日産 スカイライン▲2019年12月6日に最終選考が行われ、日産 スカイラインがイノベーション部門賞を受賞した

革新的な技術を持つ車に与えられるイノベーション部門賞

日本市場で販売されている乗用車の中から、年間を通じて最も優秀なモデルを表彰する日本カー・オブ・ザ・イヤー。

日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、イヤーカー以外にも様々な賞を設け、選考委員の投票により受賞車が決まる。

そのひとつが環境や安全、その他の革新的な技術を持つ車に与えられるイノベーション部門賞だ。

イノベーション部門賞は、選考委員が計10点の持ち点を投票。最大3モデルにまで投票できる。

第40回 2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤーのイノベーション部門賞は、2019年10月にビッグマイナーチェンジを行った日産 スカイラインが372点を獲得して受賞した。

世界初の技術を採用したプロパイロット2.0を搭載
日産 スカイライン

2013年11月にフルモデルチェンジした現行型スカイラインは、ダイレクトアダプティブステアリングや、2台前を走る車両の車間・相対速度をミリ波レーダーでモニタリングする前方衝突予測警報など、世界初の技術が搭載された。

また、ガソリン車に加え、スカイライン初となるハイブリッドも用意。

スタイリングでは、北米を中心に展開する日産の高級ブランドであるインフィニティのエンブレムが付けられるなど、高級路線が高められたモデルだ。

今回受賞した2019年10月のビッグマイナーチェンジモデルは、エンブレムが日産のものになり、テールランプにはスカイライン伝統の丸目4灯タイプを採用。

ガソリンモデルは最高出力224kW(304ps)を発生するV6ターボに加え、特別仕様車として最高出力298kW(405ps)を発生する400Rも設定された。

そして最大のトピックは、3D高精度地図データを用い、滑らかなステアリング制御や道路形状を予測した速度制御、高速道路でのハンズオフドライブや車線変更などを実現した「プロパイロット2.0」を搭載したこと。

車両の周囲は7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーでセンシングしている。


日本カー・オブ・ザ・イヤー

スカイラインはどこが評価されたのか?

第40回 2019-2020 日本カー・オブ・ザ・イヤーでイノベーション部門賞を受賞した日産 スカイライン。実行委員会は授賞理由を以下のように発表した。

「プロパイロット2.0」の搭載により、自動運転の将来的な大きな可能性について一般に正しく知らしめた功績は大きい。

技術的には3D高精度地図データと多くのセンサーにより、高速道路同一車線内でハンズオフを可能にしたことに注目。

これによりドライバーの負担を減らし安全に貢献する点も評価した。

60人の選考委員のうち54人が得点を入れ、そのうち15人が10点満点をつけている。

授賞式でのコメント

【スカイラインのチーフビークルエンジニア 徳岡茂利氏】

日産は、30年に渡って運転支援技術を開発して市場で実績を重ねてきました。

プロパイロット2.0は、そのノウハウを結集した最新技術です。そこを認めていただいたのだと思います。

日産は“ニッサン インテリジェント モビリティ”のもと、これからもお客様に安全と、安心と、運転支援技術による運転の疲労軽減を提供し、来るべき自動運転の世の中の実現に向けて精進していきます。

日本カー・オブ・ザ・イヤー

スカイラインに10点を投票した主な選考委員のコメント
(いずれも日本カー・オブ・ザ・イヤー公式HPより)

【モータージャーナリスト 青山尚暉氏】

完全な自動運転はおよそ20年先であろうと言われるようになっているが、その段階を踏むための先進機能として、いち早くプロパイロット=高速道路同一車線半自動運転技術を実現した日産が、新たに提示したのが、限定した条件下でハンズオフ運転を可能にする、スカイラインに新搭載されたプロパイロット2.0。

3D高精度マップデータと7個の光学式カメラ、5個のミリ波レーダー、12個の超音波ソナーを持つシステムは、まだ高額かつ限定的な採用とはいえ、将来の自動運転への段階的な期待を持たせてくれるのに十分な先進運転支援機能であり、本年度のイノベーション賞にふさわしいと思いました。

【モータージャーナリスト 河口まなぶ氏】

プロパイロット2.0の採用によって運転支援の可能性を広げ、レベル2の領域を限りなく追求した点が高く評価できる。

特に3D高精度マップや3眼カメラ、ダイレクトアダプティブステアリングを採用したことによる、車線変更や分岐までを提案する支援は先進的であり、その作動もこれまでにない滑らかさを見せており、素直にこの分野でのイノベーションを痛感させる仕上がりだった。

イノベーション部門ではダントツ

なお、イノベーション部門第2位は、世界初の「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を実現した高効率のガソリンエンジンを積んだマツダ MAZDA3(125点)、第3位はジャガー初のフルバッテリー電気自動車となるジャガー Iペイス(54点)だった。

日産 スカイライン
文/高橋 満(BRIDGE MAN)、写真/篠原晃一、日本カー・オブ・ザ・イヤー
高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット 500C by DIESEL