“大きなゴルフ”は今度こそ日本に定着するか?

  • フォルクスワーゲン シャラン 走り|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン シャラン インパネ|ニューモデル試乗
↑両側スライドドアを標準採用。スクエアな形状ながら空力特性は良く、CD値0.299を実現している(左)色気はないが機能性の高いインパネ。基本レイアウトはほかのVWモデルとだいたい同じ(右)
日産エルグランドのフルモデルチェンジと時期をほぼ同じくして、欧州でも業界ナンバーワンのビッグミニバンがフルモデルチェンジした。

その名もフォルクスワーゲンシャラン。13年前、日本にも入っていたからその名をご存 じの方も多いだろう。導入予定は来年。今回は初代モデルと比べ、本当に日本市場に根付くか?が最大の注目点だ。

サイズは全長4854×全幅1904×1720mm。旧型比で全長22cm、全幅9cmも大きくなっており、肝心の新型エルグランドと比べると全長こそ短いが、横幅はエルグランドより広い。ここのところが最初の問題点だが、乗ったフィーリングそのものは全く問題ない。四隅はわかりやすく、ブカブカ感もない。

さらなるポイントはエンジンだろう。日本に導入されるメインモデルは、直噴1.4L直4ツインチャージャー。ピークパワーは150 psとそれなりで、 ほかに200psの直噴2Lターボもあるが、おそらくこちらはメイングレードにはならない。なぜならば今、欧州車の最大関心事はCO2の削減であり、その主たる手法はエンジンのダウンサイジングにあるからだ。
  • フォルクスワーゲン シャラン 2列目&3列目シート|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン シャラン エンジン|ニューモデル試乗
↑3.7人乗りの後席はすべて独立式。2列目は前後スライド&最大20度のリクライニングができる(左) ガソリンエンジンは150psの1.4LTSIと200psを発揮する2LTSIの2機種(右)

存在感たっぷり、魅力は使い勝手?

乗った感じだが、正直、パワー不足は否めない。シャラン用1.4Lツインチャージャーはゴルフ用と同じだが、最高出力を下げる代わりに、最大トルクを24.5kg-mに引き上げ、出足のパワーを補っている。とはいえ一方のエルグランドはメインエンジンが3.5LV6で、ピークパワー280psでピークトルク35.1kg-mと強大。このイメージで来るとつらいだろう。

それより一番の問題は見た目の存在感かもしれない。シャランはズバリ、ゴルフトゥーランの兄貴分で、ぶっちゃけ“大きなゴルフ”。上品かつシンプルなデザインで、ゴージャス&マッチョなエルグランドとは真逆。

もちろんシャランの真の魅力は使い勝手で、ラゲージが最低300Lもあるうえ、3列目を倒し、屋根まで使うと988Lまで広がり、さらに2列目も倒すと2430Lにまで広がる。そのうえ、オプションでスライドドアやテールゲートに電動開閉も付く。ある種の日本的装備まで備えているわけで、問題は「ゴージャス&豪快」対「シンプル&便利」の路線の違いなのだ。

値段はがんばって「400万円前後スタート」とVWジャパンはいう。果たして大きなゴルフは日本に定着するのか?

来年が楽しみである。

SPECIFICATIONS

 
主要諸元のグレード 1.4TSI ブルーモーション(欧州仕様)
全長×全幅×全高(mm) 4854×1904×1720
車両重量(kg) 1648
エンジン種類直4DOHC+ターボ+スーパーチャージャー
総排気量(cc) 1400
最高出力[ps/rpm] 150ps/5800rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 24.5kg-m/1750~4000rpm
車両本体価格 未定
Tester/小沢コージ Photo/フォルクスワーゲングループジャパン