10月5日(金)から10月7日(日)にかけて鈴鹿サーキットで開催されるF1 日本グランプリに向けて、タイヤサプライヤーのピレリがプレスカンファレンスを開催した。2011年の日本グランプリではソフトとミディアムという隣り合った硬さのタイヤを用意したのに対し、今年はソフトとハードの2種類を用意。昨年とは異なるタイヤ選択に各チームがどのような戦略で挑むのか、日本グランプリを観戦する上で注目すべきポイントだ。

ピレリが2012年のF1グランプリシリーズに用意したタイヤは「P ZERO」のスーパーソフト、ソフト、ミディアム、ハードという4パターン(雨の場合はウエット用「Cinturato」が2パターン)。それぞれコンパウンド(ゴム)の硬さが異なる。タイヤの性能を引き出すためにはある程度発熱させる必要があるが、柔らかいタイヤは熱が入りやすく、すぐにその性能を引き出して速く走ることができる一方でダメになるのも早い。硬いタイヤは性能を引き出すまでに時間がかかりラップタイムも落ちるが長もちするという特徴がある。

レースでは4パターンの内、2つのタイヤが持ち込まれ、必ず両方のタイヤを使うことが義務付けられている。チームはタイヤとコースの特徴、それぞれのマシン特性を考慮し、ピットストップ戦略を決める。例えばハードタイヤでロングランしピットストップ回数を最小限にする戦略や、ピットストップが増えることを良しとし、ソフトタイヤでとにかく速く走ることを優先する戦略などが採られるのだ。

ピレリ モータースポーツ・ディレクターのポール・ヘンベリー氏は「我々のタイヤは、ラップごとに課せられる大きな負荷に十分対応することができる。コンパウンドが隣り合わせでないことも伝統的な鈴鹿でのレースへさらなる熱狂とパフォーマンスをもたらすだろう」とコメント。

2012年のF1サーカスも後半戦に入り、王者獲得に向けてよりエキサイティングなレースが期待される中、ピレリは安全かつ熱狂的なレースにするべくレーシングタイヤの開発に力を注いでいる。

10月2日に行われたプレスカンファレンス。写真左からポール・ヘンベリー氏(モータースポーツディレクター)、マルコ・エッリ氏(ピレリジャパン 代表取締役)、安藤美姫選手(フィギュアスケーター)、ジョバンニ・アンジェロ・ポンツォーニ氏(アジアンパシフィック ディレクター)

10月2日に行われたプレスカンファレンス。写真左からポール・ヘンベリー氏(モータースポーツディレクター)、マルコ・エッリ氏(ピレリジャパン 代表)、安藤美姫選手(フィギュアスケーター)、ジョバンニ・アンジェロ・ポンツォーニ氏(アジアンパシフィック ディレクター)

黄色い印字が入ったソフトタイヤ「P ZERO イエロー」、他にスーパーソフト「P ZERO レッド」、ミディアム「P ZERO ホワイト」、ハード「P ZERO シルバー」と計4種類ある

黄色い印字が入ったソフトタイヤ「P ZERO イエロー」、他にスーパーソフト「P ZERO レッド」、ミディアム「P ZERO ホワイト」、ハード「P ZERO シルバー」と計4種類ある

2011年のF1 日本グランプリではマクラーレンのジェンソン・バトンが優勝。タイヤへの負荷が高い鈴鹿のコースではドライバー自身のタイヤマネージメントも重要な要素

2011年のF1 日本グランプリではマクラーレンのジェンソン・バトンが優勝。タイヤへの負荷が高い鈴鹿のコースではドライバー自身のタイヤマネージメントも重要な要素