアット 500eオープン」をチョイスしました。
500e/500eオープンの購入や有馬温泉に旅行を考えている方はぜひご参考に!
1.フィアット 500eオープンはディーラーで借りられる!
こんにちは、カーセンサー編集部の芝本です。出身が大阪ということでドライバーを任されました。小さい500eオープンを割と大きめ(186cm)な僕がレポートしていきます。
今回の試乗車は、フィアット/アバルトの正規ディーラー「フィアット/アバルト新大阪」がカーシェアリングサービス「エニカ」で貸し出している車両です。エニカといえば、CtoCのカーシェアのイメージがありますが、今は多くのディーラーでも導入され、より気軽にユーザーが試乗できるようになっているんです。
僕のように2日間という長期のレンタルも、空いてさえいれば可能。ちなみに今回は2日間のレンタル料と保険料で2万8500円でした。決して安くはありませんが、最新の車両を借りられて、手続きもアプリで完結する(当日、書類へのサインなどは不要です)というのはありがたい。
フィアットだけでなく、様々なメーカーのディーラーが参画しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください!
2.航続距離335kmはホント? 大柄な男性目線の乗り心地も報告
本題の試乗インプレッションの前に、フィアット 500eオープンと芝本のボディサイズについておさらいさせてください。ここ重要です。
フィアット 500eオープンは、全長3.63m×全幅1.69m×全高1.53mという、日本の軽自動車よりもさらにひと回りコンパクトなボディサイズ。(軽自動車のホンダ N-BOXは全長3.39m×全幅1.47m×全高1.79m)
そんな超コンパクトな500eオープンに乗る僕の全高は1.86m! 全幅も決して狭めではない「大柄男性」の部類です。調べたら、フィアットの故郷・イタリアの男性平均身長は176㎝らしく、本国でも「大柄」な僕の背丈で果たして快適なドライブはできるのか?
そのあたりも検証していきます。
500eオープンは、バックミラー付近にあるボタンで幌の自動開閉が可能。インパネまわりはガソリンモデルの500の雰囲気を踏襲したデザインと10.25インチのタッチパネルモニターが特徴的でした。Apple CarPlayも使用できたので、機動性もバッチリ。
そして、懸念していた全高問題ですが……なんと、無事クリア! 天井に頭が付いてしまうのでは……と想像していましたが、しっかり拳1個半ぐらいの余裕がありました。
一方で、想定外だったのが足まわりのスペースです。左足置き場のスペースがかなり狭く少々運転しづらい……。ちなみに僕の足のサイズは29㎝です。
室内の快適性については身長が一番の懸念点だと思っていましたが、まさか足のサイズが重要だったとは……。ということで、足が大きめな人はちょっと窮屈に感じるかも。
そして、多くの人が気になるであろう「充電はどうなの?」問題。
フィアット 500eオープンの満充電航続距離(充電100%で走れる距離)は335km(WLTCモード)とカタログに記載があります。今回の目的地までの距離は片道約33㎞。つまり充電は一度もせず、余裕で往復できる予定ではあるのですが、果たして……!?
せっかくなので、順を追って報告します。
取材日は9月半ばの平日。気温は30度前後で、まだまだ冷房が必須だったので24度をAUTOで設定し、スタートしました。
平日ということもあり、道は渋滞なく快調なドライブ。
500eオープンには3つの走行モードがあります。ガソリンエンジンのようなフィーリングでEV感の少ない「ノーマルモード」、とにかく電力消費を抑える「シェルパモード」、いわゆるワンペダル走行になる「レンジモード」です。
実は僕、電気自動車のフィーリングが苦手……ということもあり、スタートから高速に乗るまでは「ノーマルモード」。高速に乗ってから宿までは「レンジモード」で走りました。
この車のEVらしさを感じたのは、高速道路に入ってから。合流でとにかくスムーズに加速してくれるので、レーンが短くても「怖い」という思いをすることなく快適に走ることができました。
高速道路は時速80km前後で走行。アダプティブクルーズコントロールもちょっと使ってみたのですが、加速時の無機質な挙動が個人的にやや気持ち悪く、使い続けることができませんでした……。(これは500eオープンに限らず、僕の好みの問題かも)レーンキープは自然な挙動だったので、常にONにしたまま走りました。
高速はまったく混雑していなかったので、「レンジモード」のワンペダル・回生ブレーキの恩恵を感じたのは高速を降りてから。大前提、僕は電動車の「ワンペダル」が好きではないのですが、500eオープンは不快に感じませんでした!
ガソリン車の感覚でアクセルを離しても、急な減速に感じないくらいの回生ブレーキです。もちろん、ガソリン車よりは減速するものの、その感覚に慣れるまでは10分くらい。良い意味で電気自動車っぽさが強すぎない車だと感じました。
最も電力を節約してくれる「シェルパモード」だともう少し強いのかも? このモードは自動でエアコンもOFFになってしまうので、今回使用しなかったのですが、モードによって乗り味は確実に変わると思います。
有馬温泉街についてからは、500シリーズならではのコンパクトなボディサイズが本領発揮。細い道でもスイスイ走ることができ、さすがイタリア ローマの狭い石畳の道を走るために作られた車だなと感じました。
そういえば、日本の温泉街も狭い道や石畳が多いイメージがあるので、温泉好きこそイタリアンコンパクト、という発想はアリかも?(笑)
結果、片道33kmは全然余裕で、宿についた時の電池残量は85%でした。これくらい残っていれば「念のために充電しとくか」みたいな気持ちにもならず、夜は充電せず駐車。
翌日も、初日と変わらないような天候だったので「行きの電力消費であれば余裕だろう!」ということで、追加充電ナシ&全く同じ道で大阪に戻る……はずだったのですが。実は道を間違えてしまい、若干遠回りして帰り着くことになりました。
そのため、帰りは約37kmで合計70kmのドライブ。
帰りの道のりで気になったのは、下からの突き上げ感。安定感はあるのに、高速道路の「継ぎ目」のような場面だと、突き上げ感を感じました。市街地が安定していたので、より違和感を感じたのかもしれませんが、実際のボディよりやや大きい車体を動かしているような感覚。ちょっとだけ気になりました。
そんなこんなで、スタート地点の「フィアット/アバルト新大阪」に到着! さて、気になる電池残量の発表です。
約70㎞走って残った充電残量は……67%! 一度も充電せず、70kmを冷房ONで走っても、まだ150km以上走れる状態でゴールでした。
電費を意識した走りもとくにしていなかったので、走り方によってはもう少し残量を残せるかもしれません。
以上が、フィアット 500eオープンのレポートです。
天候や乗車人数、走り方によっても電力消費量は変わってきますので、参考までに。
3.目的地「有馬温泉ロイヤルホテル」も最高だった!
ここからは、目的地に設定してもらったお宿のご紹介!
「有馬ロイヤルホテル」はじゃらんnetにおける、最も取扱額の高い宿のランキング「じゃらんアワード」近畿・北摂エリアで15年連続1位を獲得している人気のお宿。チェックイン前からどんなお宿なのか気になっていました。
駐車場はお宿の脇道を入ったところにあります。
坂を上がりきると右手に駐車場があります。そこのスロープを下れば10台以上駐車可能なスペースになっています。
駐車場がどんな感じか気になるな~という方は、ご参考までに。
さて、本題のお宿です!
ホテルの門をくぐると、広々としたロビーがお出迎え。受付のテーブルが複数あったので、待ち時間なしでチェックインできました。スムーズにお部屋まで行けるのはうれしい!
今回泊まったのは、客室露天風呂付きのお部屋。男一人旅にしてはリッチですが(笑)、せっかくなので満喫させてもらいました。
今回は、じゃらんで「黒毛和牛ヒレステーキ会席」付きのプランを予約していたので、ホテルで夕食もいただきました!
赤身のお肉なので脂っこくなくウマすぎる!! そしていろんな種類をちょっとずつ食べられるのが最高! 20代・大柄のメンズでもおなかいっぱいになりました。好みの焼き加減で食べれるのもうれしいですね。あ~、また食べたいな~。
食後のデザートは、なんとロビーに設置された「デザートビュッフェ」で! これもまたいろんな種類のデザートを楽しむことができました。
満腹になり、部屋に戻ったら……楽しみにしていた客室露天風呂!
湯船は186㎝の僕が入っても余裕あるサイズ感でした! 思わず写真をパシャリ。
ちなみに、客室露天風呂以外にも1階と5階に大浴場があり、館内で湯めぐりを楽しむこともできます。1階大浴場には、豊臣秀吉が愛したといわれている有馬温泉の名物「金泉」も! 時間帯で男湯・女湯を入れ替えているそうなので、入りたい方は要チェック。
こんな感じで、夕食と温泉を楽しんでぐっすり眠ることができました。
そして、翌朝。夕食が美味しかったので、朝ごはんにも期待大で起きました!
出てきたのは、有馬温泉の「金の湯」「銀の湯」をイメージしたお重に入った小鉢の数々。おかずが多い!! しっかりおかわりして、ごはんはお茶碗2杯食べました。
温泉街のお宿って家族やカップルで行くイメージでしたが、はじめて一人で過ごしてみて、また違った良さを感じました。とくに「有馬ロイヤル」は、温泉街をウロウロしなくても美味しいごはんと湯めぐりを楽しむことができるので「ごはんも温泉も満喫しつつ、ゆっくり過ごす時間が欲しい」という人にピッタリだと思います。
たった1泊、しかも一人旅でしたが、最高の体験でした!
充電旅データ
フィアット 500eオープン(初代・現行型)
フィアットのアイコニックなモデル500のBEVモデルとして2022年6月に登場。500から受け継いだデザインと衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールをはじめとする、数々の先進運転支援装置を備えた新世代の電気自動車。
●スタート時電池残量:100%
●総走行距離:約70km(市街地+高速、冷房あり、大人1名乗車)
●ゴール時電池残量:66%(157km)