覚悟や初心に立ち返ることができる。20代の店舗総責任者が選んだ車、光岡 ガリューⅣ
2020/12/02
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
まず人とかぶらないガリューⅣがもつ個性
都内にあるメキシコ料理店で、店舗総責任者を務める長江勇登さん(28歳)。
自宅のある千葉から職場までの片道30kmをほぼ毎日運転している車のヘビーユーザーだ。そのため、1年間の総走行距離は2万km以上だという。
そんな長江さんの愛車は、光岡自動車 ガリューⅣ。
ガリューⅣは光岡自動車が日産 ティアナをベースに製作したパイクカーで、英国のロールスロイス シルバークラウドIIがデザインモチーフとされている。
ノーズやテール部分はハンドメイドで作られており、個性あふれるモデルだ。
「街を走っているといろいろな方に振り向いてもらえますし、ガソリンスタンドでは毎回『この車、素敵ですね!』と話しかけてもらえます。それが自分のことのようにうれしくて、毎回疲れが吹き飛びますね」
ガリューⅣのロールスロイスっぽいところが気に入っている長江さん、こんなエピソードもあった。
「都内を走っていると信号待ちで隣に本物のロールスロイスが止まったことがありまして……そのときは、なんだか気まずくなりましたね(笑)」
苦労していることもあるらしく、立体駐車場に入れてくれない施設が多いそうだ。
ワイドに見えるデザインのせいか、サイズ的にはギリギリOKなはずなのにと苦笑い。
「ぶつかったらかわいそうだからと警備員さんに止められます。お気遣いいただけて有難いんですけどね(笑)! 燃費と乗り心地も良くはないですが、ダメな子ほどかわいいというじゃありませんか」
「でも、だからこそ、購入を決めた」ガリューⅣにかける思い
ガリューⅣを長江さんが購入したのは、前職のテーマパーク会社を退職し、自身で新たな事業に飛び込んでみようと決心したときだった。
好きな仕事ができて、安定した収入のある職場を退職し、外食産業で会社を立ち上げ店舗総責任者として働くということは勇気のいる選択だったという。
「お店が軌道に乗るかどうかは分からないし、これから生活に困ることがあるかもしれない。でも、だからこそ、購入を決めました。車両価格や維持費がかかる車に乗ることで、仕事に一生懸命取り組まなければならないと、自分を奮い立たせたかったんです」
前職の社員数は約2万人以上。完成された組織の一員ではなく、自分で1から作りあげていきたかった理由はどこにあるのだろうか?
「自分にしかできない、そんな仕事がしたかったんです。前職で教えてもらったのですが、注文を取るという作業はロボットでもできるけど、お客さまの好みを聞きながら注文を取るというのは人にしかできない仕事だし、もっと言うとお客さまの好みを聞く方法は人それぞれぞれじゃないですか」
「それらをコーディネートできるサービススタッフ、そしてそれらを形にできるバーテンダー、キッチンスタッフがいると、お店の雰囲気がその人らしい色に染まるんです。『あっ、今日は○○さんがフロアに立っているな。○○さんが料理しているな』って肌で感じますよ。前職で学んだサービスや立ち振る舞いといった、自分らしい仕事ができるようになるノウハウを、総勢30名程の社員に教育すること。それが、僕にしかできない仕事だと思っています」
長江さんは、人が生き生きと仕事をしているのを見るのが好きなのだという。
仕事に対して誠実で、やりがいを感じてもらえるようにサポートする。それが自分らしい仕事だと語ってくれた。
そして、そんな長江さんを日々奮い立たせてくれる背景には、確かにガリューⅣの存在があった。
車での通勤時間が与えてくれるもの
「通勤ルートである湾岸線を走っていると前職のテーマパークが見えるんです。20時30分に花火が上がるんですけど、それを見るたびに慣れ親しんだ場所を離れて今の仕事を選んだ意味を考えさせられます。初心に返りたいからこそ、日々の通勤は電車ではなく車にしている節もあると思います」
ガリューⅣは長江さんにとって、「大きな決断をしたときの覚悟」が具現化したものなのかもしれない。
そしてそれを運転する時間は、その覚悟や初心に立ち返れるものであるのだろう。
「何年後かに、またメキシコ料理を食べに来てください! その頃には、ガリューⅣに見合う男になれているかもしれませんから(笑)」
そうやって笑う長江さんは、もうすでに立派なガリューⅣオーナーに見えた。
長江勇登さんのマイカーレビュー
光岡自動車 ガリューⅣ
●購入金額/350万円
●年間走行距離/約20000㎞
●マイカーの好きなところ/人とかぶらないところ
●マイカーの愛すべきダメなところ/機械式駐車場に入れてくれません!
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/人生を楽しみたい人へ
自動車ライター
矢田部明子
アナウンサーやラジオパーソナリティーとして活動後、モータージャーナリストの道を歩み始めたばかり。宇部工業高等専門学校で機械工学や物質工学について学んだ知識を生かし、女性の目線から評論できるように修行中! 愛車はランドクルーザー76でオフロードコースを走るのが趣味。
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