※この記事はカーセンサー関東版2001年14号(4月5日)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです

公道を走れる“速さこそ命”の過激な一台

  • 三菱 ランサーエボリューションVII 走り|ニューモデル試乗
  • 三菱 ランサーエボリューションVII インパネ|ニューモデル試乗
↑1、2を争う加速性能と最新技術でワインディングは無敵の速さだ(左) オフブラック基調色のインテリア。専用デザインメーターは透過照明常時点灯タイプ(右)
今、世界で最も過激なセダンを送り出しているのは、間違いなく日本である。その代表格が三菱ランサーエボリューション。スバルのインプレッサWRXと同じく、WRC制覇に向けたベース車両としての役割も担うスーパー4WDセダンであり、速さこそが命だ。

モデルチェンジによりプラットフォームが新しくなったが、ホイールベースが115mmも延ばされたことや、安全性能やボディ剛性の向上のために車重がGSRで40kg重くなるなど運動性能には不利な条件もある。しかし、中速域のトルクをさらに高めたエンジンや電子制御センターデフの採用などにより、ポテンシャルを大幅に高めたという。 試乗車はGSR。これにはACD(電子制御センターデフ)やAYC(アクティブヨーコントロール)、フロントヘリカルLSD、スポーツABSなどがすべて標準で備わっている。

おとなしい外観にのけ反るほどの加速

  • 三菱 ランサーエボリューションVII エンジン|ニューモデル試乗
  • 三菱 ランサーエボリューションVII リアスタイル|ニューモデル試乗
↑エンジンもマグネシウムの使用やカムシャフト中空化などで上部の軽量化を図った(左) 溶接点の追加やストラットタワーバーの採用などにより、従来車と比べて1.5 倍の曲げ剛性を確保。また、ボンネットフードなどにアルミを使用するなどの軽量化を図った(右)
先代ほどにはアグレッシブではない外観が雰囲気をおとなしくしているが、走り出すとこれはハンパな性能ではないことがすぐに知れる。街中などではクラッチをラフにつないでも普通に走り、ごく低回転でもギクシャクすることなくスムーズに走るから、まるで普通のセダンとして扱うことも可能だ。しかし、ひとたびアクセルを踏み込むとモリモリとトルクがわき上がり、即座に頭がのけ反る加速を開始する。特に3000~6500rpmはあっという間だが、その速さは公道ではなかなか全開にし続けることができないほど。加速性能は国産車で1、2を争うのは間違いない。

足はハードだが、乗り心地は日常域でつらくなるほどに厳しくはない。三菱車の常として、最新のランエボでもステアリングから伝わる接地感に曖昧感が残るのが惜しいが、コーナリングは抜群に速い。切り初めに一瞬の応答遅れ感を残すことを除けば、アクセルを踏み込みながらもノーズをインに向けていける。ACDスイッチをターマックにセレクトすれば向きは自在に変わり、その上で安定性も文句なく高い。もはやワインディングでも無敵といった感じだ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード GSR
駆動方式 4WD
トランスミッション 5MT
全長×全幅×全高(mm) 4455×1770×1450
ホイールベース(mm) 2625
車両重量(kg) 1400
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1997
最高出力[ps/rpm] 280ps/6500rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 39.0kg-m/3500rpm
10・15モード燃費(km/L) 9.6
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/48
車両本体価格 299.8万円

斉藤 慎輔の責任採点

コンセプト 5点 取り回し 4点 加速性能 5点 ブレーキ性能 4点
フィニッシュ 4点 操作系の使い勝手 4点 乗り心地 4点 環境対策 3点
前席居住性 4点 ラゲージルーム 3点 操縦安定性 4点 燃費 3点
後席居住性 3点 パワー感 5点 高速安定性 5点 ステータス 4点
内装の質感 3点 トルク感 5点 しっかり感 4点 コストパフォーマンス 5点
得点合計 81/100
(Tester/斉藤 慎輔 Photo/奥隅 圭之、桜井 健雄)