トヨタが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの電気利用車両への充電の際にケーブルを使用せず、地面に設置したコイルに車両位置を合わせ駐車するだけで充電ができる「非接触充電システム」を開発し、先月下旬より愛知県内で実証検証を開始している。

当たり前の話だが、EVやPHVはガソリンを給油する代わりに、充電が必要になる。その方法はさまざまだが、コンセントを差し込み充電する直接的な方法が一般的だ。

この方法は、作業自体は決して面倒ではないものの、現在のEVなどは航続距離が決して長くはないため、日常で使うとなると、こまめな充電が求められる。贅沢病と言われればそのとおりだろうが、実際に使ってみると、暑さや寒さ、雨といった気候や天候によっては、面倒と感じることも少なくない。

そのわずらわしさを解消したのが、「非接触充電システム」だ。磁界共鳴方式を採用しており、地面に設置したコイル(送電側)と車両に設置したコイル(受電側)のコイル間における磁界の共鳴現象を利用して、電力を電送する技術を活用している。

送受電コイル間の位置ズレや高低差における電力伝送効率の低下を少なくでき、電磁波による周辺機器などへの影響も抑制。さらに送電側のコイルは、車両の乗り上げにも耐えられる高い耐久性をもっている。

実証実験は、愛知県内のPHVオーナー宅などで車両3台を用いて1年間行い、充電システムの満足度や利便性のほか、駐車位置ズレの分布などを調べる予定となっている。

このシステムが実用化すれば、車庫入れして次に出掛けるときには充電満タンになっているため、とにかく手間がかからない。給油はもちろん、給電もなくなるため、まさに“リアルメンテナンスフリー”の車になる。そんな車が現実となるのも、そう遠い未来ではなさそうだ。

駐車場の決まった位置に駐車すれば、コンセントなどを使用することなく充電できる。充電電力は2kWで、充電にかかる時間は90分となっている

駐車場の決まった位置に駐車すれば、コンセントなどを使用することなく充電できる。充電電力は2kWで、充電にかかる時間は90分となっている

ナビ画面上に送電側のコイルの位置を表示し、最適位置をガイド。車庫入れを容易にする「インテリジェントパーキングアシスト機能」も装備

ナビ画面上に送電側のコイルの位置を表示し、最適位置をガイド。車庫入れを容易にする「インテリジェントパーキングアシスト機能」も装備