▲改良型のターボエンジンを搭載することで、通常のアルトよりもトルクアップしている ▲改良型のターボエンジンを搭載することで、通常のアルトよりもトルクアップしている

軽量で高い剛性のボディが優れた操縦安定性を実現

新型アルトに試乗した時に、ターボモデルも発売すると聞いて一層楽しみになった。今回試乗したスズキ アルトターボ RSはホワイトのボディカラーにレッドのラインをあしらった、イタリアのホットハッチを彷彿とさせるカラーリングだ。

さっそく試乗する。670kgの軽量なボディのおかげで動き出しは軽やか。MTをベースにした新開発のオートギアシフトというトランスミッションのシフトフィーリングはスポーツマインドを求めている人にはちょうどいいだろう。伝達効率の良いトランスミッションでもエンジン搭載位置や制御が良好なおかげで、ウェットな路面状況であっても不快な振動や音は発生しにくい。軽量なFFだが、ロードホールディングは抜群だ。

ボディ剛性もベース車のアルトよりアップしている。ロール剛性を適度に向上させながら、サスペンションも素直に動いているので、路面追従性に不安はない。これはサスペンションを大きくストロークさせないことで、路面からの入力を柔らかく吸収し、タイヤが正確に接地面を捉えているためだ。

コーナリングでも内側が伸びてしっかりと外側でためる。最小限に抑えたストロークで、スポーティーにコーナーを立ち上がるのだ。日本のタイトなワインディングにはこれがピタリと当てはまる。サスペンションが余分な動きをしないために、ボディはフラットに保たれ、思った通りに正確な路面のトレースができる。

より運転を楽しめるようにステアリングに装着されたパドルシフトは、実に反応良く不満のないシフトスピードだ。出力こそ64psであるがトルクは1L級だ。ターボを搭載していても、軽量のボディの恩恵で、最良のドライバビリティが作り出されている。それがスズキ アルトターボ RSなのである。

▲スポット溶接を打ち増し、車体の補強を施すことで剛性を追求している ▲スポット溶接を打ち増し、車体の補強を施すことで剛性を追求している
▲タイヤも新開発された専用のものを採用。サスペンションやブレーキもチューニングされた ▲タイヤも新開発された専用のものを採用。サスペンションやブレーキもチューニングされた

【SPECIFICATIONS】
■グレード:アルト ターボRS ■乗車定員:4名
■エンジン種類:直3DOHCターボ ■総排気量:658cc
■最高出力:47(64)/6000[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:98(10.0)/3000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:5AGS
■全長×全幅×全高:3395×1475×1500(mm) ■ホイールベース:2460mm
■車両重量:670kg
■JC08モード燃費:25.6km/L
■車両本体価格:129万3840円(税込)

text/松本英雄 photo/奥隅圭之