ホンダ ライフ▲絶対的なキャパシティよりも、軽トールワゴンとしての使い勝手や乗り味を追求して作れられたホンダ ライフ

ライフの中古車は今

普通の軽自動車よりもちょっと背を高くした“軽トールワゴン”。そのカテゴリーに、ホンダがいち早く投入したのが「ライフ」だ。

1997年に初代が登場し、2014年まで4世代にわたって生産された。使い勝手の良さはもちろん、ホンダらしい走りの良さは現在でも評価の高いモデルだ。初めて車を購入する人や、子育て中のパパママ世代にもぴったりの中古車だろう。

初代は現在の軽自動車よりもコンパクトな車格が特徴。だが、生産期間が極端に短かったため、希望の条件に合う物件を見つけるのは至難の業だ。最初からカスタマイズを前提として購入するのが得策だろう。

2代目は現在の軽規格と同じサイズとなり、運転席&助手席エアバッグが標準装備されるなど安全性能もアップした。総額20万円以下の激安物件もあるが、多走行車が多く100台程度と多くはない。

3代目は流通量もバリエーションも豊富。ターボ車も含めて、年式のわりに走行距離の少ない良質な物件が数多く揃っている。

そして、最終型となる4代目は現行軽トールワゴンの性能や装備内容に近く、今でも十分、実用的に使えるモデルと言える。

ここではライフのオススメの選び方や特徴、現在の中古車相場について解説していく。なお、1970年代に生産されたホンダの軽にもライフという車種があったが、系統としては全くの別車種であるため、この記事では1997年に登場したモデルを初代として扱う。
 

 

ライフ(初代)の特徴と中古車相場

■ライフ(初代)DATA
生産期間:1997年4月~1998年9月
中古車流通量:10台以下
中古車価格帯:20万~50万円
 

ホンダ ライフ ▲ワイド化される前の旧軽規格で作られた初代ライフ。当時のライバルに比べて全高が低めだ

■ライフ(初代)の特徴
スズキ ワゴンR、ダイハツ ムーヴの人気に影響を受け、ホンダ初の軽トールワゴンとして登場した初代ライフ。助手席よりも運転席のスペースを40mmも幅広くし、当時の軽自動車としては贅沢だったアームレストまで設けるなど、クラス以上のゆとりを感じるつくりとなっている。

グレードは「B」「G」「T」と3タイプあり、それぞれに3速ATと5速MTを設定。運転席SRSエアバッグを全車標準装備、ABSが全車にオプション設定された。
 

ホンダ ライフ ▲基本設計はホンダ トゥデイとほぼ共通。初代では4WDの設定はない

この初代、実は約1年半という短い期間しか生産されていない。というのもデビュー翌年に軽自動車の規格変更があり、それに合わせてサイズアップすることが当初から予定されていたためだ。そのため生産期間中の変更は一切なく、デビュー同年にキーレスエントリーなどを装備した特別仕様車「スーパーセレクト」を追加したのみとなっている。
 

ホンダ ライフ ▲初代のインパネはごくシンプルなもの。助手席よりも運転席の幅が広いアシンメトリーな設計だ

■ライフ(初代)の中古車相場
生産期間が極端に短いこと、最終モデルでも20年以上たっていることから中古車の流通台数も少なく、現時点ではわずか数台のみ。

この時代の軽自動車にしかないコンパクトなサイズ感は魅力だが、手に入れたいなら程度の良い物件が出るのを根気強く待つしかない。総額は30万~60万円が目安となる。
 

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ライフ(2代目)の特徴と中古車相場

■ライフ(2代目)DATA
生産期間:1998年10月~2003年8月
中古車流通量:約100台
中古車価格帯:10万~40万円
 

ホンダ ライフ ▲2代目では改正された軽規格いっぱいの全幅(1475mm)にサイズアップ。車内に大きなゆとりが生まれた

■ライフ(2代目)の特徴
軽自動車の規格変更に合わせて、初代からボディを大きくサイズアップ。車体の設計に余裕が生まれたことで、車内空間を広くし、衝突安全性能も高めたのが2代目ライフだ。

基本設計は初代をベースとしているが、エンジンにはトルクを20%も高めたE07型を搭載。3速ATはコラムシフトとなり、安全性能についても運転席&助手席エアバッグが標準装備となるなど、車の完成度は初代から大幅にアップしている。
 

ホンダ ライフ ▲ボクシーなフォルムが印象的な2代目のリアビュー。衝突安全性能も向上している

デビュー当初のグレードは初代と同じ「B」「G」「T」だったが、2000年に最上級の「T」が「L」に置き換えられた。同グレードにはオートエアコンやルーフレール、アルミホイールなどを装備。さらに、同年末にはターボエンジンを搭載した派生車種「ライフダンク」が追加されている。

2001年5月には初のマイナーチェンジが行われ、燃費が21km/Lから22.5km/Lへと向上(Gタイプ、10.15モードでの比較)。この変更でヘッドライトがレンズカットのないマルチリフレクター・タイプとなり、MD/CDデッキなどを搭載する特別仕様車「メヌエット」も加わっている。

2002年8月には2度目のマイナーチェンジが行われ、ヘッドライトをブルーコーティング化、シート生地の変更、ライフダンクへの新グレード追加などが実施されている。その後は特別仕様車の追加があるものの、装備内容は変更されていない。
 

ホンダ ライフ ▲初代に比べると丸味をおびた2代目のインパネ。ATをコラムシフトとすることで前席足元のスペースに余裕が生まれた

■ライフ(2代目)の中古車相場
流通台数は約100台と少なめだが、走行距離5万km前後の物件も存在している。予算50万円ほど見ておけば、比較的良好なコンディションのものを手に入れられるだろう。

NA(自然吸気エンジン)での狙い目は、2002年12月と2003年5月の2回にわたって設定され、キーレスエントリーやパワーウインドウ、電動格納式ドアミラーなどを装備した特別仕様車の「スーパートピック」シリーズ。モデル後期でも生産から17年以上たっているが、これだけ装備が充実していれば日常使いでの不便さはあまり感じないはずだ。

ターボモデルの「ライフダンク」は走りが力強いだけでなく、最上級モデルとして装備も充実しており、こちらもオススメだ。
 

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ライフ(3代目)の特徴と中古車相場

■ライフ(3代目)DATA
生産期間:2003年9月~2008年10月
中古車流通量:約900台
中古車価格帯:10万~60万円
 

ホンダ ライフ ▲スプーンのような形状のドアハンドルなど、かわいらしい意匠が採用された3代目

■ライフ(3代目)の特徴
滑らかでかわいらしいワンモーションフォルム(つながりをもたせた曲線調のシルエット)が、今見ても新鮮な3代目。先代やライバルよりも全高を低くし、しなやかさと機敏さを併せ持つ走りを実現した。見た目はかわいらしいトールワゴンだが、走りの良さでも定評があったモデルだ。

タイヤを四隅に配置し、フロアを低く設計しているため車内空間は広い。使い勝手も抜群で、特に座面を跳ね上げた状態でスライドできる「助手席チップアップ機構(Fタイプに採用)」は、車内の移動と積載性両方に貢献する秀逸な装備だった。

エンジンも刷新。全グレードでNAもしくはターボが選べるようになっている。また、トランスミッションは4速ATのみとなり、5速MTは廃止された。
 

ホンダ ライフ ▲エアロパーツを装備し精悍な顔つきが特徴のグレード「ディーバ」

デビュー当初のグレード体系は、シンプル装備でフロントセパレートシートの「C」、助手席チップアップ機構が装備される「F」、最上級でフロントベンチシートとなる「D」の3種類。全グレードとも、FFもしくはフルタイム4WDを選択できた。デビュー翌月にはターボ車が追加され、選択肢を大幅に増やしている。

翌年の2004年10月には「F」でもフロントベンチシートが選べるようになり、「D」ではフルオートエアコンが標準装備化された。

大きなマイナーチェンジは2回で、2005年10月の変更では全グレードで、サイドターンランプやハイマウント・ストップランプ、レベリング機構付きヘッドライトを標準装備。さらに、エアロパーツや専用フロントグリル、専用色14インチアルミホイールなどを装備したスポーツグレードの「ディーバ」もカタログモデルとなった。なお、前期モデルでは全グレードでNAかターボを選択できたが、この変更以降、ターボを選べるのは「F」と「ディーバ」のみとなった。

2006年10月の変更では、フロントバンパーやヘッドライト、リアコンビランプ、ドアハンドルなどのデザインを一新。デザイン変更に合わせて、フロントナンバープレートの位置が運転席側にオフセットされている。
 

ホンダ ライフ ▲リアのナンバープレートがテールゲートに配置されているのは3代目ライフの特徴

■ライフ(3代目)の中古車相場
3代目の流通台数は約900台。年式が古い軽自動車であることを考えると、まずまずの豊富さだ。最終年式のモデルだと走行距離5万~7万kmが最も物件数の多いゾーンになっており、まだまだ程度の良い物件が狙える。総額は高くても40万円ほどだ。

オススメは上級装備の「F」をベースに、スマートキーやフルオートエアコンなどを装備した特別仕様車の「ハッピースペシャル」(2007年11月に設定)。じっくり探せば、走行距離2万km程度の良物件が、総額40万円前後で手に入る。

アグレッシブな外観と走りが好みの人は、「ディーバターボ」(2005年10月以降にグレード設定、それ以前は特別仕様車)がぴったりだろう。

この他にも3代目ライフには数多くの特別仕様車が設定されたが、「トピック」や「ファインスペシャル」ではEBD付きABS+ブレーキアシストが省略されているので、安全性を重視したいという人は注意しよう。
 

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ライフ(4代目)の特徴と中古車相場

■ライフ(4代目)DATA
生産期間:2008年11月~2014年4月
中古車流通量:約1500台
中古車価格帯:10万~90万円
 

ホンダ ライフ ▲開放的な視界をもたらすグラスエリアの広さが印象的な4代目。運転席からの見切りの良さは抜群だ

■ライフ(4代目)の特徴
見晴らしが良くて運転しやすく、荷物をたっぷり積める。そんな軽トールワゴン本来の機能を突き詰めたのが4代目。全高は歴代ライフの中で最も高い1610mm(ルーフレール非装着車で比較)となり、頭上空間を稼ぐとともにウエストライン(窓枠下側の高さ)を低く設計。窓の面積を大きく取りながら、Aピラーをできるだけ細くする工夫によって、良好な視界が得られている。

全長、全幅は2代目、3代目とほぼ同じだが、4代目では後席のスペースを大幅に拡大し後席居住性が高められている。なお、4代目では全車で分割式フロントベンチシート&インパネシフトを採用。前後席とも広々した車内空間を味わえるのが魅力だ。

連続容量変化タイプの運転席用エアバッグを軽自動車としていち早く標準装備し、サイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグをメーカーオプション設定するなど、衝突時の安全性もバッチリ。さらに駐車時のハンドル操作をサポートしてくれるスマートパーキングアシストシステムがオプション設定(一部グレードのみ)されたのも、当時の軽自動車としては画期的だった。この時代には先進的な予防安全装備こそ登場していないものの、使い勝手の良さ、車内の広さ、衝突安全性などにおいては、現在の軽トールワゴンにも決して見劣りしない。
 

ホンダ ライフ ▲「ディーバ」に採用されたピアノブラックの内装はシックな印象

基本グレードはシンプル装備の「C」、実用的な装備の「G」、エアロパーツでスポーティさを演出した「ディーバ」、さらに専用バンパーなどで上質感のある外観とした「パステル」の4種。全グレードでFFもしくはフルタイム4WDが選べ、さらに「パステル」と「ディーバ」にはNAエンジンの他にターボエンジンも用意された。

デビュー翌年の2009年10月には電動パワーステアリングの設定を変更。「パステル」に直射日光を和らげるハーフシェイド・フロントウインドウを、「ディーバ」、「ディーバターボ」にはハーフシェイド・フロントウインドウやテールゲートスポイラー、マイクロアンテナを装着して装備内容を充実させた。

大きなマイナーチェンジは、2010年11月と2012年6月の2回。2010年11月以降の中期モデルでは「パステル」が廃止され、代わりに「G」をグレードアップ。フロントグリルを一新し、ヘッドライトをプロジェクター化。フロントセンターアムレストを標準装備するなど、装備内容を充実させている。同時に「ディーバ」にはディスチャージヘッドライトや専用フロントグリル、ピアノブラック調のセンターパネルを与えて、他グレードとの差別化が図られた。

2012年6月以降の後期モデルではグレードが「C」「G」「ディーバ」「ディーバ ターボパッケージ」の4種類に整理され、「G」はスマートキーシステム、イモビライザー、セキュリティアラームなどの便利&防犯装備を追加した。「ディーバ」は左記装備に加えて14インチアルミホイールなどが標準装備化されている。
 

ホンダ ライフ ▲「ディーバ」のエンブレムに“Life”の文字はなく、独立したスポーツモデルであることを主張している

■ライフ(4代目)の中古車相場
人気車種だっただけに、中古車市場での流通量は豊富。デビュー直後の前期モデルである2009~2010年式に比較的多くの台数が集中しているのが特徴だ。生産から10年以上が経過しているが、走行距離5万km前後の物件が数多く存在する。

実は4代目ライフにおいては、マイナーチェンジを経て設計や装備内容が劇的に進化することが少なかった。むしろ後期モデルではグレードが整理され、選択肢が少なくなっている。それゆえあえて前期モデルに的を絞り、走行距離が少なく、内外装の経年変化が少ない物件を探すのもアリだ。

オススメはサイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグなどの安全装備、スマートキーなどの快適装備が充実した「パステル」。特に「パステル」のNA、FF車には全グレード中で唯一(パステルの4WDやターボには非装備)、スマートパーキングアシストが標準装備されており、お買い得感が高い。このグレード&仕様だけで約260台もの物件がヒット。年式が古いため、走行距離5万km未満のものでも総額30万~60万円で手に入るのがうれしい。
 

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※記事内の情報は2021年6月15日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/ホンダ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。