▲今年で29回目となるフランス車オーナーミーティング、フレンチブルーミーティング。10月17日~18日に長野県の車山高原で開催された ▲今年で29回目となるフランス車オーナーミーティング、フレンチブルーミーティング。10月17日~18日に長野県の車山高原で開催された

フランス車を買って来年こそ愛車で出かけてみては!?

編集部員 若菜乱太郎(以下、若):こんな天気のよい日曜日に、取材に付き合っていただいてすみません。
ぴえいる(以下、ぴ):ん? まあ、どうせ私は結婚もしていない独居老人だから、日曜日は暇だし。
:この車はiPhoneが繋げますから、どうぞぴえいるさんのiPhoneをつないでお好きな曲を聴いてください。
:え、80年代の音楽とかしか入ってないけど、いいの?
:ボク、80年代の音楽は大好きですから……。あ、フィル・コリンズですね。いいですよねぇ、フィルは……。

いつも私を年寄り扱いするAくんと違って、先輩を敬うかのような言動の、ゆとり世代の若菜くんとともに向かったのは、毎年この時期になると長野県・車山高原で開かれるフレンチブルーミーティング。今年で29回目と、いわゆるファンミーティングでは最も歴史があると言われているイベントだ。私はこれで3回目、若菜くんは初めての参加となる。

:あれはシトロエン DSですか? 実車を見るのは初めてかも……。
:そのうちDSがフツーに見えるようになるから。それくらい変な車がいっぱいいるよ、ここには。
:あれはなんですか?
:そういうときは、フレンチブルーミーティングでは素直にオーナーに尋ねてみるといいよ。とても丁寧に、細かく教えてくれるから。

私の口調も、敬われているからかつい優しくなる。まずはメイン会場でシトロエン M35とかシトロエン トラクシオンアバン、パナール PL17……。こういうのを見るとDSだけでなく、ルノー ヴェルサティスやプジョー 205ターボなど珍しいはずの車もフツーの車に見えてきて困る。

:珍車名車もいいけれど、カーセンサーで買える車を探しに行こうか。
:あ、いいですね~。古い車はもうお腹いっぱいです。

:プジョーの406クーペですか、カッコいいですね。
406クーペのオーナー:ピニンファリーナのこのデザインに惹かれました。2000年に新車で買ったんですが、未だに気に入っているのでなかなか手放せないんです。特にCピラーの処理が素晴らしいんですよ。
:あ、私の愛車と同じルノーアヴァンタイムだ。
アヴァンタイムのオーナー:3年前に中古車で購入しました。新車が出たときから気に入っていたんですが500万円もしましたからね。ところがあるとき200万円以下になっているのに気がついて。ミサイルも作っていたマトラ社が手がけたというのも、この車を好きなポイントです
:シトロエン C4ピカソ! 知り合いも乗っています!
C4ピカソのオーナー:子供が生まれて、プジョー 406クーペから乗り替えました。中古車を買いましたが、フランス車は新車からの値下がりが大きいからお買い得感が高いんですよね。2~3列目がキレイにフラットになるので、車中泊もできて便利です。
:以前、私が乗っていたプジョー 106も。
106のオーナー:最初は306マキシが欲しかったんですが、さすがに高くて……。そんな時に友達が乗っていた106に乗ったら、すごく気に入ったのが購入のきっかけです。もう13万kmも乗ったんですが、代わりになる車がなかなか見つからないんです。208もいいけど、106の方が元気よく走れるというか。最高速度とか絶対値ではない、運転する楽しさを感じるんですよね。

:フランス車って、それぞれ味があって面白いですね。
:しかもC4ピカソのオーナーが言っていたように、例外はあるものの、たいてい中古車で買うと安いからお買い得だと思うよ。私も昔、シトロエン エグザンティアをコミコミ90万円で買ったことがあるけど、その時は……。
:あ、やばい! ぴえいるさん、そろそろ茅野の駅まで戻りましょう!
:は? 何を突然、しかも車で来たのになにゆえ茅野駅などに……。
:今日は抜けるような青空の日曜日、紅葉もきれいだしドライブ日和じゃないですか。だからカノジョを呼んだんですよ。茅野駅でピックアップして、ぴえいるさんはそこでサヨナラということで!
:もしや、それがあって私の80年代の音楽を無理して聴いていたのでは……。
:え、それのどこがいけないんですか? ちゃんとボク、我慢してましたよね? ぴえいるさんだって、好きな音楽が聴けてうれしかったでしょ?
:ゆ、ゆとり世代、恐るべし……。
:ゆとりでひとくくりにするのって、やっぱりぴえいるさんも年寄りだなぁ(ニヤリ)

▲1998年デビューのプジョー 406クーペ。ピニンファリーナが手がけた美しいクーペだ。同じくピニンファリーナのクーペであるフェラーリに対して、比較的手頃な515万円(デビュー当時)と、新車時もお買い得感が高かった ▲1998年デビューのプジョー 406クーペ。ピニンファリーナが手がけた美しいクーペだ。同じくピニンファリーナのクーペであるフェラーリに対して、比較的手頃な515万円(デビュー当時)と、新車時もお買い得感が高かった
▲こちらはルノー アヴァンタイム。2002年11月に登場し2005年10月には生産終了という短命だった。ゆえに販売台数は世界で8545台 ▲こちらはルノー アヴァンタイム。2002年11月に登場し2005年10月には生産終了という短命だった。ゆえに販売台数は世界で8545台
▲2007年に登場したシトロエン C4ピカソ。3列シートを備えた7人乗りミニバン。リアにエアサスを備えた乗り心地は上質。頭上まで伸びるフロントウインドウなどで車内は明るい ▲2007年に登場したシトロエン C4ピカソ。3列シートを備えた7人乗りミニバン。リアにエアサスを備えた乗り心地は上質。頭上まで伸びるフロントウインドウなどで車内は明るい
▲プジョー106。1995年にデビューした。左ハンドル&5MT&3ドア(欧州には5ドアモデルあり)のみという仕様だったが、エンジンを使い切る感じの走りが一部の人々に受けた。1996年のマイナーチェンジ(写真はMC後)で、エンジンがDOHCとなった ▲プジョー106。1995年にデビューした。左ハンドル&5MT&3ドア(欧州には5ドアモデルあり)のみという仕様だったが、エンジンを使い切る感じの走りが一部の人々に受けた。1996年のマイナーチェンジ(写真はMC後)で、エンジンがDOHCとなった
▲こちらはシトロエン M35。今回のフレンチブルーミーティングで注目を集めた1台。ロータリーエンジンを搭載した試作車だ。その数は267台と言われている。ハイドロニューマチックを装備。フェンダー部分に「PROTOTYPE」の文字と、この車の試作番号「N134」が書かれている ▲こちらはシトロエン M35。今回のフレンチブルーミーティングで注目を集めた1台。ロータリーエンジンを搭載した試作車だ。その数は267台と言われている。ハイドロニューマチックを装備。フェンダー部分に「PROTOTYPE」の文字と、この車の試作番号「N134」が書かれている
text&photo/ぴえいる