▲元本保証付きの株を発行することで、経営の規律が失われるなどの反対意見もあったが、株主総会では約75%の賛成で発行が可決された。写真は取締役社長 豊田章男氏 ▲元本保証付きの株を発行することで、経営の規律が失われるなどの反対意見もあったが、株主総会では約75%の賛成で発行が可決された。写真は取締役社長 豊田章男氏

アベノミクスに乗っかってお金持ちになりたい!

今年6月16日に開催されたトヨタの株主総会。ここでのトピックスが「新型株」発行の可決です。折しも、日経平均株価がITバブルの高値を更新しようという勢いで上昇中のことでした。この勢いに乗って、株高の恩恵にあずかりたいと欲深な私。どうにかして「新型株」をGetできないかな~。

話題のトヨタ「AA株」って、普通のトヨタ株と何が違うの?

まずは、そもそも「新型株」とはなにか、なぜ話題になっているのかを簡単に説明しておきましょう。

トヨタの新型株の正式名称は「AA型種類株式」。中長期の保有を前提とした、議決権のある譲渡制限付種類株式です。譲渡制限の内容は、発行後5年は売却ができないということ。配当年率に関しては、最初の1年は0.5%、以降毎年0.5%ずつアップ。5年目以降2.5%になるといった設定です。

配当年率が保有年数によってアップしたり元本保証を、さらには議決権もあるなど、世界でも類を見ない株式で話題になっているAA型種類株式ですが、最も注目されたのは「元本保証」がなされるといった点。なんと、5年後に株価が下落していたら、トヨタが倒産しない限りは、購入した金額で買い取ってくれるというものです。

株価が上昇していたら、普通株に変換して利益確定も可能。売らずに配当金をもらい続けることだってできます。いずれにしても、これってすごく美味しいお話なのでは?

▲AA型の名前の由来は、1936年(昭和11年)にトヨタ自動車の前身である豊田自動織機製作所 自動車部が開発・製作したトヨタ初の生産型乗用車の車名だそう ▲AA型の名前の由来は、1936年(昭和11年)にトヨタ自動車の前身である豊田自動織機製作所 自動車部が開発・製作したトヨタ初の生産型乗用車の車名だそう

購入は野村證券の本店・支店の窓口でしかできない!?

ということで、早速購入です。以前に口座を開設したネット証券でAA型種類株式を探すと……ない。どうやら、この株式は非上場株式で「野村證券」、しかも、本・支店の窓口でしか購入できないのだとか。あいたたた。

とりあえず、野村證券で購入条件を調べてみると――

・発行価格は1万598円
・購入は最低100株から100株単位
・申込期間は7月3日~7月22日まで
・募集株数は4710万株で、希望者が上限を超えた場合は抽選

最低でも約106万円かかるのか。この時点で諦めモード。ここは「隣のブドウは酸っぱい理論」の発動です。報道によると予定発行金額の5~10倍超の申し込みがあるとのこと。もう間に合わないよね~。

▲発表された日のトヨタ株の終値8153円でした。5年後、ここから3割以上上昇して、AA株の価格を超えているかどうかはわかりません ▲発表された日のトヨタ株の終値8153円でした。5年後、ここから3割以上上昇して、AA株の価格を超えているかどうかはわかりません

「AA株」を購入して満足できるのはこんな人

とはいえ、自分が買えないからといって放り出すのもいかがな物かと。そこで、いったいどんな人が購入するとお得なのかを考えてみました。

基本は長い目でみた資産として保有でしょう。AA型種類株式の価格は、発表された日のトヨタ株の終値8153円を約3割上回っています。5年後、トヨタ株がこの水準まで上昇しているかは誰にもわかりませんが、もし上回ってなくても元本保証がされているので心配ありません。それどころか、5年目以降は、配当年率も2.5%と優秀。某メガバンクの定期が300万円以下、5年では年0.030%程度なので、そのお得さがわかります。

逆に、5年の間に大きく上昇しても、その時点では売却ができません。そういった意味で、売却益で利ざやを取る投資スタイルには相性が悪いかもしれません。

▲投資はあくまで自己責任。この記事は、投資をオススメしているものではありませんので、あしからず ▲投資はあくまで自己責任。この記事は、投資をオススメしているものではありませんので、あしからず

トヨタ愛があるあなた。応援のために購入してみてはいかが

AA型種類株式を発行する目的のひとつは、中長期保有を志向する新たな株主層の開拓。その資金は加速する技術革新に対応するための次世代技術創造への投資に使われます。

さらに、議決権も行使できるので、株保有者の意思を経営に反映することも可能。そういった意味では、資産としての保有とともに、トヨタを応援する気持ちがある人が購入するのが一番だと思います。

text/コージー林田