BMW 3シリーズ グランツーリスモ|海外試乗

日常を豊かにする車としては良さそうだけれど、「ツーリングじゃいけないの?」という感はいなめないところ。どんな人がうまくハマるのか…。少なくともコレをカッコ良く乗りこなしてたら、ものすごく素敵だとは思う

ユーザーのセンスが問われるBMWの新カテゴリー

わかりやすい車ではない

率直に言って、わかりやすい車ではない。3シリーズを名乗ってはいるが、全長はツーリングより200mmも長く、全高だって81mm高い。室内に乗り込めば着座位置は高くなっているし、後席も5シリーズかと思わせるほど広々。そして荷室も、通常時で容量520Lと何とツーリングよりも大きいのだ。

一方で、5シリーズGTは後席の背後にセパレーションボードが組み込まれていたり、リアゲートも凝った仕組みになっていたが、その辺りはごく当たり前のかたちに。端的に言って、後席と荷室がドーンと広くなっているのである。

体躯に似合わずスポーティ

走りっぷりは、体躯に似合わずスポーティ。ホイールベースが長い分、操舵してから車体の向きが変わるまでの間がわずかに長いのも事実ではあるが、まずまず気持ち良く走れる。Mスポーツよりもノーマルのほうが、ロングホイールベースのメリットが生きた快適さが味わえた。

5シリーズGTが大成功を収めているわけではないのに、なぜ3シリーズにまでそれを展開するのか。狙うは快適性や積載性を重視しつつもスタイリッシュさも両立させたいと願う層だというが、果たしてこのスタイリングは彼らにアピールできるだろうか? おそらく響くのは、車単体でのスタイルだけでなく、ライフスタイルまで重視した、SUVなどにも興味を持っている層ではないだろうか?

だとすると日本上陸予定の仕様にディーゼルが含まれていないのは疑問。ディーゼル+xDriveなんてモデルがあれば、新たな魅力をアピールできるのでは?

ベーシックモデルに加え、3つのデザインラインとMスポーツパッケージも用意される。BMW初のアクティブ・リアスポイラーが備わる

ベーシックモデルに加え、3つのデザインラインとMスポーツパッケージも用意される。BMW初のアクティブ・リアスポイラーが備わる

運転席回りは他の3シリーズと同様。後席足元空間は70mm拡大され上位モデル並みの広さに

運転席回りは他の3シリーズと同様。後席足元空間は70mm拡大され上位モデル並みの広さに

大型のテールゲートは自動開閉式。分割可倒式リアシートを採用しラゲージ容量は最大1600L

大型のテールゲートは自動開閉式。分割可倒式リアシートを採用しラゲージ容量は最大1600L

SPECIFICATIONS

グレード 320d
駆動方式 FR
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 4824×1828×1508
ホイールベース(mm) 2920
車両重量(kg) 1565
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1995
最高出力[ps/rpm] 184/4000
最大トルク[N・m/rpm] 380/1750-2750
Tester/島下泰久 Photo/ビー・エム・ダブリュー