▲レクサス LS 500h▲レクサス LSとLCの年次改良されたモデルに、自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が試乗した(写真はLS 500h)

年次改良にも力を注ぐレクサス

国内自動車メーカーのイヤーモデル試乗会は、少し前まで皆無だった。

一方の輸入車、特に欧州車はそのあたりに敏感だ。

採算に見合うとなれば、見えない個所を変更することが多々ある。

レクサスは自動車メーカーでは国内唯一のプレミアムブランドだ。だからこそ意識も高く、丁寧に年次改良を行っている印象がある。

今回はとフラッグシップセダンのLSと、ラグジュアリークーペのLCの改良モデルに試乗したので、その模様をお届けしたい。

レクサス ▲改良モデルを含むオールラインナップ試乗会にてLSとLCを試乗

フラッグシップらしく乗り心地と静粛性が向上

まずはLSから試乗だ。

ハイブリッドモデルである初期のLS 500hは、瞬間的に路面とのコンタクトを探るようなエアサスのセッティングが顕著に表れていて戸惑った。

しかし、2018年に年次改良されたモデルに試乗した際には、少しの変化がみられた。サスペンションが路面に追従して心地くなっていたのだ。

今回はネガティブな部分が、どのくらい払拭されているのだろうか。

1年ぶりのLSの試乗だ。フラッグシップだけに、素材を改良し質感の向上には余念がない。

Dレンジに入れてスタートした。走り出しは本当になめらかだ。

以前のような思いがけない前後のシェイクがかなり低減されていて、乗り心地がよい。

これはサスペンションセッティングだけではなく、最適なセッティングを求めた変更点だ。

簡単に言うとドライバビリティの、ギクシャク感が少なくなった。

その結果、乗り心地まで変化が出てきている。

そして何よりもスロットルの開け方をマイルドにしやすくなっているために、静粛性も向上している。

フラッグシップは乗り心地と静粛性がモットーである。

意図的なのか、それとも様々な部分を最適化した恩恵なのか、負荷をかけてエンジンが始動したときの回転の立ち上がりも抑えられているように感じられた。

これはハイブリッドの高級車に求められるセッティングである。

新しいプラットフォームとともに発売から2年が経過したが、確実に良質な乗り心地の質感に変わってきている。

レクサス LS ▲乗るものを優しく包み込むような柔らかい乗り心地

上品な配色で質感を統一されたLC

同じプラットフォームで、LSより半年以上早く市販されたフラッグシップグランドツアラーのLCも、イヤーモデルで様々な改良点があるという。

中でも“パティーナ エレガンス”という特別モデルは、試乗前に見た瞬間から興味津々だったので楽しみだ。

今回の試乗車である、テレーンカーキマイカメタリックのボディカラーは、華やかでいて上品さがある。

内装のパティーナブラウンは使い込んだレザーのような色合いで、それとのマッチングもいい。個人的に好きな配色だ。

LCにはV型8気筒エンジンを搭載したLC 500と、もうひとつLS 500h同様のパワーユニットのLC 500hがある。

500hの初期モデルは、サスペンションがしなやかではなかったが、年次改良で確実に良い方向に向かっている。

トランスミッションとエンジン&モーターのマッチングも、初期に比べるとスムーズになっていた。

今回は、LC 500を試乗したのでそちらをお伝えしたい。

天気は曇りであったがテレーンカーキマイカメタリックは、近くで見ても遠くから見ても本当にいい色だ。

ビロードを張ったようなしなやかさを持ち合わせたレザーは、レクサスでは最も品質がいいと言っても間違いないであろう。レザーの香りも本物だ。

一般的に車のシートに使われるレザーのほとんどは塗装のようなコーティングで、吸い付くような肌触りは皆無である。

しかし、このパティーナブラウンのレザーはとてもいい。

インテリアにも使われる人工スエードとの相性も抜群だ。

ステッチも本ステッチで、細部にも丁寧な作り込みを感じられる。所有する喜びをさらに高めるアイテムだ。

レクサス LC 内装 ▲シンプルで高級感のある内装
レクサス LC シート ▲外装色とのマッチングも絶妙なパティーナブラウンのシート

高速走行に向く乗り味

エンジンを始動して試乗だ。急激なトルクの盛り上がりもなくスマートに加速する。

デビュー当初よりもステアリング系がより緻密なセッティングになった印象で、ステアリング操作すべてが連続的でしっかりとしてなめらかだと感じる。

しかも確実に路面とコンタクトをとっている。フロントが軽くなったような印象だ。

コンフォート、スポーツ、スポーツ+とモードを変化させて走る。 タイトで路面状況が細かく変化する道路よりも、中速から高速のドライビングを楽しむにもってこいなセッティングである。

この色とこのインテリアで、必死になってドライビングするのはナンセンスといえる。

今後もレクサスのセッティングを探す道は続くはずである。

そして基本を充実させた、新しいLCの乗り味に早く出合いたいものである。

レクサス LC ▲運動性能の高いクーペだが、ゆったりと走らせたくなる雰囲気をまとっている
文/松本英雄、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
●LS 500h

型式 6AA-GVF50 最小回転半径 5.6m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 5.24m×1.9m×1.45m
ドア数 4 ホイールベース 3.13m
ミッション CVT 前トレッド/後トレッド 1.63m/1.64m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 2.15m×1.62m×1.16m
4WS 車両重量 2210kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2485kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

ソニッククォーツ、ソニックシルバー、ソニックチタニウム、ブラック、グラファイトブラックガラスフレーク、レッドマイカクリスタルシャイン、ソニックアゲート、スリークエクリュメタリック、ディープブルーマイカ

オプション色

マンガンラスター

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エンジン型式 8GR-FXS
種類 V型6気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 3456cc
最高出力 299ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
356(36.3)/5100
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 82リットル
燃費(JC08モード) 15.8km/L
燃費(WLTCモード) 13.6km/L
└市街地:10.4km/L
└郊外: 13.8km/L
└高速: 15.5km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準 +30%達成車
エンジン型式 8GR-FXS 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
種類 V型6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 - 燃料タンク容量 82リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 15.8km/L
総排気量 3456cc 燃費(WLTCモード) 13.6km/L
└市街地:10.4km/L
└郊外:13.8km/L
└高速:15.5km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準
+30%達成車
最高出力 299ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
356(36.3)/5100
エンジン型式 8GR-FXS
種類 V型6気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 3456cc
最高出力 299ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
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環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 82リットル
燃費(JC08モード) 15.8km/L
燃費(WLTCモード) 13.6km/L
└市街地:10.4km/L
└郊外: 13.8km/L
└高速: 15.5km/L
燃費基準達成 R02年度燃費基準 +30%達成車


●LC 500 パティーナ エレガンス

型式 DBA-URZ100 最小回転半径 5.4m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.77m×1.92m×1.35m
ドア数 2 ホイールベース 2.87m
ミッション 10AT 前トレッド/後トレッド 1.63m/1.64m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.87m×1.55m×1.08m
4WS - 車両重量 1940kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 4名 車両総重量 2160kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

ソニックチタニウム、グラファイトブラックガラスフレーク、テレーンカーキマイカメタリック

オプション色

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※国内100台限定販売
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型式 DBA-URZ100
駆動方式 FR
ドア数 2
ミッション 10AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ソニックチタニウム、グラファイトブラックガラスフレーク、テレーンカーキマイカメタリック
オプション色 -
シート列数 2
乗車定員 4名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.77m×1.92m×1.35m
ホイール
ベース
2.87m
前トレッド/
後トレッド
1.63m/1.64m
室内(全長×全幅×全高) 1.87m×1.55m×1.08m
車両重量 1940kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2160kg
最低地上高 0.14m
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エンジン型式 2UR-GSE 環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
種類 V型8気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 - 燃料タンク容量 82リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 7.8km/L
総排気量 4968cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 477ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
540(55.1)/4800
エンジン型式 2UR-GSE
種類 V型8気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 4968cc
最高出力 477ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
540(55.1)/4800
環境対策エンジン H17年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 82リットル
燃費(JC08モード) 7.8km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。