スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

ダニエルのかっとびタクシーがモデルチェンジ!最高速度は驚異の312.8km/h!!

TAXi4|映画の名車
(C) 2007 EUROPACORP - ARP - APIPOULAI PROD - TF1 FILMS PRODUCTION
『TAXi4』(DVD・発売中)2007年・仏 製作・脚本:リュック・ベッソン 監督:ジェラール・クラヴジック 出演:サミー・ナセリ/フレデリック・ディーファンタル /ベルナール・ファルシー/エマ・シェーベルイほか 発売:アスミック/販売:角川エンタテインメント ¥3,990(税込)
リュック・ベッソン印の大人気カーアクションシリーズの第4弾。改造タクシーでぶっ飛ぶスピードキングのダニエル(サミー・ナセリ)と、スットコドッコイな刑事エミリアン(フレデリック・ディーファンタル)のコンビが、毎度おなじみの大騒動を巻き起こす。アバンタイトル(タイトルが現れる前の導入シーン)では超大物スポーツ選手がカメオ出演!! 2002年の日韓ワールドカップにも出場した“フランスの怪物”ことジブリル・シセが本人役で登場しているのだ。

ちょうど2007年、リバプールからマルセイユにレンタル移籍することになった時期ということで、街をあげての歓待ムードがスクリーンにも反映されていて楽しい。チャリティ試合に遅刻しそうになったシセを、例のごとくダニエルが改造タクシーを駆って驚速で競技場まで送り届け、駐車場が満杯だからとフィールドにまで乗り込んでしまう。ここからサッカーネタで回しまくるタイトルバックに至るまでの流れはすごい完成度で、ググーッと映画に引き込まれる。…のだが、本編が始まると見る見るその勢いが失速してしまうのだ。

父親になったダニエルとエミリアンは家族ぐるみでつき合うようになっていた。とはいえ2人の性格は相変わらず。おマヌケなエミリアンは、“ベルギーの怪物”と呼ばれる護送中の超凶悪犯をうっかり逃がしてしまう。ジベール署長(ベルナール・ファルシー)にクビにされたエミリアンは、復職をかけて犯人グループを追跡することに。ダニエルに助けを求め、プジョー407で行き着いた先はモナコだった。一方、エミリアンの妻・ペトラ(エマ・シェーベルイ)は犯人グループに潜り込み、極秘捜査を続けていた。ベルギー王立銀行の貸金庫から重要書類を見つけ出すことにまんまと成功したのだが、予期せぬハプニングが。果たして、3人の運命やいかに!?

アウトラインを読む限りでは手に汗握るクライム・サスペンスなのだが、そこは徹頭徹尾ギャグ尽くしの『TAXi』シリーズ、手がつけられないほどの悪ふざけで全編をコーティング。相変わらずのユルユルぶりで、もはや本来の機能を失ってしまったマルセイユ警察ではドレッドヘアの黒人警官たちがトイレでハッパを決めまくり、民間人はどこへでも出入り自由。署長は相変わらずの国粋主義で、差別的な悪口ばかりを言いまくり、ラストはコカインで錯乱してランボーさながらのデストロイを繰り広げる…。

マルセイユ警察がこんな惨状でも、過去作ではあの凄まじいカーチェイス、カーアクションを見せてくれることで、些細なことを帳消しにしてくれていたのだが、今回はそれすらもほぼ皆無。冒頭のシセ絡み以外でプジョー407の見せ場といえば、クライマックスにチラリとある程度。せっかくモデルチェンジを敢行してパワーアップしたのに、全くもって物足りない。

リュック・ベッソンの腹を邪推をするならば、「今回は諸事情あってライバル車も登場させられなかったし、407はお披露目程度にとどめて、これまでと違ったギャグ満載のおふざけ映画でお茶をにごそう。でもって第5弾では再びカーアクションてんこ盛りでいこう!! 」というつもりなのかもしれん。しれんが、それにしては肝心のギャグが寒い。寒すぎる。サッカーファンをニンマリさせること必至の素晴らしいオープニングで幕を開けているだけに、なんとも惜しい一本だ。

映画に登場する車たち

プジョー 407

本作よりダニエルの相棒がプジョー406から407にモデルチェンジ。407は2004年に406の正統な後継車として発表され、日本でも2005年より発売が開始されたミディアムクラスサルーン。獲物を捕らえるライオンをイメージしたという精悍なルックスがかっこいい。モデルチェンジにともない、あらゆる機能が大幅にパワーアップ。本物のレース仕様パーツを多数装備し、最高速度は驚異の312.8km/h! さらに停止した状態からなら360℃自由に方向転換ができるという優れものだ。もちろん、こんな機能は劇中に登場するダニエルの改造タクシーのみですよ!


Text/伊熊恒介