▲スズキの小型乗用車のノウハウとSUVの技術を結集して作り上げられたSX4 S-CROSS ▲スズキの小型乗用車のノウハウとSUVの技術を結集して作り上げられたSX4 S-CROSS

注目は4つの走行モードを選べるシステムであるALLGRIP

初代SX4から8年の歳月を経て登場したSX4 S-CROSS。先代に比べてホイールベースを100mm延長したため一回り大きくなり、存在感が増した。

今回、試乗したのは4WDモデル。乗り込むと、走り出しはとても軽快で先代よりも質の向上を感じた。およそ1200kgの車体をグイグイと引っ張り、登りの山間部を走らせて副変速機付きのCVTの威力を感じる。ただしエンジン回転を高め続けると、ノイズが気になる事もある。

山間部を走行した時にロールを感じたが、不安は無い。ボディが水平に保たれているのは、フロントのマクファーソンストラット方式のサスペンションがしっかりしているため。リアはボディ設計の自由度が高いトーションビーム方式を取り入れ、アライメント変化が少ない。サスペンションのストロークが伸びた状態でのコーナリングは路面をとらえにくいため不安な動きになるが、4WDの恩恵はそういった場合で発揮する。

この車のポイントのひとつは走行モードを選べるALLGRIPというシステム。電子デバイスを経て、その時の路面状況に応じた最適なアウトプットをして、スタビリティを良好にする。そのためコーナリング時にフロントの接地が悪くなると、リアから押されるような動力変化をし、高い安定性のドライビングが楽しめる。

下りでALLGRIPのモードをワインディングなどでの走行に適したSPORTモードにし、エンジンブレーキを利かせながら走る。下り坂では荷重の関係でリアが不安定になりがちだ。しかしエンジンブレーキを使い接地性を高めながら、丁寧なハンドリングを心がければその心配はなくなる。

気になったのは軽量化によるリアの剛性不足。利便性を求めて、リアハッチの形状は開口部が広くて良いが、後部座席からのボディアンダーパネルと開口部の剛性が足らないように思えた。実際、路面からの凹凸をサスペンションが吸収しきれないと、リアからボディのバイブレーションが発生する。

気になったのは軽量化によるリアボディの剛性不足。路面からの凹凸をサスペンションが吸収しきれず、バイブレーションが発生した。ここは今後、改善して欲しい点である。

▲先代SX4にから全長150mm、全幅35mm、全高5mm拡大。ホイールベースも100mm長くなり大型化した ▲先代SX4にから全長150mm、全幅35mm、全高5mm拡大。ホイールベースも100mm長くなり大型化した
▲1.6Lの直4DOHCエンジンを搭載。排気量は先代の最終型よりも100ccアップしている ▲1.6Lの直4DOHCエンジンを搭載。排気量は先代の最終型よりも100ccアップしている
▲優れた走破性や走行安定性を実現する電子制御4WDシステムである「ALLGRIPシステム」を採用。AUTO、SPORT、SNOW、LOCKの4つの走行モードを選択できる ▲優れた走破性や走行安定性を実現する電子制御4WDシステムである「ALLGRIP」を採用。AUTO、SPORT、SNOW、LOCKの4つの走行モードを選択できる
▲新型のラゲージ容量は420Lとリヤシートを倒すことなく9.5インチのゴルフバックが3個積載できる。また開口部の幅は広げ、高さを下げることで、荷物の積み下ろしが容易にできるように設計されている ▲新型のラゲージ容量は420Lとリヤシートを倒すことなく9.5インチのゴルフバックが3個積載できる。また開口部の幅は広げ、高さを下げることで、荷物の積み下ろしが容易にできるように設計されている

【SPECIFICATIONS】
■グレード:SX4 S-CROSS ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC ■総排気量:1586cc
■最高出力:86(117)/6000[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:151(15.4)/4400[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■全長×全幅×全高:4300×1765×1575(mm) ■ホイールベース:2600mm
■車両重量:1210kg
■JC08モード燃費:17.2km/L
■車両本体価格: 225万7200円(税込)

text/松本英雄 photo/奥隅圭之、篠原晃一