▲色鮮やかなニンジンが乗った「冷やしたぬきうどん」は「雪の屋」の夏の名物。ニンジンのトッピングはご主人のアイデアです ▲色鮮やかなニンジンが乗った「冷やしたぬきうどん」は「雪の屋」の夏の名物。ニンジンのトッピングはご主人のアイデアです

県外からもお客さんが訪れる山奥の人気うどん屋へ

東京では猛暑日が続き、外に出ようものなら、瞬時に汗が吹き出すという始末。筆者はこの暑さのせいで夏バテ気味。こんな暑い時期は涼しいところにでも行って、さっぱりしたものを食べるに限るわけですよ。そんなわけで、どこか水辺の涼しげで美味しいものを食べさせてくれるお店はないかしら……とリサーチしたところ、「雪の屋」という山奥の湖の近くにあるうどん屋がヒットした。

水分と塩分がちょうど良く摂取できて消化にも優しいうどんは夏バテ解消にもピッタリ。しかも店名もなんだか涼しそう。というわけで、さっそく同じく夏バテ気味の編集・たけだ氏を誘い、「雪の屋」へ行くことに。

「雪の屋」は、群馬県桐生市を流れる桐生川の清流をたたえる桐生川ダム(梅田湖)のほとりにあり、湖の周囲のワインディングロードは絶好のツーリングコースにもなっている。館林市や前橋市などとともに夏になると全国最高気温ランキングの上位になってしまう桐生市も、湖の周りは市内よりも数度気温が低かったりするらしい。

東京からであれば、ゆっくり走って2時間はかからないくらいの距離だ。東北自動車道から北関東自動車道を経由し、足利ICを降りてそのまま県道を進むと、やがて山道に入る。そこから30分くらいで桐生川ダムが出現する。木々に囲まれた道は走っていて気持ちよく、ドライブにはもってこいのコースといえる。

「雪の屋」を訪れる前に、せっかく来たのだから桐生川ダムに寄ってみたい! 露骨に面倒くさそうな顔をするたけだ氏を無視し、湖のほとりへ。キラキラときらめく水面に緑の芝。ボート屋くらいしかレジャーはないが、そのシンプルさが観光ナイズされた湖よりもずっと好感がもてる。う~~ん、爽やかで気持ちいい!

▲さすがにこの暑さなのでボート乗っているお客さんはいなかったが、ファミリーやカップルで訪れた場合などは乗ってみてもいいかも ▲さすがにこの暑さなのでボート乗っているお客さんはいなかったが、ファミリーやカップルで訪れた場合などは乗ってみてもいいかも

湖を後にして、さっそくお目当ての「雪の屋」へ。お店にはオープンデッキ的な店外スペースもあり、そこで料理をいただくこともできるようだ。駐車スペースは2ヵ所あり、合計で40台くらいは駐車できる広さがある。

ただし、ご主人の平塚さんによると、それでも昼の時間帯や観光シーズンなどは駐車場が満車になってしまうほどお客さんが来ることがあるという。そんな人気店のオススメメニューを尋ねると、やはり夏は「上天ざるうどん」(税込1120円)や「冷やしたぬきうどん」(税込740円)などの冷たいうどんがよく出るらしい。

▲和風な建物の横と、道路を挟んだ向かいに駐車スペース。混みあうのはGWにお盆、紅葉や桜の時期などの観光シーズンだ ▲和風な建物の横と、道路を挟んだ向かいに駐車スペース。混みあうのはGWにお盆、紅葉や桜の時期などの観光シーズンだ
▲デッキは風が通り抜けて、意外と涼しい。店はソメイヨシノや八重桜にぼたん桜など、桜の木に囲まれていて、春になるとデッキから花見を楽しむことができる ▲デッキは風が通り抜けて、意外と涼しい。店はソメイヨシノや八重桜にぼたん桜など、桜の木に囲まれていて、春になるとデッキから花見を楽しむことができる

そもそも雪の屋は、ご主人の両親が60年ほど前に始めたお店で、1978年に現在の場所へ移って来た。地元・桐生のお客さんを中心に、栃木県や埼玉県などの県外のお客さんも多く訪れるという。県道66号が栃木まで抜けていて、佐野市田沼町から「雪の屋」までは40分くらいの立地だけあり、昼時など1/3が栃木ナンバーということもあるとか。

ご主人のオススメの時間帯は15時くらい。我々もこの日はそのくらいの時間に訪れたが、お客さんもまばらで、全然待たずに入ることができた。

▲ちなみに常連のお客さんたちは、店の外の移り変わる景色を眺めながら、それぞれの季節のうどんを味わう。9月からは「きのこうどん」、11月からは「切り込みうどん」がスタートする予定 ▲ちなみに常連のお客さんたちは、店の外の移り変わる景色を眺めながら、それぞれの季節のうどんを味わう。9月からは「きのこうどん」、11月からは「切り込みうどん」がスタートする予定

さっそく筆者は人気の「冷やしたぬきうどん」を注文。「ちょっと待ってもらうことになっても茹でたてをお出しするのがいちばんのサービス」というご主人の言葉どおり、少しだけ待った後、冷たい水でサッと締めた「冷やしたぬきうどん」が目の前にドドーンとお目見え。桐生うどんはやや太めの柔らかい麺が特徴で、濃い目の汁もさば節とかつお節をブレンドさせたこだわりのものだという。

さっそくひと口食べると、モチっとしつつもツルツルの食感が気持ちよく、汁とも適度に絡んで、めちゃくちゃ美味い! 上に載ったニンジンの細切りもシャキシャキしていて良いアクセントになっており、ズルルルルル~~と音を立てながら5分もかからずに一気に平らげてしまった。まるで夏バテが嘘だったかのように、食欲が復活!

▲暑い時期には多くの人が注文するという「冷やしたぬきうどん」。汁も飲み干せちゃいます ▲暑い時期には多くの人が注文するという「冷やしたぬきうどん」。汁も飲み干せちゃいます

続いて、たけだ氏が注文したご主人おすすめの「鴨汁うどん」も、たけだ氏から奪い味見と称して半分以上食べてしまった(冷やしたぬきうどんを食べた後なのに)。これもまた絶品で、鴨のジューシーさがさっぱりとしたうどんによく合う。ご主人によるとうどんに使用する粉や塩も一般的なものより上質なものを使用しているそう。さらにその素材を手打ちで生地にするのだから、美味くないわけはないのだ! 

その美味さを証明するエピソードがある。常連のお客さんが自分の子供に「雪の屋」のうどんを食べさせたら、他の店のうどんを食べなくなってしまった、なんてこともあったとか。

▲こちらは「鴨汁うどん」(税込870円)。ご主人いわく「茹でたてのうどんは、白じゃなくて薄い飴色をしている」とのこと。よく見ると本当に飴色だ! ▲こちらは「鴨汁うどん」(税込870円)。ご主人いわく「茹でたてのうどんは、白じゃなくて薄い飴色をしている」とのこと。よく見ると本当に飴色だ!

味もロケーションも満足度最高の雪の屋。たけだ氏も「あゆの塩焼き」や筆者と分け合った(というか強奪した)鴨汁うどんに舌鼓を打ち、ご満悦の様子。今度は山が真っ赤に色づく紅葉の時期にでも来たいと本気で思わせてくれた店だった。

▲7月から9月までは「あゆの塩焼き」(税込630円)を食べることもできる。他にはマス料理もオススメ。なんと店では釣り堀も完備していて、夏は水温の関係上、利用することはできないが、それ以外の季節であればニジマス釣りを楽しめる ▲7月から9月までは「あゆの塩焼き」(税込630円)を食べることもできる。他にはマス料理もオススメ。なんと店では釣り堀も完備していて、夏は水温の関係上、利用することはできないが、それ以外の季節であればニジマス釣りを楽しめる

【雪の屋】
住所:群馬県桐生市梅田町4-860-3
営業時間:[4月~10月]午前11時~午後7時 [11月~3月]午前11時~午後6時30分
定休日:毎週水曜日(水曜日が祝日の場合、水曜営業の木曜休業)
※2015年8月15日時点の情報です。上記は変更される可能性があります。ご了承ください
※その他、詳細は公式HPをご覧ください。

text/TOM photo/たけだ たけし