▲川口市戸塚東2丁目(けやき通り)に設置された小型の固定式オービス。川口市戸塚東2丁目では、以前、脇見運転の車が幼稚園児の列に突っ込み死傷させる事故が発生している ▲川口市戸塚東2丁目(けやき通り)に設置された小型の固定式オービス。川口市戸塚東2丁目では、以前、脇見運転の車が幼稚園児の列に突っ込み死傷させる事故が発生している

生活道路の安全を守る小型オービス

オービス(自動速度違反取締装置)といえば、高速道路やバイパスで速度超過を測定している印象が強いが、これからは身近な生活道路にも設置されるかもしれません。

警察庁は、狭い生活道路でも速度違反を取り締まることができる小型のオービスを、11月1日から2ヵ月間、埼玉県内で試験的に使うことを決定した。効果や住民の反応を踏まえて、全国展開するかを検討するそう。

そこで導入されたのが、①可搬式、②半可搬式、③固定式の3タイプ。可搬式は、速度測定部を三脚に固定して速度を測定。持ち運びができ、通学路や生活道路などの幅5.5メートル未満の道でも運用ができます。半可搬式は、持ち運びはできないが、資材運搬車などでの運用が可能。固定式は、コンパクトではあるが、路面に埋め込んで固定するタイプです。

可搬式、半可搬式においては、11~12月の2ヵ月間、埼玉県内で適時運用される予定です。固定式は11月4日から約1ヵ月間、さいたま市北区別所町と川口市戸塚東2丁目に設置されています。

実際に川口市戸塚東2丁目に行って実物を見ましたが、高さは3メートル程度で、本体も一般的なオービスよりはかなりコンパクト。よく見るとフラッシュとカメラレンズのような部分が見えており、速度違反の車の運転手の顔写真を撮影する機能はしっかりと備えています。ちなみに道路は2車線あり、けっこう広めなので「生活道路」という感じではありませんでした。

導入のきっかけは、警察庁による「交通事故防止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会」が2013年12月にまとめた「交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する提言」において、取り締り場所の固定化や生活道路における課題が指摘されたことにあります。

主に地域住民の日常生活のためにある生活道路。「路地」や「裏道」とかを想像していただくと近いかもしれません。見通しが悪かったり、信号の無い交差点があったりと、歩行者や自転車が巻き込まれる事故が多く発生します。

国土交通省が発表している「交通事故の現状」にある「道路種別の死傷事故率(平成23年)」によると、生活道路における死傷事故件数は幹線道路の約2倍あり、非常に多いことがわかります。

そもそも「取り締まり」は、安全運転を促し交通事故を抑止するためにあるもの。生活道路における歩行者などの安全な通行を確保するための取り組みとして、今回の試験運用が始まったというわけです。

生活道路は、実は幹線道路より事故が多いという現実。オービスがあるから速度を守るというのは本末転倒ですが、それが抑止力になるのもまた事実。加害者にも被害者にもならないように、制限速度を守って運転するようにしましょう。

▲固定式のオービスが設置してある場合、その手前に「速度取り締り路線」などの警告看板がある ▲固定式のオービスが設置してある場合、その手前に「速度取り締り路線」などの警告看板がある
▲150メートル先の車を検知して、その車が速度違反だった場合、周囲の歩行者に対して「車に注意してください」という警告アナウンスを流す機能も備えている ▲150メートル先の車を検知して、その車が速度違反だった場合、周囲の歩行者に対して「車に注意してください」という警告アナウンスを流す機能も備えている
text&Photo/コージー林田