▲BMW 3シリーズツーリングおよびメルセデス・ベンツ Cクラスステーションワゴンと並ぶ「小金持ちに見えるドイツ車御三家」のひとつであるアウディA4アバント。でもその中古車は意外と高くはないのです! ▲BMW 3シリーズツーリングおよびメルセデス・ベンツ Cクラスステーションワゴンと並ぶ「小金持ちに見えるドイツ車御三家」のひとつであるアウディA4アバント。でもその中古車は意外と高くはないのです!

小金持ちっぽく見えるが、実は総額200万円前後から余裕

筆者の場合は中古輸入車の専門記者をかれこれ20年以上もやっているため、街を行く輸入車を見れば1.7秒ほどで、そのおおむねの中古車相場が脳裏に浮かぶ――という特殊技能をもっている。

だが世の大半の人は(当然だが)そんな技能はもっていないため、しばしば輸入車の価格を見誤る。

それも「高い方向」へと見誤る場合が多い。

特にアウディ A4アバントである。

ドイツ・アウディ社の最量販モデルである「A4」の、その中でもしゃれたステーションワゴンである「アバント」。

それは、BMW 3シリーズツーリングおよびメルセデス・ベンツ Cクラスステーションワゴンと並んで「小金持ちっぽく見えるドイツ車御三家」とも呼ばれている。

それゆえだろうか、知人などは街でアウディ A4アバントを見かけると「……みんなカネ持ってるよねぇ。オレなんか総額200万円ぐらいの国産車買うのがやっとなのにさあ」などと、淋しげな表情で言う。

わたしは知人を勇気づけてやりたいと思い、言った。

総額200万円ぐらいの国産車を買える君であれば、A4アバントなんて普通に買える。

むしろ若干だがお釣りがくる可能性もある、と。

だが、知人はわたしを信用しない。

「またまたそんなこと言って……。総額200万円以下で買えるアウディなんてどうせ何世代も前の、走行15万kmとかのオンボロ中古車でしょ?」

そんなことはない。

現行型はさすがに無理だが、いっこ前の型の後期型、すなわち現行型と比べてさほど見劣りしないA4アバントの、あまり走行距離の延びていない個体が、実は総額180万円ぐらいから探せるのだ。

しかし知人は苦笑しながら「またまた~」と言っている。

……仕方ない、順を追って詳しくご説明しよう。
 

▲こちらが旧型アウディ A4アバントの後期型。前期型は4代目のA4アバントとして2008年8月にデビュー。そして2012年4月にやや大掛かりなマイナーチェンジを受けて登場したのがこの後期型だ▲こちらが旧型アウディ A4アバントの後期型。前期型は4代目のA4アバントとして2008年8月にデビュー。そして2012年4月にやや大掛かりなマイナーチェンジを受けて登場したのがこの後期型だ

キレイな個体なら「世帯年収1000万円以上の人」には確実に見える?

現行型を新車で買うとなるといちばん安いやつでも総額500万円は下らぬアウディ A4アバントであり、中古車を探すにしても、総額で320万円以上になる場合がほとんどである。

だが前章で申し上げた「いっこ前の型の後期型(2012年4月~)」であれば、走行4万km台までの物件であっても総額190万円ぐらいからイケるのだ。

意外と安いのだ。

そして意外と安いとはいえ、ビジュアル的にはいかにも「小金持ちの車」といった雰囲気はいまだビンビンに漂っている。

さすがに前期型の、なおかつ内外装が若干くたびれている個体ではほとんど「小金持ち感」は出ないだろう。

だが状態の良い後期型であれば、よくは知らないが少なくとも「世帯年収1000万円以上の人」には見えるはず。

キレイな、そして比較的高年式なアウディには、そういった魔力があるのだ。

▲ちなみにこちらが2016年4月登場の現行型。まあさすがにシュッとしていてカッコいいですな▲ちなみにこちらが2016年4月登場の現行型。まあさすがにシュッとしていてカッコいいですな
▲で、こちらが旧型の後期。……もちろん現行型と違うといえば違うのが、「おおむね似たようなデザインと雰囲気」とも言えると思うのだが、どうだろうか?▲で、こちらが旧型の後期。……もちろん現行型と違うといえば違うのが、「おおむね似たようなデザインと雰囲気」とも言えると思うのだが、どうだろうか?
▲そしてこちらが2008年8月デビューの旧型前期。悪くはないが、10年以上前の車ということで、さすがに「なんとなくの古さ」は漂っているかもしれない▲そしてこちらが2008年8月デビューの旧型前期。悪くはないが、10年以上前の車ということで、さすがに「なんとなくの古さ」は漂っているかもしれない

問題は、そうした「いっこ前のアウディ A4アバントの後期型中古車(走行距離5万km未満)」に、意外と安いとはいえそれなりのゼニを出して買うだけの価値があるのかどうか? ということだ。

もちろん諸説あるだろうが、筆者は「ある」と考えている。

次章にて、理由をご説明しよう。

走りもビジュアルもいまだ「十分現役」と言えるでしょう!

まずは「走り」である。

前章にて世帯年収1000万円がどうのこうのと言ったが、それはそれとして、車というのは、まずちゃんと走らないことには話にならない。

それも、できれば「気持ちいい感じ」で走らなければならない。

その点で言うと、旧型後期のA4アバントはなかなかのものである。

駆動方式はFF(180ps)でも4WD(211ps)でもお好みで選べば良いと思うが、どちらを選んだところで、2L直噴ターボエンジンとアウディらしい精密な車台がもたらす乗り味はかなり秀逸だ。

足回りなどがヤレていない個体でさえあれば、まるで自分の運転テクがいきなり上達したかのようなビッとした操縦感覚を堪能できることだろう。

もちろんフルモデルチェンジを経た現行型の方がよりビッとしているわけだが、日本の公道を普通ぐらいの速度で走る限りでは「似たようなもの」とすら極論できる。どちらも素晴らしい――ということだ。

そして内外装の雰囲気やデザインも、後期型であればまだ十分イケている。

もちろんこのあたりは個人の主観による部分がかなりデカいため、一概には言えない話だ。

だが小ぎれいにキープされてきた後期型で、なおかつ「SEパッケージ(レザー内装+ウッドパネル)」や「Sラインパッケージ(何かとスポーティなパッケージ)」などが付帯している個体であれば「なるほど、十分いい感じじゃないか」と感じる人も多いはず。

そしてもちろん、初代オーナーが装着した「アダプティブクルーズコントロール」などのありがたいオプション装備が付いている中古車も、それなりの数が流通しているのだ。

▲グレードやオプションパッケージにより細部は異なるが、旧型後期A4アバントのインテリアはおおむねこのような感じ。写真は本国仕様のレザーシート等装着車▲グレードやオプションパッケージにより細部は異なるが、旧型後期A4アバントのインテリアはおおむねこのような感じ。写真は本国仕様のレザーシート等装着車
▲後期型で標準装着となったバイキセノンヘッドライトは、LEDポジショニングランプがメインビームを囲むようなラインに変更された。これだけでもグッとモダンに見えるのがデザインの不思議なところ▲後期型で標準装着となったバイキセノンヘッドライトは、LEDポジショニングランプがメインビームを囲むようなラインに変更された。これだけでもグッとモダンに見えるのがデザインの不思議なところ

……というようなことを過日、知人にこんこんと説明した筆者であった。

なんとなく納得したようで、「じゃあ来週あたり、現車を見に行ってみる」とかなんとか言っていた。

これをお読みのあなたにもご納得いただけたかどうかは不明だが、少なくともご興味をもっていただけたなら幸いだ。

text/伊達軍曹
photo/アウディ

▼検索条件

A4アバント(4代目後期型)×総走行距離4万㎞台まで×修復歴なし×総額表示あり

▼検索条件

A4アバント(4代目後期型)×SEパッケージ、Sラインパッケージ×総走行距離4万㎞台まで×修復歴なし×総額表示あり