▲某企業のビジネスマンとしてバリバリ働く浅岡さん。学生時代は世界を旅する男だった彼が週末の相棒に選んだのは、渋いカラーが光る本格クロカン。なぜ選んだのか、そして彼のカーライフとは ▲某企業のビジネスマンとしてバリバリ働く浅岡さん。学生時代は世界を旅する男だった彼が週末の相棒に選んだのは、渋いカラーが光る本格クロカン。なぜ選んだのか、そして彼のカーライフとは

「行き当たりばったりの野性」の魅力

筆者が学生だった頃はこの世にグーグルも食べログもなかったため、極論すればほとんどの選択は行き当たりばったりの直感でなされていた。しかし時代は変わり、今やたいていの物事はあらかじめ何となくの想像はつく。

それが良いとか悪いとかではなく、いや世の中は昔より確実に良くなったと思うわけだが、もう少しだけ「行き当たりばったりの野性」も人生に取り入れればいいのになぁと、若者を見ていると思う。

だが今更筆者からそんな指摘を受けるまでもなく、「素敵な野性、偶然性」を楽しんでいる若者もいる。例えば1997年式ランドローバー ディフェンダーに乗る24歳、浅岡亮太さんだ。
 

どんな場所でもたどり着く! ディフェンダーは最高の相棒

社会人1年目だった昨年10月、ディフェンダーの中古車を5年ローンで購入。

「何車種かの候補で迷ったのですが、どうせなら『その車でしか体験できないこと』ができる車がいいと考え、ディフェンダーに決めました」

平日は人気IT企業の社員としてビルの中でビシビシ働くが、土曜日となりディフェンダーに乗ると、完全に“スイッチ”が切り替わるのだという。

「毎週末キャンプに行きます。フライフィッシングをしたりもしますが、基本的にはただ焚き火を眺めているのが超楽しいというか(笑)。ディフェンダーの良いところって、そこへ行きたいと思ったならば、どんな場所であっても確実に行けるってことなんだと思います。先日も長野県山中の超天然露天風呂に行ったんですが、道中はディフェンダーじゃないとたぶんたどり着けなかった感じでした」
 

「『週末にディフェンダーがない生活』は想像がつきません」

IT企業での業務中はどうなのか知らないが、旅先では、思いつきというか“直感”を何よりも重視する。

「右に行くか左に行くか……で迷ったときは、心の中の声に聞くというか、なんとなく『右だな』と思ったならばサッと右を選ぶようにしています。そこから思いもよらぬドラマが始まったりもしますし、ディフェンダーがあれば、死ぬようなこともないですしね」

昔から、そういったタイプの少年・青年だったのだろうか?

「どうでしょうか? 休学して海外を旅していた頃は、現地でお金が無くなると書けもしない“書”をもっともらしく半紙に書いて、ありがたいことにそれを現地の方に買っていただいてしのいだりもしていましたが……(笑)。基本的にはディフェンダーを買ったことで人生が変わった気がします。最初は速攻で売っちゃおうと思ったんですが(笑)、今は絶対に売りたくないですね。ディフェンダーがないことというか、『週末にディフェンダーがない生活』というのは、もはや想像もつきません」

▲強靭なラダーフレームを採用した英国の四輪駆動車。浅岡さんが購入したのは1997年式のショートホイールベース版で、MTのガソリンエンジンというレアな仕様。総額約350万円の支払い方法は「男の60回払い」とのこと。昨年10月の購入時は1.3万kmだった走行距離は、現在2.4万kmに ▲強靭なラダーフレームを採用した英国の四輪駆動車。浅岡さんが購入したのは1997年式のショートホイールベース版で、MTのガソリンエンジンというレアな仕様。総額約350万円の支払い方法は「男の60回払い」とのこと。昨年10月の購入時は1.3万kmだった走行距離は、現在2.4万kmに
▲「ディフェンダーにしたのはなんだかんだ言って直感と見た目。特にこの武骨な、でも憎めない顔つきが気に入ったんです。左右の空気取り入れ口も微妙に好きなポイントですね」(浅岡さん) ▲「ディフェンダーにしたのはなんだかんだ言って直感と見た目。特にこの武骨な、でも憎めない顔つきが気に入ったんです。左右の空気取り入れ口も微妙に好きなポイントですね」(浅岡さん)
▲車高が高い車ですから車内にはこのステップに足をかけて乗り込むわけですが、その足をかける行為がね、なんか好きなんですよ。『よし、冒険に行くぞ!』みたいな(笑)」(同) ▲車高が高い車ですから車内にはこのステップに足をかけて乗り込むわけですが、その足をかける行為がね、なんか好きなんですよ。『よし、冒険に行くぞ!』みたいな(笑)」(同)
▲「(撮影用に荷物を一部取り出したが)普段はキャンプ用の荷物が満載の状態です。で、荷室の床は自分でウッドに張り替えました。単純に木の方が雰囲気があってカッコイイかなあと」(同) ▲「(撮影用に荷物を一部取り出したが)普段はキャンプ用の荷物が満載の状態です。で、荷室の床は自分でウッドに張り替えました。単純に木の方が雰囲気があってカッコイイかなあと」(同)
▲東京都出身、24歳。実家は車屋さんという車エリート。が、根っからの車好きではなかったという。大学4年時に世界各地を放浪。現在はカーシェリングサービスの立ち上げメンバーとして奮闘中 ▲東京都出身、24歳。実家は車屋さんという車エリート。が、根っからの車好きではなかったという。大学4年時に世界各地を放浪。現在はカーシェリングサービスの立ち上げメンバーとして奮闘中

※この記事はカーセンサー本誌2016年8月号に掲載された「輸入車“若者”オーナー見聞録」を、WEB用に再構成したものです。記載の情報は掲載当時の内容に準じます。

text/伊達軍曹
photo/畠中和久