1年後、「大穴チョイス」として本誌を席巻するか!?

  • ダッジ JC SXT 走り|ニューモデル試乗
  • ダッジ JC SXT インパネ|ニューモデル試乗
↑走りは非常に素直で、欧州車的。ボディは見切りが良く、実際の寸法より小さく感じる(左)とにかくプレーンなデザインのインパネ回り。プラスチックの質感はごく一般的なレベル。ある意味無国籍な空間である(右)
個人的には輸入車を志向していたとしても、諸事情により3列シートを絶対的に必要とする人も多いもの。そういった場合、これまでは「(1)輸入車はあきらめて、大人しくエルグランドか何かを買う」「(2)VWゴルフトゥーランとかC4ピカソとかを買う」「(3)ボイジャーとかアストロとか、そういったアメ車を買う」ぐらいしか、輸入車愛好家的選択肢はなかった。その中で(3)を積極的に選ぶアメ車愛好家はいいとして、どちらかといえばヨーロッパ車を好むファミリーマン的には、選択肢が非常に少ないという状況はやや寂しかったかもしれない。

そんな人にとっての新しい選択肢となりえるのが、このダッジ JC SXT。3列シートに対応するパッケージに、マッチョなれど背が低めのSUV風ルックスを組み合わせたクロスオーバーモデルである。

オフロードもゴリゴリ行けそうな見た目だが、実は4WDではなくFFで、搭載エンジンは2.7LのV6。サイズ的には本邦の売れ筋ミニバンであるエルグランドやアルファードに近いが、この手の車としては低い全高(1720mm)ゆえ、パッと見はもっと小さな印象を受ける。

運転してみても、ボディの見切りが良いため、実際の寸法よりは小さく感じることだろう。そしてその走りは非常に素直なもので、ふた昔前のアメ車に共通するドンブラコな感じは皆無。路面のインフォメーションを確実に感じながら、ごくフツーレベルの高速巡航を鼻歌まじりで楽しむことができるはずだ。

アメリカンな外観に日本車的な細やかさと欧州車的な走りを備える

  • ダッジ JC SXT シート|ニューモデル試乗
  • ダッジ JC SXT サイドモニター|ニューモデル試乗
↑日本仕様は撥水効果の高いYesエッセンシャルシートが標準装備となる(左)サイドモニターはこの位置。ドアミラーと同時に見られるのでけっこう便利!(右)
3列シート車のキモである「使い勝手」も悪くはない。2列目は約120mmのスライドが可能で、クッションが跳ね上がって前方へスライドする「チルト&スライド」や、330ml缶を12本収容できる「フリップ&ストウ」など、らしい装備も必要にして十分。

正直、必要以上に使い勝手がいい日本製ミニバンや、(ミニバンとしては)圧倒的な高速安定性を誇るVWゴルフトゥーランなどを本気で脅かす存在に、この車がなるとは考えにくい。しかし、いかにもアメリカンなルックスの中に実は日本車的な細やかさを忍ばせ、そして欧州車的といって良い素直な走りにも好感がもてるこの車は、ある意味「裏チョイス」として注目する価値はある。

比較的良好なブランドイメージも合わせて考えると、もしかすると1〜2年後、中古車マーケットの「大穴」になる可能性はありそうだ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード SXT
駆動方式 2WD
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4895×1880×1720
ホイールベース(mm) 2890
車両重量(kg) 1830
乗車定員(人) 7
エンジン種類 V6DOHC
総排気量(cc) 2735
最高出力[ps/rpm] 185ps/5500rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 26.1kg-m/4000rpm
10・15モード燃費(km/L) 8.3
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/77
車両本体価格 362.25万円
(Tester/谷津正行(インポートカーセンサーデスク) Photo/桜井隆幸)