【新型】BMW X5|プレミアムSUVの先駆者が4代目へと進化
2019/09/26
BMWのLサイズSUV(BMWではSAV=スポーツアクティビティビークルと呼んでいます)、X5がフルモデルチェンジ。2019年2月、日本でも発売が開始されました。
現在、クロスオーバーSUVは世界中で需要が高まり各社が様々なタイプをリリースしています。
このブームは1997年に登場したトヨタハリアーから始まりました。その後、2000年にBMWがX5、2002年にポルシェがカイエンを登場させたことでブームが加速します。
BMWは、X3、X1、さらにX6、X4と、様々なタイプのSUVを発売します。その中で、X5は常にBMW SAVシリーズのイメージリーダーとして君臨し続けています。
現在はX7というX5よりさらに全長が長いSUVも登場。しかしX5が王者であることは変わらないでしょう。
【グレード】エンジンは1種類。スタンダードとMスポーツの2展開
4代目となる新型X5は、まず3L直6ディーゼルターボを搭載するxドライブ 35dを導入。グレードはスタンダードモデルと、Mスポーツの2種類が用意されています。
MスポーツにはXモデルとして初となる、四輪アダプティブエアサスペンションが採用されました。
四輪アダプティブエアサスペンションは、各ホイールに設置されたセンサーで常に路面状況や荷重をモニタリング。必要に応じてホイールごとに高さ調整を自動で行います。
高さ調整は手動で行うことも可能で、重量物を乗せるとき、路面状況が悪いときなど、状況やドライバーの好みに応じて設定を変更することができます。
駆動方式はどちらも4WDとなります。
▼BMW X5の価格・グレード表(消費税8%税込)
【エクステリア】ついに全幅が2mオーバーに
威風堂々とした、圧倒的な存在感。
X5は2000年に登場した初代から、この言葉が似合うスタイルを貫いています。
デザインは、ある意味初代からキープコンセプトと言えるかもしれません。
新型X5は、先代に比べてホイールベースが40mm、全長が25mm、全幅が65mm、全高が10mm拡大されています。
とくに目を引くのは全幅で、2005mmとついに2mの大台を超えました。もともとこのクラスのSUVは幅がワイドなので乗り慣れた人は「ふーん」という感じでしょうが、初めて選ぶ人は一瞬ちゅうちょするかもしれません。
BMWのXシリーズにはクーペルックのX6がラインナップされます。ではX5は実用最優先のデザインなのかというとそうではなく、随所に走りを予見させるスポーティさが盛り込まれています。
新世代BMWの哲学でデザインされたフロントフェイスは、一体型フレームで縁取られたデザインの大型キドニーグリルの迫力が印象的。フロントライトは薄型のツインヘッドライトに。
大柄なボディに巨大なパーツが配置されると迫力は増しますがどこか重たい印象も与えがちです。が、X5はむしろ俊敏でアグレッシブな雰囲気を醸し出しています。
そして、Mスポーツはグリル下とサイドに配置された大きなエアインテークによりスポーティな雰囲気を強調。ホイールは20インチのアルイホイールが標準装備になります。
【インテリア】最先端のオペレーティングシステムを搭載
新型X5のインテリアは、ラグジュアリーな中にも、エクステリアデザインで感じるアグレッシブな雰囲気が盛り込まれています。
インパネはBMWらしい、直線基調のシンプルなデザインに。
メーターをはじめとするHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)には、BMWの新しい表示・操作システム「BMWオペレーティングシステム7.0」が導入されています。
これはドライバーに必要な情報を適切なタイミングで伝えることをコンセプトにしたシステムで、ステアリング奥には12.3インチのフルデジタルメーターを配置。そしてインパネ中央には10.25インチのコントロールディスプレイが置かれています。
これらはドライバーの方に向けて配置されており、ラグジュアリーモデルでもドライバーが「コックピットに座る」という感覚をもてるようにデザインしてあります。
操作はステアリングのスイッチ、センターコンソールのiDriveコントローラー、タッチパネルディスプレイに加え、音声コントロールやジェスチャーコントロールもできるように。
運転中は視線をそらしてボタンなどを押すのが難しいシーンもあります。また、ダイヤル操作やボタン操作などは人によって好みも異なります。
BMWはどんな場面でもドライバーが車に合わせるのではなく、車がドライバーに合わせ、様々な操作方法を提供するという発想でHMIを構築しているのです。
運転席と助手席はドライバーを包み込むような大きなシートで、サポート性も抜群。シートヒーターはスタンダードが前席、Mスポーツは前後席に装備されます。
【運転支援システム】高性能3眼カメラでモニタリング
新型X5には、最先端の運転支援システムが惜しみなく搭載されました。
1秒で2兆5000億回の演算能力をもつ画像処理プロセッサーと高性能3眼カメラを搭載し、正確かつ迅速な危険予測を実行。
そしてこのデータを基にアクティブクルーズコントロール、レーンチェンジウォーニング(車線変更警告システム)とレーンディパーチャーウォーニング(車線逸脱警告システム)、ステアリング&レーンコントロールアシスト、サイドコリジョンプロテクションおよび衝突回避・被害軽減ブレーキ、クロストラフィックウォーニングが機能します。
さらに駐車スペースを自動測定し、部分的または完全自動で駐車動作を行うパーキングアシストシステムを搭載。
また、35km/h以下で走行中に直近50mのドライブルートを自動的に記録し、必要なときは記録したドライブルートに沿ってステアリングを自動操作しながらバックできるリバースアシストを搭載。
例えば、裏道を走っていて「これ以上先には進めない」というシーンに直面したときにバックするのは怖いもの。X5のような大柄なボディならなおさらです。
リバースアシストを作動させれば、進んできたのと同じコースを下がってくれるので、ドライバーの負担は劇的に軽減されます。
【価格】内容を考えるとお得な設定に
新型X5と先代X5の最終モデル(2018年1月~)の価格を比較すると、スタンダードモデルは先代が919万円で新型は920万円。Mスポーツは先代が983万円で新型が999万円です。
ボディサイズが大きくなり、先進機能もふんだんに盛り込まれたことを考えると、新型はかなりお得な価格設定と言えるのではないでしょうか。
なお、ドライビングダイナミクスパッケージは30万円、コンフォートパッケージは42万9000円になります。
※いずれも消費税8%
【エンジン・燃費】ラグジュアリーな乗り味の中にBMWらしさが盛り込まれた
新型X5のWLTC燃費は、どちらも11.7km/Lになります。
プレミアムSUVユーザーが求める、余裕ある走りとラグジュアリーな乗り味。
X5は初代からそれを追求し、2代目/3代目でラグジュアリー性を深化させ、4代目となる新型X5でひとつの到達点を迎えた。そんな雰囲気を感じました。
最高出力195kW(265ps)、最大トルク620N・m(63.2kg-m)を発生する3L直6ディーゼルターボはアクセルを踏み込むと、約2200kgもある重量級の車体をスムーズに走らせてくれます。
最大トルクは2000~2500rpmという低い回転数に設定されているので、加速の初期段階から圧倒的な力強さを感じさせてくれるのです。
でもそれは目尻に力を入れ、気持ちを熱くさせてという類のものではなく、むしろ肩の力を抜いて大人の余裕をもってスーッと加速していく雰囲気でした。
SUVというカテゴリーには「こうあるべき」という絶対的な決まりは少なく、各メーカーが車種ごとに独自の解釈を盛り込んでいます。
例えば、スポーツ性を高めたモデルだと、SUVでも切れ味のいい走りを楽しめるが、一方でロングドライブをしたときに思ったよりも疲れていたなんてこともあります。
X5が追求しているのは、初代から一貫して「プレミアムSUVらしい、上質な乗り味」です。
でもそこはBMW。駆け抜ける歓びを忘れるはずがありません。
例えば、高速道路をクルージングしているときも、剛性感のあるボディが安定感のある走りを提供してくれるので、乗員を含めて安心した気分で移動を楽しむことができます。
リゾートホテルやアウトドアフィールドに向かうまでのワインディングでは、“小気味よく”とはいかないものの、重さを感じさせずにスイスイとコーナーをクリア。
日常を優雅に、そして休日をアクティブに過ごしたい人にとって、新型X5は最高のクルーザーと言えるでしょう。
【中古車】しばらくは認定中古車の争奪戦が繰り広げられる!?
2019年9月現在、新型X5の中古車はカーセンサーに掲載されていません。
SUVという今最もホットなカテゴリーの人気モデルだけに、市場に中古車が流通し始めてもこまめにチェックしている人がすぐに見つけ、売れてしまうのが現状です。
現在、多くのディーラーにはX5の試乗車・展示車が用意されていて、筆者が確認したところすべてxドライブ35d Mスポーツでした。
これらは年末以降、ポツポツと中古車市場に出てくる可能性があるものの、最初は高年式低走行の認定中古車を狙っている人が争奪戦を繰り広げる可能性があります。
そこに参加する場合は、こまめにカーセンサーをチェックしてください。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
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