強烈な外観に似合わず、走りは万人向けでオーソドックス

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コンセプト

使い勝手と動力性能、そしてスタイルを底上げ

コンセプトは、ズバリ“ユーザーフレンドリーを追求した、おしゃれな新世代コンパクトカー”。先代マーチは、“スタイル”と“運転のしやすさ”の2点で、ユーザーの高い評価を受けていたが、“動力性能”や“室内の物入れの数/配置”などに不満が集まっていた。そこで新型は、いいスタイルと運転のしやすさをさらにグレードアップしつつ、動力性能や室内の使い勝手を大幅に改善することを目指している。

エンジンは、従来の1Lと1.3Lに変わって、1L、1.2L、1.4Lの3種をラインナップ。メインを1.2Lモデルとして動力性能とクリーン性を向上させた。小物入れも充実させ、さらにインテリジェントキーやケータイにつなぐことで情報&簡易ナビサービスが有料で得られる“カーウイングス”も設定、時代に対応している。
室内&荷室空間

外観に比べると落ち着いた室内

新型マーチは、エクステリアデザインがすばらしくインプレッシブ。キュートでひょうきんなフロントマスクを見ただけで引き込まれる。この顔なら、きっと室内も相当イイ感じなんだろう……、と思ってドアを開けると、それほどセンスが光ってないように見えました。

メーターや操作系の配置はすべ てオーソドックス。工夫をこらしたというインパネやシート表皮のデザインや素材感も、これ見よがしでなんかちょっと消化不良気味。でも、全体的には落ち着けます。室内が茫洋と広すぎないのも一つの要因。だいたいヴィッツと同じくらいで、コンパクトカーらしい居心地の良さがある。小物入れはフタ付きが多いので、散らかった感じがしなくていいかも。カーゴもそれなり。特に広くはないけど、開口部がスクエアで使いやすそうだ。
  • 日産 マーチ インパネ|ニューモデル試乗
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ドライブフィール

走りはいい意味で“フツー”の出来映え

スタイルの強烈なイメージのせいか、走りのほうはなんかちょっと拍子抜けのフツーさを感じました。ルノーと共有するプラットフォームは、若干フランス風味、すなわちあんまり堅牢じゃなくて庶民的。足も印象が残らないなど万人向け。電動パワステは、中立付近でアシストが弱くなりガッシリ直進してくれるのはいいが、切ると不自然で熟成不足の印象も。そしてエンジン。1.2Lと1.4Lエンジンはロングストロークで、4500rpmくらいまでの常用域はスッと踏めばスッと加速、静かで軽快でよろしいですが、それ以上回すと“がぁ~!”と同クラスと比べてもものすごくうるさい。

先代マーチからそれほど長足の進歩は感じないのが、かえってマーチらしくていいのかも?まあフツーに走るし、このカッコだけでも価値あり。一芸グルマね。
こんな人にオススメ
小型車を欲しているありとあらゆる人にオススメできます。中身は完璧に中庸、万人向け。ただスタイルは驚異的に斬新でキュート、とてつもなく突出してて、本当に世界に誇れる。性能はフツーでも、スタイルは世界一級なんで、オリンピックで日の丸が上がるとジワッと来るタイプには、特にオススメしたい。
SPECIFICATIONS
グレード 1.2c(5ドア)
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 3695×1660×1525
ホイールベース(mm) 2430
車両重量(kg) 920
乗車定員 5人
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1240
最高出力 66kW(90ps)/5600rpm
最大トルク 121N・m(12.3kg-m)/4000rpm
車両本体価格 109.5万円
写真:桜井健雄 文:MJブロンディ(元・清水草一)