スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

ロシア第2の都市、サンクトペテルブルクを日本車が激走!!

ストリート・レーサー|映画の名車
(C)Central partnership 2008
『ストリート・レーサー』(DVD・1/23発売)2008年・ロシア 監督:オレグ・フェセンコ 出演:アレクセイ・チャドフ/マリーナ・アレクサンドロワ/スタニスラフ・ボンダレンコ/ エルヴィラ・ボルゴヴァ/アレクセイ・グシコフ/ニコライ・シンダイキンほか 発売元:コムストック・グループ ¥3,990(税込)
スポコンブームはロシアにも飛び火していた!? 今春、ロシア国内約600館で公開され、初登場第1位を記録したカーアクション大作がDVD化する。『ワイルド・スピード』×『TAXi』とキャッチがついているが、まさしく米仏・人気カーアクションの“いいとこどり”といった風情。これにサンクトペテルブルクの寒々しい風景が融合することで、文字通りクールかつスタイリッシュなカーアクションに仕上がっている。

戦車部隊から除隊が認められたステパン(アレクセイ・チャドフ)は、父親の経営する修理工場で働き始める。そこへやってきたのが、6代目セリカを修理に出しにきた美しい女性・カーチャ(マリーナ・アレクサンドロワ)。2人はすぐに意気投合するが、カーチャのほうは元彼でストリートレースの主催者・ドッカー(スタニスラフ・ボンダレンコ)に未練がある様子だ。ある夜、ストリートレースに飛び入り参加をしたステパンは、天才的なドライビングテクニックを披露し、ドッカーたちの仲間入りを果たす。だが、次戦をレストアしたガズM20で臨み、エンジントラブルでリタイア。ドッカーの車を借りて勝負に挑むも、突然のパンクでクラッシュし、借りをつくってしまった。やがてドッカーはそれを盾に取り、ステパンに裏の仕事を手伝うよう迫るのだが…。

日本にはなじみの薄いロシア人俳優の名前とベタなストーリー紹介に早くも「ふーん」とテンションの下がっている諸兄もいらっしゃるかもしれませんが、カーアクション映画なんぞ、車が活躍してナンボ。そこは決してハズシていないので、ご安心あれ。とにかく徹頭徹尾、350Zが、セリカT200が、MR2が、FD3Sが、インプレッサが、エクリプスが、Z3が、フェラーリ348が、ギュンギュンギュンギュンと街中を走り回る。しかもゴテゴテしたCGが皆無なのだから素晴らしい。

圧巻なのは中盤のカーチェイス。警察に追われるドッカー一味があの手この手でポリスカーを振り切るのだが、そのアクロバティックなアクションの数々には目を見張らされる。なかでもオトリになって逃げるカーチャの6代目セリカが大活躍。サンクトペテルブルクの街中を縦横無尽に走り回り、狭い路地では片輪走行まで披露。絶体絶命かと思われたデッドエンドでも見事に切り抜けていくのは拍手喝采だ。

あまりにもこの場面がすごいので調べてみると、カースタントを手がけたのは『スピード2』でスタントマンとして活躍したヴィクトール・イワノフなる人物。このイワノフ、『ボーン・スプレマシー』ではスタント界のオスカーと言われるトーラス・ワールド・スタント・アワードも受賞しているスゴい人だった。うーん、納得。

クライマックスは宿命の恋敵、ステパンとドッカーによるレース対決。ステパンのフェラーリ348とドッカーの350Zが壮絶なドッグファイトを繰り広げる。本来はドッカーの野望がついえた時点で勝負はついているのでレースをする必要もないのだが、最終的には超絶に美しいカーチャ=マリーナ・アレクサンドロワの存在がすべてをねじ伏せてくれる。この娘さん(マルキュー御用達な安っぽいギャルファッションが決まっている!! )を取り合うなら、このくらいの大勝負をせなアカンわなぁ。

さらに本作が偉いのはカーアクションにつきものの“ムダなセクシー”をキッチリ入れ込んでいること。しかもハリウッド映画の大味なそれではなく、修理工場に訪れたときにカーチャのミニスカートの中を思わずステパンがのぞいてしまい、チラリと見える青いデルタにズキューンとハートを撃ち抜かれるとか、街中を歩く絶世の美女2人のスカートがチューンナップカーが巻き起こす風でフワ~リと舞い上がるとか(しかも2回)、とにかく日本人男子のツボを心得た演出の数々が随所に挿入されるのだ。すでに続編も制作が決定。今回、唯一のウィークポイントだったストーリーさえスッキリとまとまれば鬼に金棒かも!? 期待して待ってます!!

映画に登場する車たち

日産 フェアレディZ(Z33型)

サンクトペテルブルクのストリートレースシーンを仕切っているドッカー(スタニスラフ・ボンダレンコ)の愛車は、2002年に復活の狼煙を上げた5代目フェアレディZ。左ハンドルの対米輸出仕様(Z350)だ。シルバーのメタリックボディにゴールドの稲妻カッティングがカッコイイ。序盤の空港シーン、中盤の駐車場シーンなど、随所に見せ場がたっぷり。クライマックスはステパンのフェラーリ348と対峙。カテリーナを賭けて勝負をもちかけるのだが、その結末やいかに!!

フェラーリ 348

『ナイト・ウォッチ』『デイ・ウォッチ』にも起用されたロシアの若手俳優アレクセイ・チャドフが演じた天才ドライバー・ステパンが、クライマックスでドッカーと勝負をするときに駆るのがフェラーリ 348tb。これはステパンがドッカー率いる窃盗団に手を貸した際に、ハイテクマニアの弟の力を借りてサンクトペテルブルクのカジノ前で盗んできた車だ。この超高級車がボロボロになっていくラストのデッドヒートは、思わず「もったいない!! 」と声が出そうになること必至。

トヨタ セリカ(T200型)

ドッカーの元彼で、ステパンといい仲になる碧眼の美女・カーチャ(マリーナ・アレクサンドロワちゃん=1982年生まれ)の愛車は、1993年に発表された6代目セリカの欧州輸出仕様。ピンクのボディが女の子らしく可愛い。ドライビングテクニックも男勝りのカーチャは中盤のカーチェイスで、このセリカを駆って警察を翻弄。アイデア満載のアクロバティックな走りの数々は映画最大の見どころと言ってもいいだろう。トレーラーとのカーチェイスでも色違いの同型が出てくる。


Text/伊熊恒介