▲食べて「口福」、健康になって「幸福」。この2つの“福”から「福豚」と名付けられた福豚を使ったステーキ。このガッツリと迫ってくる存在感は豚肉料理ならでは! ▲食べて「口福」、健康になって「幸福」。この2つの“福”から「福豚」と名付けられた福豚を使ったステーキ。このガッツリと迫ってくる存在感は豚肉料理ならでは!

テレビでも話題になった極上の豚肉を求めて!

皆さんはお肉といえば何肉が好きだろうか? 筆者はとにかく豚肉が大好きだ。見た目が豚っぽいから、とかそういう理由ではない。焼いた豚の香ばしさ、揚げた豚のジューシーさ、煮た豚の柔らかさなど、調理法の豊富さと食欲をそそる数々のポイントが筆者を虜にさせるのだ。しかも豚肉はリーズナブルでビタミンB1が豊富など、他にも良いところが盛りだくさん。「この豚野郎!」などと、悪口として使われることもある豚だが、実際はこんなに優秀な食材なのだ。

豚には牛肉と同様に、様々な銘柄がある。スペイン原産の黒豚である「イベリコ豚」などは皆さんよく耳にするのではないだろうか。日本にも様々な豚がいるが、中でも筆者が気になっていたのが、群馬県は前橋市の“福豚”という豚だ。テレビ番組などでちょくちょく紹介されており、なんでもきめ細かい霜降りと、赤色の濃い赤身が特徴なんだとか。

豚好きとしては、一度はこの福豚を食べてみたい。そんな衝動から車に飛び乗り、一路、福豚のふるさと(?)である前橋市へと向かうことに。途中、「やっぱり肉は豚肉ですよ、ブーブー」とやはり筆者と同じく豚肉派の編集部のたけだ氏と合流。道中では、「どんな豚肉料理が好きか」という話題で久しぶりにたけだ氏と盛り上がった。ちなみに、筆者は王道のとんかつ、たけだ氏は角煮だそうだ。どっちも美味しいよね~。

群馬県赤城南麓にある「林牧場」という広大な牧場が福豚の産地で、その「林牧場」が経営しているレストランを中心とした「とんとん広場」という施設で福豚の料理をいただくことができるらしい。「とんとん広場」までは、東京からなら関越自動車道を赤城ICで降りて、国道353号・通称「東国文化歴史街道」を進むルートや、東北自動車道から北関東自動車道に入り、伊勢崎ICを降りて県道102号を進むルートなど、様々なルートがあるので、お住まいの場所から一番具合の良いルートを選んでいただきたい。ちなみに東京から出発した筆者たちは東北自動車道を通るルートで、2時間くらいかかった。

▲「とんとん広場」では、豚さんの白いオブジェがお出迎え。駐車場は、60台くらいは止められる広さ。公共の交通機関を使うなら、上毛電鉄の大胡駅からタクシーで15分ほどだ ▲「とんとん広場」では、豚さんの白いオブジェがお出迎え。駐車場は、60台くらいは止められる広さ。公共の交通機関を使うなら、上毛電鉄の大胡駅からタクシーで15分ほどだ

「とんとん広場」の入口には「ミニ豚広場」というコーナーがあり、ミニ豚が飼われていた。動物好きでもある筆者はしばし豚たちをうっとりと眺め、その可愛さを堪能。たけだ氏も「マジ可愛いっすね」とごきげんの様子。あ、でもこの後、豚肉を食べるんだった……。少し気まずくなりながら、コーナーを後にし、広場中央のレストランへ。

▲マスコット的存在のミニ豚たちがいる「ミニ豚広場」や食事を楽しめる「レストラン」の他、ハム工房の「手づくり福豚工房」やウィンナーづくりが体験できる「手づくりウィンナー体験教室」などの施設がある ▲マスコット的存在のミニ豚たちがいる「ミニ豚広場」や食事を楽しめる「レストラン」の他、ハム工房の「手づくり福豚工房」やウィンナーづくりが体験できる「手づくりウィンナー体験教室」などの施設がある
▲ワーゲンバスを改造した移動販売車「TONTONバス」がレストランの横に。ミニ豚と並んで、広場のマスコットだ ▲ワーゲンバスを改造した移動販売車「TONTONバス」がレストランの横に。ミニ豚と並んで、広場のマスコットだ

レストランは広々としていて、メインフロアだけで84席、他にホールの席や個室もあるらしい。さっそく席に着き、筆者たちはレストランの林店長がオススメする「ロースかつセット」(税込1380円)と「とろガーリックステーキセット」(税込1980円)を頼んだ。出来上がるまで、しばし待つ。うぉ~、早く食べたい! 

ちなみに、外にいたミニ豚たちは、ペットとして飼われているので、食べられることはないとのこと。ホッと胸を撫で下ろす。なんでも、子供たちに本物の豚を見せることで、食べ物の大切さ、ありがたさを学んでもらうという“食育”のために飼われているのだとか。「とんとん広場」では、豚の解体や芋掘りなどの食育体験も年に数回行っているそうで、ご興味のある方は、「とんとん広場」のホームページをご覧いただくか、電話でお問い合わせいただければと思う。

▲レストランは1997年にオープン。15分ほど離れた6つの農場から福豚が運ばれてくる ▲レストランは1997年にオープン。15分ほど離れた6つの農場から福豚が運ばれてくる
▲レストランに併設されている「こだわりショップ」。一番人気はやはり福豚を使ったウィンナーだとか ▲レストランに併設されている「こだわりショップ」。一番人気はやはり福豚を使ったウィンナーだとか

そもそも、林牧場で育った豚の中でも、きめ細かい霜降りと赤色の濃い赤身を持った品質の良いものだけを福豚と呼び、このレストランで提供しているのだという。林店長によると、美味しい豚を育てるためにはとにかくストレスを与えないことが大事なのだとか。生まれてからの親豚と引き離すタイミングや、子豚同士で過ごさせる時間などに気を配りつつ、豚舎は毎日きれいに掃除し、冷暖房も完備。とにかく快適に過ごさせることで、美味しい肉になるらしい。職場で毎日のようにストレスを感じているというたけだ氏が「僕はさぞかし不味いでしょうね……」とつぶやいた。

筆者たちの腹がグーグーと鳴ったところで、「ロースかつセット」と「とろガーリックステーキセット」が運ばれてきた。まずは「ロースかつセット」。まずはひと切れ箸でつまむと、肉厚で脂をにじませたかつの断面が「食べて、食べて~」と呼びかけてくるようだ。う~ん、たまらん。さっそくひと口。サクッとしたコロモとジュワッとした食感に続いて、豚の旨味が口の中に広がり、なんとも言えない美味しさ。この柔らかさはもう反則だ! 林店長によると、生パン粉や地元群馬産の卵を使うなど、豚肉以外にも徹底的にこだわっているのだとか。そりゃ、不味いはずがないでしょう! 

▲ロースかつセット。漬物やみそ汁は時期によって変わる。ちなみにこの日はナスと玉ねぎのみそ汁だった ▲ロースかつセット。漬物やみそ汁は時期によって変わる。ちなみにこの日はナスと玉ねぎのみそ汁だった

続いては、「とろガーリックステーキセット」。丸いお皿の中心には、豚肉を覆うようにガーリックがどっさり。そして、漂ってくる豚肉とガーリックの香ばしい匂いが鼻孔をくすぐる。いやぁ、興奮するね! ひと切れかぶりつくと、見た目以上に柔らかくて、めちゃくちゃ美味い!

ガーリックと調和しつつも、ハッキリと主張する“とろ”の存在感は、さすがのひと言だ。この“とろ”とは、いわゆる福豚のロースの中でも特上のリブロースのことで、1枚250gと多めに取っており、1頭からわずか10枚しか取れないという非常に贅沢な部位なのだ。林店長によると、脂が通常のロースよりも多めに入っているらしいが、こってりというよりは、むしろあっさりとしていて、それでいて旨味は強い。完食した後もまだまだ食べたくなってしまうのは、筆者が食いしん坊なせいではなく、この“とろ”の魅力だと思う。

▲福豚の“とろ”は1日60食くらいの限定メニューなので、いつも12時半くらいには品切れになってしまうとか。“とろ”以外にも「しゃぶしゃぶ」や「鉄板焼き」に「ポークカレー」などがオススメ ▲福豚の“とろ”は1日60食くらいの限定メニューなので、いつも12時半くらいには品切れになってしまうとか。とろ以外にも「しゃぶしゃぶ」や「鉄板焼き」に「ポークカレー」などがオススメ

筆者もたけだ氏もトンカツとステーキを平らげ、お腹いっぱいに。あ~、本当に美味かった。まさに「口福」であり「幸福」。福豚の名に偽りなしだ。“とろ”を目当てにするなら、開店の11時に訪れるのがベスト。また、林店長によると、GWやお盆などの長い休みの時期はどうしても混むので、空いているときにゆっくりと福豚を味わいたいなら、14時くらいがオススメとのこと。皆さんもぜひ、「福豚」で福を掴んでほしい。

【林牧場 福豚の里 とんとん広場】
住所:群馬県前橋市三夜沢町534
営業時間:[平日]午前11時~午後6時[土・日・祝]午前11時~午後8時 ※L.Oは30分前
定休日:なし
※2015年8月31日時点の情報です。上記は変更される可能性があります。ご了承ください
※その他、詳細は公式HPをご覧ください。

text/TOM photo/たけだ たけし