アウディ、e-tron quattro conceptをフランクフルトモーターショーで発表
カテゴリー: アウディの新型車
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2015/09/24
● 日常ユースを完全に満たす500km超の航続距離
● エアロダイナミクスとクリエイティブなデザイン性を両立したスタイリング
アウディは、フランクフルト国際モーターショー(IAA)で、Audi e-tron quattro conceptを発表します。この電気自動車は、最大370kWのパワフルなe tron quattroドライブシステムと、空気抵抗係数(Cd値)0.25を達成する、流れるようなデザインを特徴としています。スポーティで、エネルギー効率に優れ、日常的な使用条件も完全に満たしたこのコンセプトカーは、アウディの考えるエレクトリックモビリティの未来を示すものです。
「アウディは2018年の初頭に、ラグジュアリークラスにおいて電気自動車のスポーツSUVを市場に導入する予定です。Audi e-tron quattro conceptは、そのモデルを明確に予告するものです」と、AUDI AG技術開発担当取締役のDr. Prof. ウルリッヒ ハッケンベルクは述べています。「このクルマは、運転する歓びと長い航続距離、訴求力のあるデザイン、卓越した快適性を兼ね備えています。」
Audi e-tron quattro conceptは、3つの電気モーターを搭載しています。そのうちひとつのモーターが前輪を駆動し、残り2つのモーターが後輪を駆動します。パワーの合計は320kWです。短時間であればパワーブーストにより370kWの出力と800Nm(590.0 lb-ft)を超えるトルクが提供され、スポーツカーに匹敵する動力性能が発揮されます。ドライバーがアクセルペダルを床まで踏み込めば、Audi e-tron quattro conceptは0-100kmを4.6秒で加速し、きわめて短時間のうちに電子的に制限された210km/hの最高速度に達します。
アウディが研究を重ねてきたe-tron quattroのテクノロジーが、この3つのモーターを用いたコンセプトモデルにより初めて具現されることになりました。インテリジェントな駆動管理システムにより、走行状況にあわせて3つのモーターが適切に制御されます。ここでも主要な技術テーマは、エネルギー効率の最大化です。Audi e-tron quattro conceptは、ドライバーがエネルギー回生のレベル、「S」または「D」走行プログラム、アウディドライブセレクトのモードを任意で選択できるようになっています。
ワインディングロードをスポーティに駆け抜けるといった状況では、トルクコントロールマネージャーが、必要に応じてリヤ左右輪の駆動力の配分をアクティブに制御します。このトルクベクタリングの機能により、最良のダイナミクスと走行安定性が提供されます。
Audi e-tron quattro conceptの室内の床下には、大容量のリチウムイオンバッテリーが搭載されています。このレイアウトにより、前後アクスル間の重量バランスが最適化され、クルマの重心も下がり、優れたハンドリングを実現するための前提条件が整います。95kWhのバッテリー容量により、500kmを優に超える航続距離を確保しています。コンバインドチャージングシステム(CCS)の採用により、直流、交流、どちらでの充電にも対応しています。出力150kWの直流急速充電プラグを車両のポートに接続すれば、約50分でバッテリーをフル充電することができます。また、アウディワイヤレスチャージングテクノロジーにより、非接触充電も可能になっています。充電プロセスは非常に簡単で、搭載される自動パーキングシステムを使用すれば、充電用プレート上の最適な位置にクルマが自動的に導かれます。さらに、晴れていれば大型ソーラールーフからもバッテリーに電力が補給されます。
このコンセプトモデルは、シャシーも革新的な設計になっています。可変ダンパー機構を備えたアダプティブエアサスペンション スポーツにより、高速では空気抵抗を減らすために自動的に車高が下がる仕組みになっています。また、ダイナミックオールホイールステアリングは、前輪用のダイナミックステアリングシステムと、後輪用に特別に追加されたステアリング機構を融合したシステムで、走行スピードや走行状況に応じて、後輪を前輪と同じもしくは逆の方向に操舵します。それにより、より素早く安定したステアリングレスポンスを得るとともに、低速におけるクルマの取り回しを改善します。
アウディのデザインチームはAudi e-tron quattro conceptにおいて、空力面での高い要求を満たしながら、電気駆動システムのための様々なコンポーネントを巧みに収納して、魅力的なスタイリングを生み出すことに成功しています。5ドアのボディは、全長4.88m、全幅1.93mに対し全高は1.54mと低めに設定されています。クーペのようなそのシルエットは、グリーンハウスが極めて低くフラットなデザインになっており、それがリヤに行くほど絞り込まれ、ダイナミックな外観が生み出されています。ボディの空気抵抗係数(Cd値)はわずか0.25で、通常0.30を大きく超えるケースが多いSUVとしては、かつてない優れた値を実現しています。
この低い空気抵抗も、500kmを超える長い航続距離に大きく貢献しています。速度が80km/hを超えると、ボンネット、ボディサイド、およびリヤエンドに設置された電動エアロパーツが作動して、ボディ周囲のエアフローを整えます。これは、風洞トンネルを使った入念な研究開発の成果であり、室内に伝わるウインドノイズのレベルも低くなっています。電気自動車のため、エンジンノイズも発生しません。絶対的な静粛性の高さというEVのアドバンテージがフルに発揮されています。
サイドパネルの垂直分離エッジと、ボディ底面を完全に覆う新開発のマイクロストラクチャーのアンダーボディパネルも、空気抵抗の削減に貢献しています。また、このコンセプトカーでは、サイドミラーの代わりにカメラが採用されていますが、この設計も空気抵抗を減らすとともに、未来的な運転感覚を実現する要素のひとつになっています。
フロントの主要なライトのすべてには、マトリックスレーザーテクノロジーが採用されています。ライトユニットのいちばん低い場所には、5つのライトエレメントが搭載され、斬新な光のシグネチャーを生み出しています。そのライトエレメントのそれぞれに、LED発光体ときわめて薄いOLED(オーガニック発光ダイオード)のエレメントが組み合わされています。アウディは、市販モデルへの搭載を前提に、マトリックスOLEDのテクノロジーを開発してきましたが、今回それをコンセプトモデルに初めて搭載してIAAで公開します。
リヤコンビネーションライトも2分割されたデザインになっています。それぞれの一番高いところに9つの赤いOLEDユニットが搭載され、その下方に設置された3つのOLEDユニットとともに、テールライトの機能を果たしています。
Audi e-tron quattro conceptは、卓越したパッケージングにより、4人の乗員用の広くて快適な室内空間と615ℓのラゲッジ容量を確保しています。室内は明るく開放感に溢れ、その基本デザインは、コンセプトモデルの新しい操作/ディスプレイ コンセプトと見事に調和しています。車内にあるすべてのディスプレイには、OLEDのテクノロジーが採用されています。その非常に薄いフィルムは、どのような形にもカットすることが可能です。
湾曲したOLEDを用いた新しいアウディバーチャルコクピットは、2014年に実用化されたアウディバーチャルコクピットをさらに進化させたものです。フルデジタルのメータークラスターの左右下側には、黒いガラスと細いアルミフレームを備えた2つのタッチスクリーンが設置されています。左側のディスプレイは、ライトおよび自動運転システムを制御するためのものです。右側の大きなディスプレイでは、メディアおよびナビゲーションシステムを操作することができます。同様の操作はステアリングホイールでも行うことができ、スポーク部分にそのためのタッチパッドが設置されています。
センターコンソールのセレクターレバー下側には、さらに2つのOLEDディスプレイが設置され、そこではドライブシステムの状況を確認したり、空調を制御したり、インフォメーション機能のプログラムを行うことができます。また、ドアの前方に設置された曲面ディスプレイは、デジタル サイドミラーとしての役割を果たします。
リヤには、2座の快適な独立式シートが装備されます。後席乗員は、センターコンソールに設置されたOLEDディスプレイを使って、後席用のエアコンディショナーおよびインフォテイメントシステムの操作をしたり、ドライバーとデータのやり取りをしたりできます。また、インターネット接続のためにLTEモジュールも搭載されています。Audi e-tron quattro conceptは、コネクティビリティの面でも最先端の技術を誇っています。
Audi e-tron quattro conceptには、自動運転のためにアウディによって開発されたあらゆるテクノロジー(レーダーセンサー、ビデオカメラ、超音波センサー、レーザースキャナー)が搭載されています。それらにより提供されるデータは、ラゲッジコンパートメントに設置されたセントラル ドライバーアシスタンス コントローラー(zFAS)に集められます。zFASでは、集められたデータからクルマの周囲の状況が演算され、その情報が車載のすべてのアシスタンスおよび自動運転システムのあいだでリアルタイムに共有されます。こうしたテクノロジーが市販車に搭載されるタイミングは、間近に迫っているといえるでしょう。
*本リリースは、アウディ本社配信リリースの翻訳版です。