▲現行型フォレスターをベースにSTIがチューニングを施したtSモデル ▲現行型フォレスターをベースにSTIがチューニングを施したtSモデル

サスペンションが支える未体験な走行フィール

4代目フォレスターが登場して2年がたつが、今回、STI(スバル・テクニカ・インターナショナル)が手を施したフォレスターtSが登場した。STIがチューニングした新型モデルはすべて試乗しているが、「tS」と呼ばれるようになったときから文句の付けようがない仕上がりにただ驚くばかりだ。今回のフォレスターはどうであろうか。

ゆっくりと走り出すと、まずはそのエンジンの静かさに驚いた。エンジンとトランスミッションのプログラムも専用にあつらえてある。特に走行モードを選べるSI-DRIVEを、「インテリジェント(I)」「スポーツ(S)」「スポーツシャープ(S♯)」の中からS♯にし高速をドライブすると、無段階変速のトランスミッションであることを忘れるほどに小気味よいシフトアップ・ダウンを繰り返す。

しかしそれ以上に、フォレスターtSの真髄は補強されたシャシーに見合ったサスペンションのセッティングにある。正直言って今までに乗ったtSモデルの中でいちばんスパルタンな印象だ。かといってガチガチというわけではなく、ダイレクトな動きでありながら路面のうねりもいなして、ハンドルに悪影響を与えない。操縦安定性を確保しながら、サスペンションをストロークをさせて、路面からドライバーにやる気を伝えてくれるのだ。その真価をアウトバーンで超高速クルージングをして試してみたくなる。それほど路面からの入力を欲している車なのだ。

日本の道路ではその真価は問えないが、このフィーリングは欧州でのハイスピード、ロングディスタンスな走行に耐えうる唯一の日本のクロスオーバービークルなのかもしれない。限定300台だけの未体験ゾーンに触れられることができるのは、幸運に恵まれた方のみとなる。

▲外装は専用色であるWRブルー・マイカを含めた全4色展開。生産台数は300台限定となる ▲外装は専用色であるWRブルー・マイカを含めた全4色展開。生産台数は300台限定となる
▲搭載されているのは水平対向4気筒のターボエンジン。ターボ仕様のみの展開 ▲搭載されているのは水平対向4気筒のターボエンジン。ターボ仕様のみの展開
▲ブラックのフロントグリルにエンブレムが装着された他、レッドのラインが入るなど、ひと目でSTIチューニングカーということが分かるフロントデザイン ▲ブラックのフロントグリルにエンブレムが装着された他、レッドのラインが入るなど、ひと目でSTIチューニングカーということが分かるフロントデザイン

【SPECIFICATIONS】
■グレード:フォレスターtS ■乗車定員:5名
■エンジン種類:水平対向4DOHC ■総排気量:1998cc
■最高出力:206(280)/5700[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:350(35.7)/2000-5600[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■全長×全幅×全高:4595×1795×1700(mm) ■ホイールベース:2640mm
■車両重量:1620kg
■車両本体価格:435万円(税込)

text/松本英雄 photo/篠原晃一