自動車ライター、塩見智さんが軽自動車に約1ヵ月間乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」。高級車が溢れる東京での軽ライフを赤裸々につづっていく。今回はタントカスタム編の第1回。

▲ギラギラとした顔が印象的なタントカスタム。車体が黒なのも相まって、ぱっと見ではアルファードのようにも見える ▲ギラギラとした顔が印象的なタントカスタム。車体が黒なのも相まって、ぱっと見ではアルファードのようにも見える

半端ないギラつきが主張しまくり!

待ち合わせ場所に編集部員が乗ってきたダイハツ タントカスタム。第一印象はプチアルファード。フロントマスクは壁のように切り立ち、軽自動車のサイズ枠を目いっぱい使ってドヤ顔をしているようだ。黒いボディカラーにクロームを多用するもんだからギラつきが半端ない。昔『いつかギラギラする日』という映画があったが、タントカスタムはいつもギラギラしている。あとフロントマスクの下半分が凸みたいな形のクロームパーツでかたどられていて、テトリスかな? とも思わせる。

タントにはこのカスタム顔と標準顔の2種類がある。ダイハツはこれを2フェイス戦略と呼ぶ。同様にムーヴやムーヴコンテにもカスタム顔と標準顔がある。ダイハツだけではない。スズキも標準のワゴンRと、カスタムに相当するワゴンRスティングレーがあるし、スペーシアとスペーシアカスタムがある。軽一番の売れ筋であるホンダのN-BOXにも標準とN-BOXカスタムが存在する。

▲こちらは標準顔の方のタント。家族をターゲットとしていることもあり、ほんわかとした印象だ。カスタムに比べるとフロントフェイスがだいぶすっきりしているのが分かる ▲こちらは標準顔の方のタント。家族をターゲットとしていることもあり、ほんわかとした印象だ。カスタムに比べるとフロントフェイスがだいぶすっきりしているのが分かる

タントの場合、カスタムが販売台数の5割を少し上回るという。ダイハツ広報によると、「昨今のダウンサイジングの流れで、登録車から軽自動車に乗り替える人が増えてきました。特に車高が高く、車内が広いタントは登録車からの乗り替えの受け皿になっています。トヨタのアルファードやベルファイアといったフルサイズミニバンを下取りに出して軽自動車を買う人も珍しくありません。なので、カスタムの押し出しの強さは、登録車からの乗り替えた際の違和感を和らげるために必要なのです」とのこと。なるほど。

ただし、モデルが変わると傾向も変わる。ダイハツでもムーヴだと標準の方が売れていて、スズキも標準のワゴンRとカスタムに相当するワゴンRスティングレーでは、ワゴンRの方が、スペーシアとスペーシアカスタムではスペーシアの方が売れているようだ。

新しい相棒との生活がスタート

というわけで、タントカスタムによるスマート軽ライフをスタートさせた。乗り込んでまず感じたのは、ダッシュボードの樹脂やステアリングホイール、シート天井の内張りなど、目に見える部分、手に触れる部分の質感が高いということ。センターメーターの視認性は良好で、視界も良い。フロントウインドウは手を伸ばしても届かないほど前方にあって、角度が立っている。このため、交差点の最前列に停車すると信号が見えないときもある。

▲質感の高い内装。軽自動車=安いというイメージをくつがえしてくれる ▲質感の高い内装。軽自動車=安いというイメージをくつがえしてくれる


全高1500mmと車高が低く、車重が670kgと異例に軽いアルトワークスから、同1750mmと車高が高く、車重が940kgもあるタントカスタムに乗り替えただけあって、挙動は大きく異なる。次週はタントカスタムの動力性能や乗り心地などを報告したい。

▲アルトワークスの運転席まわりにも小物入れはいくつかあったものの、大きめなiPhone 6 Plusが入るサイズのがひとつもなかったのだが、タントカスタムではフロントベンチシートの切れ目に挟むことで固定できるじゃないか! 気に入った。 ▲アルトワークスの運転席まわりにも小物入れはいくつかあったものの、大きめなiPhone 6 Plusが入るサイズのがひとつもなかったのだが、タントカスタムではフロントベンチシートの切れ目に挟むことで固定できるじゃないか! 気に入った


【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ Japan」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。

text/塩見智
photo/篠原晃一、ダイハツ、塩見智