スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
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殺りく仕様のモンスターマシンが驚愕の死闘を繰り広げる!

デス・レース|映画の名車
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劇場公開情報
『デス・レース』(11月29日より有楽座ほかにて全国ロードショー) 2008年・米 監督:ポール・W.S.アンダーソン 出演:ジェイソン・ステイサム/ジョアン・アレン/イアン・マクシェーン/タイリーズ・ギブソン/ナタリー・マルティネスほか 配給:東宝東和
刑務所内のサーキットを舞台にケンカ仕様を施したイカついマシンが命がけのレースを繰り広げる『デス・レース』が、いよいよ公開。ゴツゴツした生の手触りが味わえる正真正銘のカーバトルアクションは必見だ。 ベースとなっているのは1975年公開の『デスレース2000』。ブレイク直前のシルヴェスター・スタローンが出演していることで有名な近未来カーアクションである。続編的な意味合いも匂わせるパラレルなリメイクで、旧作ファンにも楽しいつくり。主演は当コーナーではおなじみの世界一モテるハゲ、ジェイソン・ステイサム。監督兼脚本は『バイオハザード』シリーズや『エイリアンVS.プレデター』で知られるポール・W.S.アンダーソン。さらには旧作を製作した“B級映画の帝王”ロジャー・コーマンが製作総指揮を務める。

舞台は近未来のアメリカ。経済は破綻し、失業率は過去最高を記録、凶悪犯罪は増加の一途で刑務所はパンク寸前となっていた。そのため、政府は刑務所を民間に委託…。営利目的で企業が刑務所を運営するという事態に陥った。なかでも凶悪犯罪者ばかりを収容している孤島の刑務所ターミナル・アイランドでは、ネット上に有料公開され、スーパーボウルをも上回るほどの人気を博しているスポーツが行われていた。四方を海で囲まれた刑務所内をサーキットに見立て、囚人がレーサーを務める「デス・レース」だ(レーサーには優勝5回で自由が与えられる)。

ある日、ターミナル・アイランドに元NASCARレーサーのエイムズ(ジェイソン・ステイサム)が収監されてきた。妻殺しが罪状だが、これは冤罪である。人気覆面ドライバー、フランケンが事故で亡くなったのを隠すため、代役として白羽の矢が立ったのだ。冷酷な所長(ジョアン・アレン)に娘の写真をちらつかされ、仕方なくデス・レースに参加することになったエイムズ。囚人仲間のサポートを得て、フランケンの愛車マスタング GTを駆って怒りの爆走が始まる。

…とまぁ、一応ストーリーは紹介したものの、メインは当然のようにデス・レース。凶悪犯の精鋭レーサーたちが、ダッジ ラム、ビュイック リビエラ、ジャガー XJS、ポルシェ 911、クライスラー 300といった名車たちに分厚い装甲を施し、強力な武器を配してドッグファイトを繰り広げる様は圧巻のひとこと。CGによるごまかしがほとんどないド迫力の映像にドギモを抜かされること必至。あまりの危険極まりない撮影の連続にスタントマンが「狂っているとしか思えない!! 」と絶叫したというのも、うなずける話だ。また、各車に装備された武器や防具を使用するためには、地面に埋め込まれたボタンをタイヤで踏まねばならないというテレビゲーム的な味つけもレースにコクを与えている。このあたり、『バイオハザード』のメガホンをとったアンダーソンならではの遊び心だ。

一方、鉄塊と野郎ばかりのほこりっぽい映像だけでなく、コ・ドライバーに女囚が割り当てられるなんていう心憎い設定を入れ込むのも実にわかってらっしゃる。これがまた、視聴率を考えて露出過多の美女揃いってんだからもう、素晴らしいのなんの。エイムズの相棒、ケースを演じたナタリー・マルティネスは映画初出演、弱冠24歳の新星だが、そのハイパーボディをスクリーンいっぱいに見せつけてくれて眼福しきりだ。

それにしても、アメリカ経済の破綻によって刑務所が民間に委託されるなんて話、今となってはシャレにならないかもしれん。撮影当事は、まさかダウ平均が9000ドルを切るなんて、製作陣も想像だにしなかったであろう。単なるカルト映画のリメイクにとどまらないカーバトルアクションの金字塔の誕生に拍手喝采だ!!

映画に登場する車たち

フォード マスタングGT(2006年型)

もはや原型をとどめていないが、かろうじてエンブレムでマスタングとわかるフランケンの愛車は、ザ・モンスターとして知られるV8スーパーチャージド・エンジン搭載の2006年型のマスタングGT。最強の防御力をもつトゥームストーン・テール、毎分3000発を放つ2丁の30mm×6のミニガン、さらにナパーム弾や亜酸化窒素タンク、射出座席まで装備した地上を走る戦闘機仕様だ。

Text/伊熊恒介