CLIO▲フルモデルチェンジし5世代目として登場。ゆとりのあるエンジンパワーに、正統進化した装備はまさにハッチバック界の優等生

地味に見えてじつは下克上キャラ、新型ルーテシアという革命児

ユーロNCAPで側面衝突や歩行者保護が厳格化されて以来、フルモデルチェンジで代替わりするたび、とくに欧州車がサイズ的にどんどんデカくなるのは、ここ十数年のトレンドだった。

気づいてみればパワートレインのダウンサイジングと反比例して、あらゆるセグメントがひと回り大きくなっていった。20年前のひとつ上位クラス並みのサイズになったとき、「ウチってゴルフの後釜狙えるんじゃないの?」的な発想があったかどうかは知らないが、ゴルフという不動の欧州市場ベストセラーを、しばしば月間王座から引きずり降ろす販売台数を記録しているのが、新型ルーテシアだ。

余談ながらフランス本国で、そのルーテシアを時に上回るほど販売が好調なのが、先に日本のインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したプジョー 208だったりする。

つまり欧州Bセグ・ハッチバックは、フランス車伝統の得意種目。日本車も今年は同セグメントでトヨタ ヤリスとホンダ フィットが気を吐いたが、スモールカーのベンチマーク相手は現行のひとつアッパーセグメントで、だからこそ次世代のひとつアンダークラスが底上げされる。そんな下克上というか革命が進歩史観によってジャスティファイされる感覚が、フレンチスモールのすごみでもある。

第5世代ルーテシアはプラットフォームこそ一新されたが、先代で打ち立てた方向性をブラッシュアップ。走り出すと車重1200㎏とは到底思えない重厚な包まれ感で、乗り手を圧倒する。
 

CLIO▲先代と比べ、約50kg軽量化され剛性が向上した新設計のCMF-Bプラットフォームを採用。静寂性や安全性が向上しただけでなく、しなやかな乗り心地とより正確なハンドリングを実現
CLIO▲Cシェイプが取り入れられたリアライトは車両側面まで大きく広がり、鋭くワイドな印象を与える
CLIO▲ダンパーやスプリング、ブレーキ等の設定を見直すことで、カーブでの安定性やブレーキングの応答性などがバランス良く向上した

搭載されるエンジンは、本国でメガーヌが先行的に積んだ1.3LターボのTCe130という131ps、240Nmのガソリンエンジン。出足の初速でがっつりトルクがあって、3000rpm手前でもうひと山伸びる。ドッカンターボと感じさせないふたつのピークの繋ぎと全域でのトルクフルぶり、それでいて控え目キャラというパワートレインだ。加えて、スムーズでダイレクトなマナーの7速EDCも名脇役レベルにある。

主役はやはり足回り。大昔のフレンチ的なたっぷりこってりのロール感とは異なり、無駄なロールは抑えつつも、速度域が高まるにつれてしなやかさが増す、今ドキのフレンチ足だ。そこに加え、ボディの剛性感と相まって、四隅のタイヤから吸い上げられ手元や腰に伝わってくる情報量がすごい。

ステアリングフィールはクイックではないし、ノーマルからスポーツモードにしても味変・キャラ変化というほど明確な違いは得にくいが、ニュートラルでありながらしっとりした落ち着きと正確さが持続する。

ADASもレベル2として積極制御といえるタイプで、レーンセンタリング機能で中央にとどまろうと細かに修正舵を入れてくる。都心のバイパス路程度では煩雑と感じるが、郊外の高速巡航中のバックグラウンド使いでは頼もしい。

いわば車格からは想像つかないほど、分厚く奥行きある動的質感を漂わせる新型ルーテシアだが、内外装の静的質感にも秀でたものがある。

外観で先代との大きな違いはフロントグリルの柄と形状、さらにC型でLEDが一体型となった前後ライト回りだが、シンプルすぎない面構成と合わせ目のバランスもいい。さらにいいのは内装の質感で、ドイツ車的なみっちりキチキチを目指したというより、目や手に触れる部分が厚く柔らかな素材で覆われている。ボリューム感ある快適なシートなど、Bセグ離れした調度を誇る。

後席の足元も先代より僅かに広い。普段使いできるトランク容量も391Lを確保しつつ、荷室フロアに張り出しはない。
 

CLIO▲手の届きやすいよう高い位置に設置されたセンターコンソールや、エアバッグを小型化し前方の視認性を向上させるなど、ドライバーを最優先した設計になっている
CLIO▲上位グレードのインテンステックパックではブラックレザーシートが装備され、インテリアはブラック、ライトグレー、ライトグレー・レッドインサートの3色から選択可能
CLIO▲フロントシートの形状を見直しヘッドレストを薄型化することで、後席からの視認性と膝まわりの広さを向上
CLIO▲ラゲージは使いやすいよう限りなく立方体になるよう設計され、後席を倒すことでフルフラットになるよう工夫されている

俊敏で軽快さの際立つプジョー 208とはまた別の、しかし存在感ある優等生キャラが、新型ルーテシアといえる。ほとんどのグレードが200万円台に収まる点も好感がもてる。

欧州の質実剛健なスモールカーという、使い古された言葉のようで、SUVブームにあっても変わらぬ需要のど真ん中を射貫いている1台だけに要注目だ。
 

CLIO▲エンジン内部のシリンダーに特殊なコーティングを施し、より高圧力で燃料を噴射することで燃料効率を改良するなど、燃費向上のための技術が詰め込まれている
文/南陽一浩、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●インテンス テックパック

型式 7BA-BJAH5H 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.08m×1.73m×1.47m
ドア数 5 ホイールベース 2.59m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.51m/1.5m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1200kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

ブラングラシエ

オプション色

ルージュフラムメタリック、オランジュバレンシアメタリック、ブルーセラドンメタリック、ブルーアイロンメタリック、ノワールエトワールメタリック

掲載コメント

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型式 7BA-BJAH5H
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブラングラシエ
オプション色 ルージュフラムメタリック、オランジュバレンシアメタリック、ブルーセラドンメタリック、ブルーアイロンメタリック、ノワールエトワールメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.08m×1.73m×1.47m
ホイール
ベース
2.59m
前トレッド/
後トレッド
1.51m/1.5m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1200kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 H5H 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 42リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1333cc 燃費(WLTCモード) 17km/L
└市街地:12.7km/L
└郊外:17.2km/L
└高速:19.8km/L
燃費基準達成 -
最高出力 131ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
240(24.5)/1600
エンジン型式 H5H
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1333cc
最高出力 131ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
240(24.5)/1600
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 42リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 17km/L
└市街地:12.7km/L
└郊外: 17.2km/L
└高速: 19.8km/L
燃費基準達成 -