▲筆者の個人的ツボにハマる3代目デミオのデザイン。同じ価値観の人がいらっしゃれば幸いです▲筆者の個人的ツボにハマる3代目デミオのデザイン。同じ価値観の人がいらっしゃれば幸いです

評価を集める「マツダデザイン」

2012年の初代 CX-5から始まった、マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)」。今では“マツダらしい”と言えば通じてしまうほど定着したこのデザインについて、メーカーは次のように語っています。

“生命感をカタチにする、「魂動」。
生物が目標に向かって動き出す一瞬の強さや美しさ。それがマツダの考える究極のMotion Formです。
クルマをただの鉄の塊ではなく、まるで生き物のように生命感を感じさせるものにしたい。まるで意志を持って動き出しそうな緊張感と、体温を持ち呼吸しているかのような温かみをもった、生きたクルマをつくる。それが「魂動」デザインです。”

(メーカー公式Webより引用)

こんな素晴らしい理念で作られている最新のマツダ車。現に鼓動デザインは、凛とした顔つきにダイナミックなフォルムを併せ持った独特の美しさで、世界中の人々から認められています。

……しかし「最新のマツダ車」でなければ、デザインに魅力はないのでしょうか?

あえて、声を大にして言います。そんなことはありません! マツダの歴史を作ってきた旧型モデルにだって、デザインの魅力はたくさん詰まっています。

ただ、色味というか毛色が違うといいますか……例えるなら、男性が女性の好みを語る際、系統を分けるような。同じ美人さんなのですが、それぞれに差が出る“好み”に関わる部分のような。

そして、マツダ デミオこそ、そんな好みに沿った選び方をしてほしいと思うモデルなのです。現行型を「シュッとした清楚大人系」とするならば旧型は「丸顔・童顔可愛い系」でしょうか。

どちらも美人と称されるのですが、もしあなたの好みが後者であれば、旧型という選択肢もアリだと思うわけです。

▲こちらが現行デミオ。鼓動デザインが踏襲されています ▲こちらが現行デミオ。鼓動デザインが踏襲されています

今こそ伝えたい旧型の美

デミオは、誕生から数えれば20年以上というマツダのロングセラーモデル。ここでいう旧型とは3代目で、大きなダイエットを経てコンパクトなパッケージングとなったモデルです。

スリーサイズは、全長×全幅×全高=3885×1695×1475mm。メインターゲットもファミリー層から独身女性へと変更し、パーソナル化を図っています。

パワーユニットは、1.3Lと1.5Lの2本立て。どちらもDOHCで、1.3Lモデルには「ミラーサイクルエンジン」も用意されています。 トランスミッションは、4ATと5MTに加えCVTを採用。7速CVTにエアロパーツや16インチホイールなどが装着されるスポーティなグレードも備え、2007年から2014年まで生産されていました。

で、肝心のデザイン。旧式モデル=古い車=デザインも古い=「ダサいんでしょ?」というのが多くの人の思考回路かと思いますが、決してそんなことはありません。

エクステリアは、RX-8と同じデザイナーが手掛けており、秀逸な仕上がり。盛り上がったフロントフェンダーや、スッと後ろに続くサイドのキャラクターラインが特徴的です。前・横・後ろの各面がバラバラにならないよう、ボディ四隅の処理には特にこだわりがあるのだとか。

現行型と比べれば陰影が少なく“ぽっちゃり”した印象ですが、実はサイズ感含めてスマートなんですよね。何ともいえないカタチです。

▲こちらが旧型デミオのフロントフェイス。何だか“笑い顔”のようにも見えて、筆者はめちゃくちゃ好みです ▲こちらが旧型デミオのフロントフェイス。何だか“笑い顔”のようにも見えて、筆者はめちゃくちゃ好みです
▲ちなみに、旧型でも2011年6月以降の後期モデルだとラジエターグリルが少し変わったデザインになっています ▲ちなみに、旧型でも2011年6月以降の後期モデルだとラジエターグリルが少し変わったデザインになっています
▲丸みを描きつつスタイリッシュなフォルム。絶妙なポテッと感があります ▲丸みを描きつつスタイリッシュなフォルム。絶妙なポテッと感があります

旧型としてのネガは?

とはいえ、様々な改良がなされて新型が生まれているわけですから、現行モデルの方が高性能なのは周知の事実。あえて旧型を選ぶからには、そのあたりを理解しておく必要があります。

デミオの場合、現行型にはディーゼルの設定がありますが、旧型にはありません。燃費も、旧型が17.2~25L/kmなのに対し現行型は最高で30.0km/L(1.5Lのディーゼルターボ・MT仕様)という高性能。(JC08モード)

運転席のモニターや操作デバイスもよりこだわり抜かれたものになっており、全体のパッケージとして運転環境に配慮がなされています。シートやホイールまわりなどにリッチなオプションを備えているところも、コンパクトクラスの概念を超えた素晴らしい点です。

一方で、ボディー全長は16cm増と少し大きくなっています。その割に、荷室容量や社内空間の差はほとんどありませんので、鼓動デザインの実現を最優先に設計がなされたのではないかと思われます。

ここは目線を変えると旧型の利点になる部分で、コンパクトさ、使い勝手の面では、そこまで劣等感を感じる必要はないということなのです。

むしろ、旧型デザインの方が好みで、燃費性能や先進デバイスに関心がないという方であれば、旧型の方が抜群に賢い選択かもしれません。

というのも、旧型デミオは、今とにかく安い! どのくらい安いかというと、走行距離3万km以下で修復歴ナシの物件が総額40万円台から手に入るといったところ。高年式な2014年生産モデルに絞っても70万円台から選ぶことが可能なんです。

いかがですか? 先進技術を備えた清楚系現行型がステキなことはもちろんですが、コンパクトでシンプルな可愛い系旧型もアリな選択ではないでしょうか。

もしアナタの好みが後者に近ければ、価格の部分でも旨味の深い旧型を検討することをオススメします。

▲旧型・運転席まわりのインテリア。決して先進的ではありませんが、シンプルで使いやすさは十分です ▲旧型・運転席まわりのインテリア。決して先進的ではありませんが、シンプルで使いやすさは十分です
▲コンパクトながら、室内空間は広々。防汚シートや消臭天井が標準というのも嬉しいポイントです ▲コンパクトながら、室内空間は広々。防汚シートや消臭天井が標準というのも嬉しいポイントです

▼検索条件

マツダ デミオ(3代目) × 支払総額表示アリ × 修復歴ナシ
text/編集部 井上恵利
photo/篠原晃一、尾形和美